2015年11月3日火曜日

あたまに柿の木


年によって、使うカレンダーの数は違いますが、今年は五つほどのカレンダーを掛けたり、置いたりしています。
「今日は何日だったかしら?」
と調べたい時は、まずコンピュータ画面を見るし、予定は日記帳の中のカレンダーやコンピュータのカレンダーに書き込んでいますから、紙のカレンダーは一つでもいいし、極端な話なくてもいいのですが、長年の習慣で、ついつい揃えてしまいます。
そんなカレンダーの定番の一つに、おがさわらまさこさんとかとうゆみさん共作の、手づくりのカレンダーがあります。今年のテーマは、日本昔話です。


月初めにカレンダーをめくると、いきなり強烈な、ゆみさんの絵が、目に飛び込んできました。
「おやっ、これはなんの話だろう?」
巻末の短い説明を読むと、大頭の与太郎の頭に柿の木が生え、切られてしまったけれどそのあとから、どっさりきのこが採れたと書いてあります。

はて、それだけではよくわかりません。
ネットで検索してみると、類似した話がいろいろ出てきました。

お話 1

どんべいは、いつも働かないで酒ばかり呑んでるのんべいを横目に、奥さんに怒鳴られながら働いています。ある日、のんべえの頭に熟れた柿の実が落ちたことがきっかけで、頭から柿の木が生えました。頭から生えた柿を売って生計を立ててるのんべえを見て、悔しいどんべえは、のんべえの頭の柿の木を切り倒しました。
すると、のんべいは、切った木の根元からはえた茸を売って、またも悠々と暮らしています。悔しいどんべいは、のんべいの頭から、柿の木を根っこごと引き抜きました。
のんべいに頭の、木が抜けた窪みに雨水が溜まって池になり、魚が棲み着きました。のんべいは相変わらず釣った魚を売って、気楽な生活をしています。これを見て、さすがのどんべいも、のんべえにかまうのを諦めてしまいました。
ある日、一匹の鷹が、のんべいの頭の池にある魚を目がけて飛び込んで来て、誤ってのんべえの頭ごとつかんで飛び立ちました。気がついた鷹が、必死の思いでのんべえを振り落としたので、のんべいは落下していきました。
ここで、のんべいになった夢を見ていたどんべえは、目が覚めたというお話です。

お話 2

お侍のもとで働く男は、しばしば江戸に使いに行きました。男は無類の酒好き、いつも道の途中の飲み屋でお酒を飲んで寝てしまいます。あるとき寝ていたら、頭に柿の種をまかれて木が生えてしまいますがそれに気づかず、起きるとあわてて道を急ぎました。
しばらくして、男は生った柿と交換にお酒を飲ませてもらって寝ていると、侍が刀で柿の木を切り倒しました。そして、そのあとから平茸が生えました。
男が平茸と交換にまたお酒を飲ませてもらって寝ていると、樵が来て切り株を粉々に切りました。頭に大穴が開いたのにも気づかなかった男の頭に水がたまり、ドジョウが棲みつき、そのドジョウと交換に、男はまたお酒を飲ませてもらったという話です。

他に、きのこが出て来ないお話もあります。

●のんきな男の頭に柿の実が落ちてきて木が生え、最後は大地になった頭に自分が乗ってたんぼをつくるお話。

●酒飲みでぐうたらな男が柿の種を飲み込んだら頭から木が生え、その男はひたすら酒を飲み続けると大地は広がり、働き者の男がきて、そこにたんぼをつくる話。

●頭に落ちた柿の実を、血と勘違いして頭を手ぬぐいでしばった男の頭に柿の種食い込んで木が生え、柿を売って儲かったお金でたんぼを買い、頭の池から水をやってたんぼを潤した話。

などなど、ちょっとずつ違います。
「あたまに柿の木」の話は全然知りませんでしたが、どうしてこんなにいろいろなバリエーションがあるのでしょう?柿の木、酒のみ、労せずして儲けるなど共通点がありますが、このお話にはどんな教訓が隠されているのでしょう?あるいは、教訓などないのでしょうか?
不思議なお話でした。


さて、陶器市で、来年のカレンダーを手に入れてきました。来年のテーマは、イソップ物語だそうです。
「イソップ物語って紀元前に書かれたんですって。知ってました?」
とゆみさん。


猫の首に誰が鈴をつけるかという話、狐が鶴にお皿に入ったスープを出す話、北風と太陽の話、お話はどれも馴染み深いものばかりですが、そんなに古いお話だとは知りませんでした。


カレンダーを吊るす、アルミの針金を叩いてつぶした掛け金具がとっても素敵です。






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