2013年7月10日水曜日

紋織(二)、ラオスの意匠

ラオスのパヴィエンは、幅が40~60センチ、およそ2メートルの長さの肩掛けで、地も模様糸も絹でできています。
パヴィエンには、いろいろな紋織の模様が施されています。

 

長くて、一枚の写真に撮りきれなかったので、二つに分けて撮りました。

東南アジア大陸部には、中世から近世にかけて、日本に盛んに輸出された蘇芳という赤色染料になる木が生えています。その蘇芳で地糸を染めた華やかなパヴィエンです。

大きい動物は象です。他にも小さい動物や人などが織りだされています。
かつて、ラオスはランサーン王国と呼ばれていましたが、ランサーンとは、百万匹の象という意味です。

象の模様は、模様綜絖を反対側から使って、対称形に織られていますが、パヴィエン全体で見ると模様は左右対称にはつくられていないことがわかります。
上部の大きな菱形の模様は須弥山を表していたように覚えていますが、定かではありません。


 縞模様の四ヶ所ほどに紋織を施したパヴィエンです。


舟に乗っている、動物や人でしょうか。



絹のパヴィエンが多い中、地糸は木綿の大判のパヴィエンです。
おしゃれ用ではなく、防寒用かもしれません。12月、1月ごろには、ラオスも特に朝晩は気温が一ケタまで下がって、水浴びをするとぶるぶる震えるほどです。

模様の意味は覚えていませんが、ナーガ(蛇の神さま)のように見えます。


使い古して、ぼろぼろになったパヴィエンの、破れていない部分だけ取り出した布です。
この中では、最もたくさんの模様綜絖を必要とする布です。
どれだけ手の込んだものができるか。挑戦する熱い心がなければ、とても面倒でつくれない代物です。
 

小さな布の中にも、限りない自然への畏敬が感じられ、織り手の心が伝わってきます。
以上、パヴィエンでした。


模様集ということで、シンの裾布も見てみます。
たぶん、象と鶏の模様だと思います。
下の方、紋織を施していない部分は擦り切れていますから、普段用のシンだったのでしょう。


これもシンの裾布です。
下の部分の象の模様は、胴体を共有して、反転しています。
模様は、模様綜絖に糸を間違えないで通せば、綜絖を動かして織っていくと自然にできますが、色糸を選ぶのは、織り手がそのときそのとき工夫できる部分です。


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