2022年7月5日火曜日

シウレル、マヨルカ島の土笛


これ、ずっとメキシコの土笛だと思っていました。ところが、『世界の民芸玩具』(尾崎織女著、大福書林、2020年)をパラパラと見ていると、これと同じ土笛がスペインのマヨルカ島の土笛、カタルーニャ語でシウレルと呼ばれるものだと紹介されていました。
メキシコはスペインの植民地だったから、この土笛がマヨルカ島からメキシコに紹介されて、メキシコでつくられたと考えることはできるでしょうか?
ちょっと無理でしょう。
メキシコの土笛だと思っていたのは、私の勘違いでした。

日本玩具博物館の展示より

シウレルは、20世紀初頭にはすでに、地中海西部のバレアレス海に浮かぶマヨルカ島の女性たちによって焼かれ、キリスト教の祭礼の日には子どもたちに売られていました。
のびやかに手びねりされた土笛は、神話や伝説の人物、そして悪魔や動物などを表していて、どれも白地に緑と赤で模様が描かれています。


これはロディオ、つまりカーボーイだとばかり思っていましたが、なんと「馬に乗る、サン・ジョルディ」だそうです。
サン・ジョルディはキリスト教の聖人、聖ゲオルギオスのことです。


シウレルはどれもかわいい。ただ空気を蓄えるところが小さすぎるのか、笛としてはあまり機能していない感じがします。
私の持っているものは吹いても音が出ませんが、他のシウレルも似たり寄ったり、吹き口はついているものの、音は出にくいのではないかと思われます。


上の写真は、どれもよく鳴る下川原の土笛です。口は一つですが、中に少し広いスペースがあるのでしょう。


さて、1970年代に、夫が仕事でスペインに行ったとき、小さな土人形をいろいろ、お土産に買ってきてくれたことがありました。しかし、なんとなく漫画チックな土人形たちが好きになれず、粗末にしていて、失くしてしまったのですが、探したら一つだけ、羊を抱いた男の子が残っていました。数あった中で、これが一番ましだったものだったのでしょう。
そんなこともあって、漫画化(お土産物化)したスペインの土人形にはまったく関心がなかったのですが、kuskusさんのクリスマス人形を見たとき、スペインにも素敵な土人形がまだ残っていたことを知りました。
それに、このマヨルカ島のシウレルです。


シウレルは今もつくられています。
上の写真の真ん中は言わずと知れたキリストさま。後ろの人たちは三賢人には見えないので、マリアとヨゼフ、そして天使でしょうか。


星を台にした降誕人形のシウレルは、「作家さん」がつくっっているものです。それに比べると私のもっている、30年ほど前(もっと前か?)のシウレルは、職人さんがつくったという感じです。
手仕事は、世界中で消えています。残るとしたら作家さんと呼ばれる人の手によるもので、いわゆる職人さんの仕事としては消えてしまい、子どものおもちゃとしても消えてしまっています。
というか、子どもがおもちゃとして持ち遊ばないので消えているのかもしれません。






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