2013年8月21日水曜日

インドの絣布


夏に涼しい、パンジャビもどきの上下を持っています。
本場に、上着の丈がこんなに短いパンジャビはありませんから、輸出向けのものです。つくばにある友人のお店で、30年ほど前に買いました。
長いこと着ていたので、パンツが破れました。継ぎあてはしましたが、布が弱っているようなら、またどこか破れるかもしれません。


パンツはバルーン・パンツ。
バルーンがそう大きくなく、着やすいものです。
着たところは、インドのパンジャビというより、ナイジェリアの男性の衣装のような姿ですが、パンジャビの本場で着るでなければ、これはこれで涼しくてよいものです。

さて、愛着のある服がいよいよ着られなくなると、型を取って同じものをつくったことが、何度かあります。
そうやってつくったものは、布選びなどによって、気に入ることもあり、気に入らないこともあります。
「これをつくるなら、どんな布?」
と考えていたら、これによさそうな厚みの、インドの布があることを思い出しました。


コルカタ(旧カルカッタ)の市場で買った布です。
忘れもしません。60ドル(=約6,000円)の素敵な手刺繍のサリーを、迷った末諦めたときに買った布なので、1メートル500円くらいの布だったと思います。


さすが絣織り発祥の地、本場の絣です。職人さんが、涼しい顔でちゃっちゃと手織りしたに違いない、ありふれた店に売っていた、ありふれた布ですが、見事な絣です。
鴨と、もう一つは何でしょう。飛んでいる鳥に見えるし、魚にも、飛行機にも見えます。


赤い方は、水紋です。


そしてすごいのがこの格子。
この方向で織ってありますから、経糸(たていと)は縞にして織り機に掛けてあるとして、緯糸(よこいと)は、絣で模様を出しているのです。


鴨と水紋の絣は経糸に絣をつくり、緯糸の絣は、鴨のところは藍、水紋のところは赤と染め分けてあり、格子のところは、格子の幅で藍に染めてあります。
さらに、経糸に赤、藍、橙などの糸を使って縞にしているので、とても複雑な仕上がりになっています。
お見事としか言いようがありません。

しげしげと見ていたら、はさみを入れるのが惜しくなりました。取っておいてどうなるものでもないのに、切れません。
安っぽい化学染料で染めているのでしょうから、洗うと色が出て、白い部分はピンク色になるかもしれません。それも見てみたいけれど、一旦仕立てると、布として楽しめなくなります。


これもシンプルな、インドの経緯絣(たてよこがすり)の布ですが、もんぺに仕立てて、重宝しているとはいえ、すっかり褪せてしまいました。
この程度の絣なら、着て楽しんでよかったのですが、複雑な絣は、戸棚の肥やしになってもらう以外ありません。




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