小さい頃から、寒くなると身体、とりわけ足が痒くなる体質でした。
ところが今年は、いつもなら痒さが終息する頃になって、脚だけではなく背中にも湿疹が出て広がりました。新陳代謝がうまくいかず、血液や腸に老廃物が溜まってしまったのでしょう。
体内の掃除すれば湿疹も治るはず、痒くて眠れない夜を過ごしたのを機に、身体の大掃除をする決心をしました。
というわけで、十八年ぶりに、西式医学の渡辺医院に、十日ほど入院させていただきました。
入院中は何をするか?
固い布団(板の上に毛布を一枚置いたもの)に、首に当てる固い木枕で寝て、昼、夜の二食だけいただきます。間食をせず、一日1リットルの水と、同じく1リットルの柿茶(ビタミンCが豊富)を飲みます。
そして、皮膚呼吸を促進するための体操を一日五回し、さらに器械で、身体じゅうを揺さぶってもらって、血行をよくします。水風呂とお湯風呂の交互に入る温冷浴もあり、診察もあるので、けっこう忙しいのですが、暇があれば散歩に出ます。
病院ですることの多くは、自宅でも実行できることです。
家には温冷浴できるよう水風呂もつくってあるし、器械だって(顎下懸垂できない)小型のものですが持っているし、野菜をすりつぶすジュースマシーンもあります。
でも長年、朝はコーヒーを飲んだりヨーグルトを食べたりして、食事の間に甘いものも食べ放題、温冷浴はお湯風呂にたっぷり入って水風呂にはちょっとしか入らないという生活をしてきたので、西式健康法は一足飛びには、身体に習慣として戻ってきてくれません。
自分では踏み出せないなら入院しかない、そう思い切って入院したのです。
これがその器械です。
ゆすぶっているところではなく、顎下懸垂をしているところです。15度の傾斜で、自然にすべり落ちるか、体重を革紐で受けるかぎりぎりの角度なのでほとんど顎に負担を感じません。
渡辺先生など、60度で懸垂なさるというお話でしたが、もちろんやってはいただけません。15度でも背骨がしっかり矯正されて、気持ちよくなります。
渡辺医院の標準食です。
真ん中の野菜をすりつぶしたものを生食と呼びます。小松菜、ホウレンソウ、キャベツの葉物三種類と、にんじん、大根の根菜二種類の五種類をすりつぶしたものです。大根とにんじんは、葉があればその葉も使います。
あとは一汁二菜です。ご飯は三分搗き、ちょっと柔らく炊いてあります。
生食には味がついていません。まず生食を食べてから、他のものをいただきます。
入院して四日目、先生から、
「三日間の生食断食しましょうか?」
と言われました。
断食をはじめる前日には、ご飯の量だけが半分くらいに減っていました。
いよいよ断食初日の昼、生食だけです。
夜も同じものを食べましたが、その日は普段と何一つ変わらず元気いっぱいでした。ところが明け方から気持ち悪くなり、だんだんふらふらして、とうとう次の日の朝には起き上がれなくなりました。
先生のお話では、外から摂る糖分は、だいたい二十四時間で使いきるとのこと、糖の補給が断たれて、低血糖になったのでした。
外からの糖の補給がなくなると、本来は身体自身が反応して、体内にあるもので代替しようと、切り替えスイッチを入れるのだそうです。その切り替えこそが、細胞の活性化ということです。
ところが、私の場合、これまで断食をしたこともなかったので、切り替えが遅れているとのことでした。
低血糖を解消するために、リンゴのすりおろしたもの半個分をいただきました。
すると、糖が補給されて、ほどなく気持ち悪さが解消され、元気が戻りました。
「生食だけでは駄目な人もいるんですよ。糖を補うために山芋を加えましょうか」
というわけで、断食二日目の昼の生食には山芋が乗っていました。
「おいしそう!」
ところが、昼食後しばらくすると胃が痛くなってきました。断食すると日ごろ弱い部分に負担がかかるという話は聞いていましたが、さっそく胃に現れたのです。
気持ち悪さの原因は、外から食べ物が来ないのに胃酸ばかり出て、胃酸過多になってしまったことにありました。
「中には、炭水化物がないとだめな体質の人もいるんですよ。夕食は重湯にしましょう」
というわけで、二日目の夕食です。
