2021年1月7日木曜日

吉田秋生

3日も休んでしまいました。
世間ではコロナがさらに勢力を増し、先も見えない暗さですが、滅入ってばかりはいられません。
このブログでは能天気に、のんきな話を続けていけたらと思います。


また?
そう、また、漫画の話です。お正月で来ていた長男に『海街diary』(吉田秋生、小学館、2007年)を見せました。
「久しぶりに見たけど、やっぱり吉田秋生(よしだあきみ)は天才だなぁ」
とは、長男の感想。


「話もそうだけど、絵がいい。スクリーントーンの使い方がなんてうまいんだ!これなんて白黒だけど、空の色が見えてくると思わない?」
「そうぉ?」
そう言われれば、私にも空の色が見えてきましたが、もともと空の色はそう想像しにくい色ではありません。


「でも、顔なんか前向きと横向きで感じが違ったり、描いてなかったりするよ」
「そんなことは、全然問題じゃないよ。その、『ごくせん』っていうの見せてくれる?」

ごくせん

私が面白くて、今はまっていると話していた『ごくせん』を、息子に見せました。
「これさぁ、スクリーントーンが色を感じさせないじゃん。ベタじゃん」
「そうぉ?」
「これで、ズボンの色がわかる?」
ズボンの色は、まあまあ想定内だと思いますが、空の色よりバラエティーがあります。
「わからないっちゃわからない。でも表情はすごくうまいよ」


「何てゆうかなぁ、吉田秋生の絵は深いんだよ」
と、息子は吉田秋生さんをべた褒めです。


それにしても、昔は息子たちと競うように漫画を読んでいたのに、今では長男も次男もすっかり漫画離れしていて、いまでも喜んで読んでいるのは私だけになりました。『海街diary』をべた褒めした長男でさえ、全部を読んでみる気はなさそうです。
ちなみに夫は、漫画にはまったく関心がありません。


私が、息子に勧められて最初に読んだ吉田秋生は『櫻の園』だったか、『河よりも長くゆるやかに』だったか、息子はそのころから吉田秋生さんの熱心なファンでした。


吉田秋生のコミック版は家にいろいろあったので、1980年代までは私も読みましたが(その後、『吉祥天女』などは文庫で新たに買ってもいますが)、吉田秋生の代表作ともいえる『バナナフィッシュ』は好きにはなれず、『バナナフィッシュ』を最後まで読まないまま、吉田秋生が漫画を描き続けているのか、それとも描いてないのかも知らないで、長い年月が過ぎました。


そして、30年ぶりくらいに読んだ『海街diary』、よかったです。
鎌倉に住む4姉妹の物語ですが、心に哀しさや空しさを抱えた人物の描き方のうまさ、何と表現したらいいかわかりませんが、ぴか一です。
姉妹だけでなく、ほかの登場人物も深い。みんないい味を出しているのですが、長女「幸」の勤める病院の看護師のアライさんにはびっくりしました。なにかが起こって、周りが「アライさんはどこ?」、「またアライさん!」と言って大騒ぎしている場面がたくさんあるのですが、アライさんは絵としては一度も出てきません。それなのに、ポカはしてしまうけれど優しい性格が、きっちりと描かれています。
物語には死と生も入っていて、渾身の力で描かれているのに、ほどよいゆったり感でした。






 

4 件のコメント:

  1. 私は映画の海街ダイアリーしか見ていないのですが、映画でもアライさんは会話の中でしか登場しませんでした。だからかえってとても気になりました。映画化の際、アライさんは登場させないというのが吉田秋生の唯一の条件だったそうです。

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  2. hiyocoさん
    舞台が鎌倉で、地元だから、見たんですね(^^♪
    漫画だったら気にならないけれど、実写だったら確かにアライさんが出てこないって不自然かもしれません(笑)。しかもアライさんを登場させないというのが条件だったなんて、おかしいです。アライさんて、いったい何者なんだ!
    「ごくせん」のドラマ版は、ネットで見る限り、まったく別の代物みたいです。「海街ダイアリー」も、アライさんが登場しないことが、変に目立つなんて変。小説や漫画をドラマするのは難しいですね。当たれば原作も売れるのだろうけれど。
    「アシガール」はその点、よくドラマ化できていました、上橋菜穂子もドラマ化の仕上がりを絶賛していたし、作者の森本梢子も気に入っていたみたいでした。でも、若君役の健太郎君がひき逃げですべては無になり、続編の制作(あったかどうか知らないけれど)もなくなりました。

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  3. こんばんは。私はコミックというか漫画はこのところ苦手でした。
    情報量が多すぎるというか、文字の他に絵も見ないといけないというか、誰の言葉か絵を見て判断、顔の表情で心の動きを読む、顔のアップの頻出もうるさい…等々。(^^)
     描かれている絵が好きでなくては読み続けられないし、特に目をむいた顔の絵が頻繁に出てきたり、怖かったりは見る気も起きなかったのですが…。
    「あしガール」と「ごくせん」と「高台家の人々」が同じ作者だったなんて、春さんのブログで知り、「高台家の人々」を念のためネットの漫画サイトで試し読みしてから、本を買いました。(^^;)。
     これは笑えました。話の筋というより、主人公の妄想画面に、吹き出しました。ありがとうございます。
    その勢いで、こちらで紹介の海街ダイアリーも購入。(事前に試し読みはしました。(^^;)。)
    春さんのご長男との会話も、なるほどと思い出しながら読みました。
    景色の描き方素晴らしいです。
     知っている場所も次々出てきて、もう少しコロナが落ち着いて電車に気軽に乗れるようになったら、ここ行ってみたいなと思いました。
     ただ、サッカーとかの話は苦手で、そこで読む速度が鈍るし、あまり色々人が出てくると戻って読み返したり…、読みでがあります。
    ありがとうございました。

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  4. karatさん
    この年で漫画ばかり読んでるなんてと思っていましたが、楽しんでいただけて、こちらこそありがとうございました。元気が出ます(笑)。
    そうそう、漫画はめんどくさいものです。かつてはあんなに楽しんだのに『がんばれ元気』とか手塚治虫の数々も、今はちょっと見ただけでどっと疲れて読み返す気にはなれませません(ブラックジャックだけは別だけど、笑)。また、時々、新聞やラジオなどで紹介されている漫画を読んでみたりしますが、何にも伝わってこないものもあります。今、大流行の「あれ」も、見てもないのにたくさん死ぬとか聞いただけで、見るのも無理と思ってしまいます。
    漫画の会話は、確かに誰が言っているのかわかりにくいものがありますね。「吹き出し」に最低の約束があるのだけど、「尻尾」がついてなかったり小さすぎたり、手書きの字が小さすぎたりして。
    でも、それも楽しい。私の現実逃避です(笑)。

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