夫の古い友人の熊井淳一さんは、彫刻家ですが、熊井さんのつくる山羊乳のチーズは日本一と言われています。というか、そのチーズは本場のシェーブルと比べても遜色のないものだそうです。
一時、山羊乳のチーズづくりがあちこちで試みられましたが、ほとんどが失敗に終わりました。
歴史的に山羊の飼い方を知らない、鳴き声がうるさいなど、日本はあまり山羊を飼う環境にはないことと、牛のように乳絞りが機械化していないので、手で絞らなくてはならないことなどがネックになって挫折し、やめてしまったり、牛乳を混ぜたりしているそうです。
熊井さんのつくったシェーブルです。
黒い方は灰をまぶしてあり、とってもマイルドです。そして、カビをまぶした白い方はちょっと癖があって、かすかにブルーチーズのような味がします。
どちらも、口の中で、ほろほろと溶けていきます。
熊井さんの手が、ぶ厚くてごついことに、夫は常々感心していましたが、先月、彫刻の展覧会でお会いしたら、腱鞘炎になってサポーターをはめていました。まあ、熊井さんだからこの程度で、普通の人だったら、とっくに絞れない手になっていたかもしれません。
山羊を飼っている人たちは、一匹の乳を搾るのも大変だと言います。だいたい、山羊は喜んで乳を搾らせないで暴れたりします。
ところが熊井さんは、来る日も来る日も、多い時は十頭以上の山羊の乳を搾り続けています。しかも、普通は1リットルから2リットルしか絞れないのに、熊井さんの山羊は3リットルも4リットルも出すので、絞るのもそれだけ時間がかかります。
山羊は高いところに登るのが好きなので、台に乗せて乳を絞ると、喜んでやってくるそうです。
学生時代の熊井さんは、
「山羊の乳絞りがあるから」
と帰って行くような人で、山羊とは子どものときからのつき合いでした。
山羊は、桑の葉が好きで、桑の葉を食べると、乳が通常の倍くらい出るというのは、熊井さんが発見したことです。
桑の葉は連日でも、他の餌のときのように飽きるということがありません。いつもは鷹揚に、みんなに食べさせることに気を配る雄山羊が、桑の葉のときだけは一人占めしようとするそうです。
春先は、出産の季節です。
山羊が次から次へと仔を生むのを、熊井さんはずっと取り上げています。
熊井さんは山羊の解体もします。
山羊と羊はよく似ています。だけど、山羊は殺されることを察知すると豚同様大騒ぎするのに、羊は一声も発せず、そのかわりじっと目を見るのだそうです。
どちらの気持ちもわかるので、命をいただくときは、捨てるところのないようにさばいて、感謝しながらいただくそうです。
熊井さんの彫刻も、山羊が多いのです。
普通、彫刻家は形をつくって、あとは鋳物屋さんに鋳込みを頼みますが、熊井さんは赤城山麓にある自分の工房で、自分で鋳込んでいます。
この彫刻の題名は、「おいで!、いやだ!」です。
またまた春さんが泣かせる話を、、、
返信削除北品川ですね。
私が〇務省がら軍需工場に配転になったのが現藤倉航装で麻布から五反田そして戸越銀座下車でした。
昭ちゃん
返信削除北品川のはずれ、御殿山に父の社宅があって住んでいました。ソニー(東通工)がビルを建てる前は、部屋の窓から富士山が見えました!なんて、山羊に関係ない話でしたね(爆)。
春さん
返信削除灰をまぶしたのは、灰がついたまま食べるんですか?
ところで、私たちのお餅つき会場の I さんちの
マサコちゃんの作る山羊のチーズも美味しいですよ。
食べたことありますか?
kuskusさん
返信削除いただきものがまだ残っているので食べに来ます?あんまり他の山羊のチーズと比べたことがなくて、結局熊井さんのしか食べたことがないんだけれど(笑)、日本一というのは巷の噂です。フランス人が「こんなおいしいチーズは食べたことがない」と言ったとかというような。
十年ほど前に朝日新聞の日曜版に大きく載って、Gさんが知り合いなら話を聞きたいというので、一緒に訪ねて行ったことがあります。Gさんは飼料の問題で鶏から山羊に代えたいと思ったらしいのだけれど、難しそうであきらめたようでした。
マサコさんのは食べたことがあるかなぁ。お餅搗きのときパンと一緒に出てて、食べたことがあるような気もします。ときどき無性にチーズが食べたくなるほど好きですが、味はそうわかっていなかったりして(笑)。
持って行けないかもしれないけれど、取りに来てくれたら、おすそ分けします♪
よい話ですね、
返信削除実家の近くに山羊を飼っている家があり子供たちはみんな乳を飲んでいました。
私が飲んでいないので味はわかりませんが、、、
食べることは命を頂くことですよね、
バイキングなどで山盛り取って残す人に聞かせたいです。
啼き声
七面鳥を飼っている幼稚園があり
ところかまわず大きな声でなきました。
今なら問題になりますが、、、、。
昭ちゃん
返信削除熊井さんも兄弟が多いので栄養を摂らそうと山羊を飼って、乳を搾るのは長男である彼の小学生の時からの役目だったようです。山羊の乳もおいしいですよ。
昔、機械を使わず井戸を掘る技術を学んで国際協力する団体があったのですが、その代表のN先生は、参加希望者が来るとカレーをふるまっていました。もし取り分けたものを残したら、即不採用でした(笑)。もちろん他にも色々見るところがあるのですが、それは大きな要素とか。
山羊の鳴き声?隣近所が遠くてもたまりません(笑)。上のkuskusさんのコメントにあるIさんが以前ロバを飼っていたのですが、ロバの声は日本で聞くと山羊より強烈、たいへんだったようでした。山羊も群れだとあまり鳴かないようです。
春さん
返信削除うわ〜、うれしい。
ぜひご相伴にあずかりたいです。
近いうちに御連絡しますね。
kuskusさん
返信削除連絡待ってますね♪
そうそう、灰は食べます。彫刻に使うプレス機がチーズ作りに役立っているそうです。