2019年5月25日土曜日

キルトの修理

ベッドカバー(ベッドスプレッド)には、いつも自分でつくったパッチワークのキルトを使っています。
これが、普段使いすると、意外に長持ちしません。10年くらいが限度、修復不能なほどボロボロになってしまいます。昼間掛けておくだけで、夜は畳み、キルトを掛けた上には寝っ転がったりもしないし、犬猫も乗らないのですが傷んで、これまで3枚か4枚、使い切ってしまいました。
『赤毛のアン』など読むと、客用と普段使いのベッドカバーはきっちり分けていたよう、さもありなんです。
かといって、せっかくつくったキルトをしまい込んでおくというのもつまりません。


今使っているベッドカバーは、母屋ができた2009年から使っています。


母屋に入る前に6年暮らした仮設ビニールハウスには、掛けた洋服も飾った人形も、何もかも色褪せさせずにはおかない陽ざしが年中降り注いでいたため、使っていたキルトは数年で色あせて、ボロボロになっていたので、大工仕事の傍ら、母屋に移ったら使おうと、招き猫尽くしのキルトをつくっていたのです。

パッチワークには思い出の古布を使うといいと言いますが、それはあくまでもまだ余力のある布のことでしょう。
かつて、愛着のあった自分のワンピースをリフォームしてつくった息子たちの服が、たった一日でずたずたに破れてしまったことがありました。動きの激しい幼児服ならずとも、ベッドカバーでも年月を経た弱い布は破れるというより、擦り切れて消えてしまいます。
このキルトでは、幟(のぼり)だった布を使った、とくに「黒い部分」が弱かったようでした。


目の擦り切れた招き猫がたくさんいるのは前から気がついていて、いくつかは直しました。
しかし、目だけでなく、傷みがかなり進んだので、庭仕事を休んでいる(目をつぶっている)今週、本格的に直してみようかと、黒い布を探しました。


見つかったのは役立ちそうにない縮緬多数と、少しはましな綸子(りんず)、母がつくったらしい黒地プリントの枕カバーだけでした。黒木綿はもっとあるはずですが、見つかるまで待っていたら、きっとやる気が削がれてしまうでしょう。
縮緬は論外として、綸子は使えそうでしたが厚みがあるので、できれば木綿を使いたい。問題は、このプリント布の黒い部分だけで、必要な大きさの布が取れるかどうかということでした。


まず、黒地部分が大きい、この猫から試してみました。
右わきの下、右目だけでなく、頭が破れています。


トレシングペーパーで型紙をつくり、プリント布に置いてみます。
キリンの尻尾が入ってしまいましたが、ぎりぎり裁ち合わせができました。


パッチワークを仕上げるときは、それぞれのピースを縫い上げ、後で全部をつなぎ合わせ、綿を入れ、裏布を当ててキルティングをします。
でも修理するときは、つながったまま直さなくてはなりません。机の上に広げて、手勝手がいいように布全体をまわしながら、裏まで針目が出ないようにかがりつけ、最後にキルティングを施します。
  

額の真ん中にキリンの尻尾がのぞいてしまいましたが、まあまあ。
一丁上がりです。


この猫の裃も、同じ幟の布の部分です。左側(向かって)だけが擦り切れています。
模様がちょうど紋のようで、うまい使い方だと思っていましたが、まだ破れていない右側も差し替えます。


まずは、裃の布を取り外します。


裃の周りの布は、裃の上になったり下になったりしていますが、その通りに新しい布でやり直します。


水色の布の時ついていた「紋」はなくなってしまいましたが、丈夫な布に越したことはありません。


もっとも面倒そうなのがこの猫です。
赤い耳の周りと、ネズミ色のぶちの縁取りをしていた黒布が擦り切れています。あまりにも面倒そうなので、簡略化するかどうかも含めて後回しにしました。
ぶちの縁取りをせず、耳の周りだけは元のようにするのが一番簡単そうですが、ほかの猫を直して、余力があれば元のようにつくりましょう。

普段キルトをベッドカバーとして使っていると、改めて一つ一つの猫を眺めることもありませんが、首輪に魚に見える模様を持ってきているなど、楽しんでつくっていたことがうかがえます。