写真を写す前に、ジュースを飲んでしまっていますが、米粒のない重湯、具のない味噌汁に合わせてか、野菜もすりおろしではなくジュースでした。ジュースは生食と違って、にんじんの甘さが利いておいしさが増しています。
それにしても梅干しのおいしかったこと。具のない味噌汁も合わせて、「塩」のおいしさには、改めて感動してしまいました。
断食三日目の昼、かすかに米粒の見えるお粥と、具少々の味噌汁、野菜も生食に戻っていました。
その夜は、お粥は五分粥で、充実していました。
断食明けの昼食には、おかずが一品つきました。
いやはや、お粥は七分粥になっていましたが、量は恐ろしく減っていました。
その夜の食事も、おかず一品抜きでしたが、魚の焼きびたしがおいしくて、皮まで堪能してしまいました。
さて、腸には宿便というものがたまっています。また、血液も糖摂取過多などにより、血管のあちこちに老廃物がたまっています。
一般的には、健康に気をつけると言うと、摂取する話ばかりで、排泄の話はあまりありません。典型的なのがサプリメントです。サプリも何かを補うものですから、西式では薬とみなします。もし薬を摂取すれば身体はそれにどう対応しようかと考え、従来のシステムを変形させて、薬に対応します。ということは、自己回復力を鈍らせるという考えで、西式ではサプリも含めて薬の類は一切使いません。
摂取することより、排泄することを第一に考えるのが西式ですから、身体の中の老廃物を排出するための身体に見合った小食を摂り、温冷浴や体操で、細胞の働きを活発にするのです。
断食は宿便を出し、眠っている細胞を起こすために行うものですが、最初は固かった私の腸も、だんだんばらけて来て、柔らかくなりました。
そして、とうとう普通の食事に戻ったというわけでした。
西式健康法は、西勝造医師がご自分が不治の病と宣告され、投薬するという西洋医学に疑問を持ったことからつくりあげられた健康法です。
そして、それに賛同して推進してこられたのが、渡辺医院初代院長の渡辺正医師や、大阪の甲田光雄医師でした。ご高齢でお二人ともすでに亡くなられましたが、渡辺医院では、息子の渡辺完爾医師、伸江医師ご夫妻が、正医師の意思を継いでおられます。
これまで、西式で病気が治癒した人は、古くは結核患者や、紫斑性腎炎など難病の人、そして近頃は余命宣告されたがん患者や、糖尿病の人、ステロイドでこじれたアトピーの人など、枚挙にいとまがありません。
私と重なって入院前している30歳ほどの男性は、どこが悪いんだろうと、スタッフの方に聞いてみたら、うつ病だとのことでした。私の入院日とそう変わらず入院したのか、最初は体操もせずにいましたが、だんだん積極的になっていく様子が見えました。そして、退院するので声をかけたときは、「明日から二日の断食」と、期待と不安の入り混じった顔をしていました。
薬を使わず、うつ病も治るんだったら素晴らしいことです。
ちなみに、渡辺医院では、様々な症状の回復までの期間の最初の一区切りを、これまでの経験からか3週間と見ています。3週間で治らない症状は3ヶ月を目途にしています。
私の湿疹は、予想していたことですが、出切るまで出るのか、入院中は一進一退の様子、全然痒くない日もあり、ときに一時的に痒さに襲われる日もありました。
ところが、帰宅から二日目の今日は今までにも増して痒かったのですが、少しおさまってきました。いよいよ湿疹も終息に近づいているかなと、 期待が高まっているところです。
副産物は、体重が3キロ減ったこと、ベスト体重よりこのところ2キロばかり多かったのですが、3キロ減って、余裕もできました。なんとか維持しなくっちゃ。
食生活は大切だと解ってはいてもつい食べ過ぎてしまいます。
返信削除104歳まで病気知らずで長生きした曾祖父は、毎日2食、いつもおかゆを食べていました。お粥の中にはカステラとか何でも入っていたんですよ。日に2回しか食事をとらない理由は、働く時間を削られるのが勿体いないから。今時、そんなヒトいるのかな。
体老廃物を掃除してくれる食事、家でやろうと思えば実行できそうですが、専門知識がないと難しそうですね。私も入院してみたいな。
春さんの痒みが早く回復しますように!
