今年の初めごろ、固いバターを細い糸状にして、パンに塗りやすくするというバターミルを使いはじめましたが、わりとすぐ、夫が入院しました。そして、夫の入院中に息子が来て、十日ばかり泊まって帰っていきました。
息子と私がバターミルを使うのに、何の問題もありませんでしたが、夫が退院してきてからは、バターミルを使うたびに、回して止めてあるミルの部分が外れます。
「外れちゃったよ」
メカには私よりずっと強い夫ですが、最初から、何とかするつもりがなく、外れたのを私によこします。
「外さないように使ってよ。ミルの縁を持ったんじゃないの?」
「持たないよ。デザインが悪すぎるよ」
「なんでいつも外すのか....」
「おれが悪いわけじゃないよ」
注意深く扱わないと、外れやすいことは確かですが、毎回となると始末が悪すぎます。
折も折、燕三条でバターを削り取るバターナイフというものを売り出したのを知りました。
バターミルのパクリというか、そっくりな穴が開いていて、それをバターに押しつけて、バターを削り取って使います。
「使い勝手はどうかなぁ」
バターミルは、失敗だったので、このナイフを買うのを、しばらくは躊躇していましたが、バターを使うたびに気を使わなくてはならないことに、とうとう疲れ果て、注文してみました。
どの程度の力で押すとバターが削れるかわからなかったので、 バターは深いバター入れに入れておきました。
手前から、奥へと押しますが、思ったほど力は要りません。
ただ、バターナイフがかなり曲がっているとはいえ、新しいバターでちょうど角度がいいくらいなので、バターが少なくなってきたら、削れません。
平らで蓋が深いバター入れに入れた方がよさそうでした。
パンに塗るのも、なかなかきれいに塗れます。
バターミルだと、せっかくの糸状に削れたバターが、バターナイフで集めると、お互いにくっつきあって丸まってしまいましたが、これだとそんなこともありません。
さて、固いバターが嫌なら、冬以外はちょっと早めに冷蔵庫から出して常温に置いておけば、柔らかくなるので問題ありません。
冬は冬で、バターを小さな玉に丸める道具があるので、それを使うと、ある程度柔らかくなったバターを使えます。
ただ、毎日優雅な生活をしているわけではないので、食べようとしたときにすぐ食べられることが肝心、今度こそ「あたり」でしょうか?