「この人とは、20年来の友だちでねぇ」
という言葉を、うらやましいような、ねたましいような気持ちで聞いていたころがありました。
ところがいまはどう、10年来の友なんて、まだまだひよっこ関係、20年来の友がごろごろ、気がつくと、知らない間に30年、40年来の友だちが、わさわさとできています。
そんな、30年来、35年来の友人たちが来る日、
「ご飯は何つくろうかなぁ」
と、深刻にではありませんが、ちょっと考えます。前に来た時につくったものを、また食べさせたくありません。ところが日記をひっくり返してみるのが、ことのほか面倒です。ましてや、四回、五回目の人たちがいると、もう何をつくったらいいのか、という気分になります。
そうだ、美味しかったOさんのお料理を、記憶が新鮮なうちにそっくり真似てみよう、献立を考えなくて済むし、一度つくればつくりかたを覚えられるし、なかなかいい思いつきだと実行しました。
豚バラ肉とレンコンの炊き合わせ、肉詰めトマトの姿焼き、海老とアボカドのサラダ、鬼おろしきのこ添え、きゅうりとミョウガとショウガの酢の物、ゆず味噌味をかけたふろふき大根と卯の花などを、味を思い出しながら、真似しました。
イクラご飯だけは、このところ白米から玄米に切り替えてしまったしと、山椒ご飯に変えました。
レシピをOさんに聞いたわけではありませんが、年の功で、何とか勘が働きます。それに、もしわからないことがあれば、ネットでレシピをあれこれ見ることができる時代です。
ところが、つくってみると、さすが料理上手のOさんのつくったものでした。私の、短時間でちゃっちゃとやっつける料理と違って、手間も暇もかかるのです。前日に下ごしらえしておかなくてはならないものもあるし、出汁を取ったり、時間をかけて煮込んだりと、台所に貼りついてしまいました。
そうやってつくった料理ですが、またまた写真は残っていません。
最初は撮っていましたが、そのうち忘れてしまったのです。
わずかに、きゅうりとミョウガ、ショウガの酢の物と、
アボカドとエビのサラダの写真があります。
Sさんからお土産にいただいた、生ハムやチーズは撮りましたが、写真はここまででした。
Dさんからいただいた、「夢の又夢」という名前のお酒のように、ちゃんと料理の写真を撮ることができるのは夢の又夢のようです。
マルケサス諸島の戦士の踊りのDVDを見たり、パラワン島の塀のない家族と暮らせる刑務所の話を聞いたり、日本の刑務所には、一刑務所でも35ヶ国の人たちが収容されていて、外国人の割合が20%にもなっている話を聞いたりする中で、ときおり、共通の知り合いの名前が出てきたりしました。
話は、夜更けまで尽きることがありませんでした。
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