2013年3月10日日曜日
息子の文房具
野ざらしにしていた息子の荷物を、五年ぶりくらいに片づけ直しています。
息子は誰に似たのか、何でも大切に取っておく性格です。一時は週刊誌さえ、捨てずに取っていました。ところが郊外の家から、都心の狭い部屋に引っ越すとなると、嫌でも持って行くものを選択しなくてはなりませんでした。
すると、これまた誰に似たのか潔いこと。ほとんどのものや本は要らないとなったのですが、それでも東京では捨てるのもたいへんなことなので、軽トラックで何度か往復して、我が家まで運んできました。
そして、捨てたりあげたりしたものもありますが、残ったものもありました。
その残ったものを置く場所がありませんでした。しかたなく、庭の片隅に簡単な雨よけをして、シートをかけて、当座は雨露をしのいでいましたが、月日が経つうちにシートはボロボロになってしまいました。中には重い荷物がぎっしりで、気になりながらも半ば野ざらしになっていました。
それでも折を見て、少しずつ手前のものから始末していましたら、畳を立てた奥、三つほどある本棚に段ボール箱が積まれているのが見えてきました。
多くは本です。今何とかしないと、全部ゴミになってしまうし、気になるのは、
「とっておいて」
といわれた手塚治虫の漫画が、しっかり分けたはずなのに、室内にはずいぶん少ないことでした。
というわけで、本格的な片づけに着手しました。
出てくるもの、出てくるもの、時代を感じます。カセットテープ、ビデオテープ、フィルム、ファミコンなどなど。
すでにみんな過去のものです。
そして万年筆や製図道具。
その昔、万年筆は入学祝の定番でしたし、親から子へと受け継がれたりするものでした。
この般若心経の書かれた万年筆は、誰のものだったのでしょう?
うっすらと、見たことがあるような記憶があるのですが、さて誰のものだったか。
私の父が持っていたとは思えないし、夫の両親も戒名もつけなかったほどの無神論者だったし。どこからきたものでしょう?
息子は建築を学んだので、学生時代にそろえたコンパスや雲形定規も持っていましたが、今では出番はありません。
製図用具も、製図台もまったく無用になりました。
製図用具の最大手、ドイツのロットリング社のシャープペンシルもありました。
ロットリングの、太さの違う線が描けるペンが発売されたのは画期的な出来事で、それまでのカラス口は一掃されました。
これは、初めて見る、定規を使って線を書く時、線が正確な位置に書けるように先が工夫された、シャープペンシルでした。
まだ、ロットリング社はあるのでしょうか?検索してみるとありました。そしてこのシャープペンシルは、いまでも売っていました。
息子のスケッチやスケッチブックも見つかりました。コンピュータで絵を描けるようになる前の手描きの絵です。
「おれ、絵を描くのが本当は大っきらいだったって、今頃気がついたよ」
としみじみ言っていたのは昨年のことです。
うまいじゃん!
もったいないじゃん!
コンピュータで絵が描けるようになってすぐ、息子は絵を描くことをやめてしまいました。
これは、「悩める人々」シリーズの一枚、文字も手書きです。
手塚治虫は一箱見つかりました。
しかも雨はあたらないけれど、流れ込んでたまる位置にあり、何冊かは捨てなくてはなりませんでした。
虫や蜘蛛の巣窟にもなっているし、作業はなかなか進みません。
春さん素晴らしいなー
返信削除文具大好きです保存はハムレットみたいに悩みますね。
今使用しているは「Ballyの財布とカランダッシュのボールペン」でどちらも60年以上、
私には宝物ですが、、、、。
昭ちゃん!
返信削除何でもなくて良かったですね♪
私はどちらかといえば文具よりおもちゃかな(笑)。中学生ころから使い続けている文具もありません。
それにしても、引っ越ししても子どもの荷物はついて来ますね。あっ、親の荷物もついてきたけれど(笑)。
時代の流れですね。私も建築パースを描くにあたって製図道具をあれこれ使いましたが、息子はやはりキャドのみ。建築士の試験でも円形定規を使うくらいでコンパスは使わないそうです。カラス口もケント紙を無駄にしながら上手な線が引けるように練習しましたが、いまやそんな授業もないでしょう。かつては昭和10年生まれの父が、私の製図道具を見て羨ましがり貸してあげたりしてましたが、いまや出番はありません。それにしても、文具は見ているだけで楽しいですね。
返信削除hattoさん
返信削除文房具は使わなくても持っていて楽しいものがいろいろありますね。とはいえ、色鉛筆セット、水彩絵の具、彫刻刀なんか、息子たちのもあれば、夫の母のもあり、絵筆にいたってはより取り見取り、引き出し一つ占領しています。また今回も見つかったし。
よっぽど、絵を描くつもりで買って、描かなかった家族のようです(笑)。
カラス口は数年前に骨董市に並んでいました。手にとった客は何だか知らなくて、売っている骨董屋さんも「なんだか製図に使ったんじゃないの」なんて、言っていました(笑)。
はるさんも市に参加できますよね、これだけそろっていると。一番下の「来ない」ってのは、待ち合わせした彼氏でしょうか?きになるところです(笑)
返信削除hattoさん
返信削除ははは、まさかね。
骨董屋さんを見ていると、おもしろいですね。一つのものにこだわっている人、次々と関心が移っていく人。関心が幅広いのに、一貫性のある人、売っているものがちぐはぐな人。きれいにディスプレイする人、段ボール箱のままごちゃごちゃな人。
がんこさんのブログを見ると、売るのは優先順位が3番くらい、2番が買いで、1番は調べ物、つまり勉強だそうです。この年になっては、勉強はちょっと...(笑)。
そうそう、息子の絵は彼氏が来ないんですね。「痛い」というのもありましたが、スケッチは3枚くらいで...。それ以上は悩める人が見つからなかったのでしょうか(笑)。