2018年8月3日金曜日

インクビン

万年筆を使うにしろ、つけペンを使うにしろ、インクはなかなかきれいには使えなかった思い出があります。

コルクの栓からベークライトなどねじ式のキャップになってから、インク汚れはずいぶん解消されたと思われますが、それでもつけペンを置くペン皿の中はインクだらけだったし、机にもインクのこぼれ跡がついていたし、昔は子どもにでもできていた、中指のペンだこも、よくインクで汚れました。


万年筆が普及していない頃は、インクビンもつけペンと一緒にもってあるいたのでしょう。ケース付きの携帯用の小さなインクビン、ライトインキです。
コルクの栓の上に大きなつまみがついて、開けやすいと同時にこぼれにくくしているにもかかわらず、インクはケース内で盛大にこぼれて、コルク栓だけでなく、ビンのラベルにも蓋にもたっぷりと染みていました。


ケースがあることで、ほかのものを汚すことから、少しは免れていたのかもしれません。


ビンは汚れていない方が好きなので、洗ってみました。
蓋もビンの中もすっかりきれいになりましたが、コルクに染みている赤と、ラベルに染みた赤がある限り、ビンは赤くしか見えないようです。 


ラベルは、書いてある文字が読めないほど、表も裏もまっかっかに染まっています。


まるで、ビンの中にまだインクが残っているように見えますが、ラベルの裏が見えているだけです。


このインクビンのコルク栓はオリジナルでしょうか?
だとすると、インクが染みこんでいないので、デッドストック、使われなかったものと思われます。
コルクは十分古いものですが、ほかにオリジナルの蓋があったのかどうかは不明です。


底には、PILOT 2oz MADE IN JAPANと陽刻があるので、輸出用だったものです。


縁にはねじが切ってありませんから、コルクの栓だったことは確かです。

パイロットインキ

そっくりのビン、日本向けですが、キャップが目深にかぶさっているので、これはねじ式、とすると、コルク式より新しいものでしょう。


我が家に、インクビンがそうあるわけではありませんが、一つを除くと、コルク栓の蓋だったようで、ガラス瓶にはネジを切ってありません。
左は富士山の陽刻のあるプラトンインキ、右はエンボスがないので不明ですが、インクビンと思われます。

プラトンインキ

プラトンインキだけでなく、ほかのインクビンも、こぼさずに持ち運びしやすいように紐がついていたようです。


サムライインキにも、紐がついています。


右は、我が家にある唯一の、キャップ式の蓋がついたテンペイインキです。
左から横書きしてあるので、戦後のものでしょう。


さずがねじ式、インクは乾いたりせず、しっかり残っています。


インクビンの形は千差万別、それでも倒れにくいように、持ち運びもできるように、それぞれ工夫されています。
林立していたインク会社の心意気が垣間見えます。







2 件のコメント:

  1. 机の上のインキ瓶をひっくり返した記憶は
    何度でも、、、
    ドッキリ用具にありますね。
     吸い取り紙や紅白の小瓶に入ったインキ消し
    お偉いさんの机の上にはガラス蓋つきのインク入れ
    全て懐かしいです。
     当時使用した文鎮は今でも机の上にあります。

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  2. 昭ちゃん
    吸い取り紙といえば、役場の人たちがはめていた紺色の腕カバーもありましたね。あれもワイシャツや背広にインクで染みをつけないためだったのでしょう。
    ほんとに、インク(昭ちゃんならインキ)は身近にありながら、必需品ながら、ちょっと厄介な代物でした(笑)。手紙を書こうとペン皿の中を見ると、つけペンにはインクがこびりついているし、たいていペン先も傷んでいました。
    私もインクをひっくり返しましよた。ひどいときは畳まで汚しました(笑)。

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