夫は、作業棟の二階に、ちょっとしたカウンターのようなものをつくっています。
分厚い甲板がいるので、以前、
「いるかい?」
と、K製材所でいただいたカシと格闘していました。
カシは重い上に、硬いのなんのって、端を落とすのも削るのも、四苦八苦です。
「なんか、きれいじゃないんだなぁ」
「そうねぇ」
「これもなぁ」
反ってしまいました。
「どれも使えないんじゃないの。仕方ない、買えば?」
「どうするかなぁ」
私たちは、長く大工をやってきたので、それなりにたまってきた木もあり、できるだけ手持ちの材だけでやっていますが、どうにもならないときもあります。
「前川に行ってみましょうよ。安い木があるかもしれないわ」
と、あまり乗り気ではない夫と、材木屋さんを訪ねてみました。
さて、材木屋さんに並ぶ木を見ると、当たり前ですが、一枚が30,000円とか、45,000円とか書いてあります。ため息をついていたら、
「今日は何を探しているんですか?」
と、顔なじみのKさんが声をかけてくれました。
厚みは6センチ、幅は50センチの材が取れるもの、そして、できるだけ安いものが欲しいと希望を言います。
「長さは?2メートルくらいでもいいかな?」
「十分です」
「杉でいいんでしょう?ちょうど安いのがあるんだけど」
と、半端ものなどをおいてある、特別の場所に案内してくれました。
わぁ、目を疑いました。
1枚3,800円!破格の値段です。しかも、5枚買ったら、
「もっと負けられますよ」
と、事務所と交渉して、1枚3,000円にしてくれました。
私たちはもう、にこにこでした。
樹齢は、6、70年でしょうか。山に植えて、育てて、山から伐り出して、運んで、皮をむいて、製材して、乾燥させてこの値段です。もしかして、廃業してしまった製材所から、ただで引き取ったといった背景を持ったものなのかもしれません。
八郷には、志を持って林業に携わっているHくんやSくんがいます。
彼らが聞いたら泣きたくなる値段なので、申し訳ない気持ちもしますが、私たちにとっては嬉しい出逢いでした。
春姐さん
返信削除門外漢ですが価格が載るとよく解かります。
雑木を木炭にあとは杉や檜を植えるのを見てきたので
面白いです。
植えるのは営林署ですが、
伐採から集計所までロープで当時は大変でした。
昭ちゃん
返信削除木を持っている人の出荷価格が立米15,000円やそこらでは、利益なしと言われています。手間賃で消えるということでしょうね。
今は重機があるので、どの工程も昔に比べると数倍楽になりました。山には伐採道路が縦横無尽に通っていますが、それでも大変ですね。
私が熱帯多雨林の伐採反対運動にかかわっていた四半世紀前に、ラワンなどは立米3,000円と言われていました。ところが、製紙のためのカナダの原生林伐採は、さらにその上を行き、立米がたったの30円でした。もう阻止のためにどんな運動をしても無力感に襲われました。
カナダは、今どうなっているか知りませんが、マレーシアの熱帯多雨林は消え失せました。半面、日本には手入れされない山が広がっています。
さすが姐さんはくわしいなー
返信削除大々的に伐採するときは谷にワイヤーを張りウインチで卸しますが、
個人の山なら倒した木に楔を打ち込み(3本ほど)
牛が引いて麓まで引きずって行きます。
牛を休ませるのでそんな風景はお助け達が見ています。
昭ちゃん
返信削除それが、西と東で違うらしいのです。関東以北は、伐り出した木も含めて、ものを運ぶ仕事はすべて馬だったそうです。だから、日清日露戦争以前の役馬の「馬頭観音」碑もたくさんあります。
西は牛だったんですね。なんか、おもしろいなぁ。そして、タイやビルマでは、伐った木を運び出すのは昔も今も象です。でも、ボルネオ島などには、おかげさまで象がいなかったから、木が最近まで残っていたんですね。
象はともかく、牛と馬の役目違いはおもしろいですね。私も小さいころ、倉敷で日常的に農耕牛は見ましたが、馬はほとんど見ませんでした。
そして、このあたりで、一度だけ「牛頭観音」碑を見ましたが、とても珍しいもの、そして馬頭観音碑はどこにでもあります。
関係ないけれど、タイの東北部では田を耕すのは水牛、国境を越えたカンボジアでは牛でした。
ルソン島に行った友人の話ではやはり水牛とか、
返信削除牛より管理が大変だっいたようです。
昭ちゃん
返信削除それで思い出したけれど、古いことで記憶がいい加減だけど、確かタイでも北部は牛だったような。水牛はいなかったような。
飼うのはどっちが大変かというのは、餌場との関係でしょうね。たいてい、牛はやせていて、水牛は丸々としていたけれど、だからといって水牛の方がたっぷり餌を食べていたというわけでもないし、両方飼っている人もいました。もしかしたら、どっちの肉が好きだということも、少しは関係していたかもしれません(笑)。