だいぶ傷んでいる、「うちのタマ知りませんか?」のタマは、バンコクの路上で買った目覚まし時計をもとにしたものでした。


黒いぶちや髭、鼻もなくなっています。


時計の部分は、針は完全に失われていますが、ちょうど文字盤みたいに見える布も、擦り切れ始めています。


まず、ぶちを貼りつけ、目を直しました。


ちょっと歪んでしまったけど、髭も直しました。
後で確認したら、本当のタマの頭のぶちはもっと丸いものでした。時計自体が海賊版ですから、気にしないことにしましょう。
しかし、時計の文字盤にふさわしい布はありません。


ところで、母のところから来たのか、ウルトラマンの小さな端布がありました。
ただ、ウルトラマンは切れていて、バルタン聖人がかろうじて姿をとどめています。
誰が見るわけでもないから、時計じゃなくてメダルでもいいやと、バルタン聖人のメダルにすることにしました。


というわけで、タマもできました。
メダルを持っているなら、頭の上の目覚ましにするために押すボタンが残っているのは変ですが、取るほどのこともないでしょう。

いつものことですが、懸案事項はやって見ると案外簡単に片づくものです。
あと、いくつかの目を直して、そして、最後に魚の首輪をした猫を直すつもりです。







6 件のコメント:

  1. うわー!一匹(と呼ぶのか?)分のアップリケだけでも大変で、私なら一つ作ったところで額に入れてやめると思いますが、すごいですね。何匹分ですか?全部デザイン違い?ですね…。
    楽しんで作られたのでしょうが、見ているのも楽しいでしょうね。
    何か私も頑張ろう(笑)《何を?(笑)》と思いました。

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  2. えー、100匹以上の招き猫を全部春さんがデザインしてチクチクしたのですか!凄すぎる!それなのに、なんでひざ掛けが出来上がらないのか(笑)?
    メダルというよりは、バルタン星人がお腹の中の操縦席でタマを操っているように見えて、怖いです(笑)。

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  3. karatさん
    110匹です。つくりたい大きさから計算して数を決めて、うちにある招き猫をモデルにつくりました。中に招き犬も2匹混じっています。
    一つ一つのピースは小さいのでどこでもできる、苦じゃなかったです。それに、端布の整理もありました。でも作っていたら母が、「家にもある」とどさっと布を持ってきたりして(笑)。今でももう一枚作れそうなほど、端布が転がっています。
    ほんとに小さな布でつくれるし、色も台布を決めておけば、どんな布を使っても色合わせが簡単だし。
    ただ、つないだ表布と裏布に綿を挟んでしつけでとめられるスペースだけは必要ですが、プレハブのゲストルームがあったのでそこでやりました。
    しかし、もう4日ぐらい直しているのだけど根気が続かず、しょっちゅうお茶しています(笑)。

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  4. hiyocoさん
    持っている招き猫を写しただけだから、デザインというほどではありません。まぁ、いつでもはじめていつでも休める手縫いは楽です。ミシンは苦手ですけれど。
    バルタン聖人、ちょっと残っていたわりには確かにインパクトがありますね。でも使い始めたらone of themで目立たなくなることでしょう。
    ひざ掛け?
    じつはですねぇ、hiyocoさんに威張りたい(笑)、この冬は発奮してひざ掛けを編んだんですよ!
    暑くなったらできないので、冬の間コンピュータの横に一式を置いて、休憩するときちょっとという感じで。なんと、あと16枚残すだけとなりました。5年越しいやもっとかな?ゴールが見えてきました(笑)。
    パッチワークの修理を始めたのも、最初編み物をしようとしていて、いや待て、今週は草刈りとかしないから、まとまったことをしようと手を付けたものです。
    つくるより直すのが大変です。前に捨てちゃったのもこまめに修理していたら何とかなっていたかもしれないけれど、なかなかできないで、破れ放題になったりして傷口を広げてしまったものです。

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  5. 110匹ネコちゃん!可愛いですね~。ほしいなぁ(笑)。あそこに見えるのは実はキリンの尻尾、知っていると見るのも楽しいですね。

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  6. Bluemoonさん
    いわゆるアップリケですから、誰でもできます。つくってみてくださいね(^^♪
    残り布は散らばって、端布なので片付け方も難しく、それが困りものです。でも、とっても小さい端布でさえ役立つので、なかなか捨てられません。今回もそんな布を利用しています。

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