2013年1月20日日曜日
古賀人形
その昔、郷土玩具をつくっている方を、はるばるとお訪ねするのは、本当に楽しいことでした。
外からは普通の家にしか見えない家の戸を開けると、目の前に色とりどりの土人形があふれかえる別世界が広がっていました。
ところで、学生時代も、長じてからも、いつも予算に限りがあったので、どれをいただいて行くのか選ぶのは楽しいことでした。まず一番気に入ったもの、あとは予算内でいくつか選びました。
これは長崎県の古賀人形です。
それにしてもどうしてこの三つを選んだのか、予算内で好きな順だったと思われますが、改めて見ると、なんとなくおかしな取り合わせです。
阿茶さんは文句なしです。オランダさんと並んで、古賀人形を代表する人形ですし、形、色、お顔、どれをとっても申し分ありません。
古賀人形は400年の歴史のある、伏見人形に並ぶ古い土人形ですが、今でも古さを感じさせない色遣いは、その昔はどんなにハイカラだったかを偲ばせます。
阿茶さんに比べて、このお猿さんは、ちょっと間抜け顔です。
古賀人形には、鶏抱き猿、馬乗り猿という、もっと古賀人形らしい、きりっとしたお猿さんたちがいます。そんな猿を選ばないで、手持無沙汰に座っている、所在無げな猿を選んだのは、いったい何故なのでしょうか。若いころの自分に問うてみたい気がします。
といっても、見るとなごむ、かわいい猿ではありますが。
いつもつんのめったような姿のふくろうの土笛は、息子たち、息子の友人たちもよく持って遊んだので、はげちょろけになってしまいました。
古賀人形は、新しい型を創作せず、古い型を守り続けている土人形です。
ふくろう笛も400年も前からの型だとしたら、これまでにたくさんの子どもたちが、これを持って遊んだことでしょう。
その昔、土人形は割れないようにもみ殻などと一緒にもっこに入れ、天秤棒に担がれて売り歩かれました。
土人形売りがやってきたときの、子どもたちのわくわく感が想像できます。大きな土人形を買ってやれない親は、小さな土笛を買ってやれるのを嬉しく思ったことでしょう。また、そんな家の子どもは、端から大きい土人形を買ってもらおうなどとは思っていなかったかもしれません。
私が、生前の祖母に、買って来たばかりの土人形を見せたとき、祖母は、小さい頃そんな人形売りが訪ねて来ていたと懐かしがっていました。
私が小さい頃は、家にある土人形は神棚の天神さまだけで、雛人形の中にも混じっていませんでした。
タイムスリップして、辻に立って、向こうから人形売りが天秤棒を担いで来るところを見てみたいものです。
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