春さん
返信削除詳細な「実体験報告」有難うございます。
私も三年前白内症から眼底剥離失明直前までいきましたが、
医師の指示による食生活管理でそれなりに暮らせるようになりました。
血管は年なりですが流れは上々のデーターが昨日でました。
もう少し、もう少し頑張りますー
mmerianさん
返信削除しばらく二食でやっていても、環境が変わったり、あるいは「二食だと身体が飢えていて吸収しやすいので、必ず三食にしてください」と医者に言われたりしたとき、ついつい崩れてしまうことの連続でした。でも、不妊に悩んでいたのに、夫婦で西式を一生懸命やっていて妊娠して、二人の子供を授かった友人もいました。昔の職場で、ちょっと流行っていたのです。
以前も湿疹で入院して、その後何年かよかったのですが、日本にいたばかりではなかったので、生活がなし崩しになって、このところまた悩まされていました。
実行は難しくないですよ。渡辺先生のご本(たくさんあります)には、いろいろ事細かに載っています。温冷浴も、冷水から初めて1分ずつ7回ですが、砂時計を使い、浴槽が二つなければ片方がシャワーでもかまいません。
ただ、退院してきて、クサイチゴやモミジイチゴを見ても、ちょっとつまんでみるのに気が引けるのは恨めしいです(笑)。とにかく、一日二度食べるだけなのです。訪問者も多いので、どこまで続くか(笑)、お楽しみ、お楽しみ。
昭ちゃん
返信削除おもしろそうだったでしょう?まぁ、痒いのでおもしろさ半分なのですが、身体の洗濯をしました。
昭ちゃん、もう少しと言わずいつまでも愉快に楽しくやってください。そして、歩く博物館でいてください。
海外旅行かと思っていたら、こんな所で断食していたんですね!知り合いは一日一食療法で快適だと言ってましたが、私が実行したならば当日に倒れるでしょう。低血糖になりやすい体質なので、小分けにして何回か食べていたほうが体調がいいです。痒みよくなりますように、、、。母もしばらく同じような状態でした。はっきりした原因は不明です。
返信削除hattoさん
返信削除渡辺正先生によると、病気の症状は「身体の治療」といいます。それを、人は身体自身が治療しやすいように助ける、例えば下痢したらそれを止めるのではなく、水分を取って身体を応援すると、身体が勝手に直すということです。
湿疹もアトピーも出る原因があるのだから抑え込まずに出させて治癒させる。隠れているより、むしろ毒素が現れてくれたのを喜ぶ、そんな感じなのでしょうか。
母上さまもやはり老廃物がたまっていたのかもしれませんね。まあ、水(市販のものでなく井戸水や水道水を浄化したものに限る)をたくさん飲むと万病にいいみたいです。
こんにちは。お久しぶりです。
返信削除実は私も春さんの入院と同じ時期に、
某下半身の持病の根治手術をしてました。
その前から、冬季乾燥によるという下半身の皮膚炎がいまだに治らず・・・
今回の入院で、内臓の中がいったんすっかり空っぽになったところで
(その時はかゆくなかった)
体に入れるものを厳選しだしたら、今やまだまだかゆみが収まらず!!
こちらが治ったら次は皮膚科か?!と思っていたら、
こちらの記事を読んでなんだかすとんと納得しました。
すごくやってみたい気持ちはあります。
でも今は無理なので、三週間我慢してみようと思います。
今の治療は、とにかく出さなくてはならないので、せっせと食物繊維を取ってますが、
一日二食でも出るものは出るのでしょうか?
ただ、傷口に充てるガーゼのための絆創膏跡でできたかぶれは、
我慢できないのでステロイド塗ってますが・・・
これもダメなんでしょうかね?!
toki-sappさん
返信削除大変でしたね。
お引っ越しのこと、どんなに地域に根っこを張っていても、未知との出逢いでいろいろ変わるチャンスだから、ぜひ前向きに考えるようにって、メールしようと思いながら日が経ってしまいました。
実はここには書いてありませんが、整腸にはスイマグ(http://kakaku.com/search_results/%83X%83C%83%7D%83O/?category=0018_0020_0001)というものを飲んでいます。夜寝る前にキャップいっぱい(沈むのでよく振って)をマグカップいっぱいの水に混ぜて(味なし、いわゆる薬ではないそうな)飲んでおくと、いつも腸を活性化しておいてくれるので、朝起きるとすっきり、昼の食事の後にもすぐ腸が反応して便通があります。習慣性もないというお話なので、退院してもしばらく飲み続けています。飲んで約8時間後に効きます。これだと腸がいつも軽くていられます。
私もステロイドを塗っていたのにやめた湿疹がいくつか傷で残っていました。かさぶたができては、刺激されてじくじくすると言った具合で。「これはもう雑菌など入った、別の次元だから」と渡辺先生が勧めてくれたのは、ハイドロコロイドパッド(ジョンソンならキズパワーパッドというもの)で、貼ると、ガーゼがついていないので湿疹を湿った状態のままで保ち、白血球をバイ菌と戦いやすくするものということで、それを貼っています。
痒さも軽減し、とれるまで放っておくと治っています。ただ、toki-sappさんのかぶれの大きさがわかりません。私も背中の大きいところには貼れないでいます。
ステロイド、便利ですよね。でも身体に悪いのはお医者様なら誰でも知っていることらしいです。できれば使わない方がいいですね。
私は、湿疹は冷やしたり、何かして気を紛らして痒いことを考えないようにしていましたが、あまり痒いときはラナケインSの非ステロイド剤(どこの薬屋さんにも置いてあるもの)を塗っていました。局部麻酔材が入っていて、痒みは取れました。それの使用頻度も、最近は減りましたが。
参考になるといいですね。