2023年8月24日木曜日

森林文化アカデミー(美濃2)


岐阜県美濃市にある森林文化アカデミーは、県立の2年制の学校で、高校を卒業してすぐ進学する「森と木のエンジニア科」と、大学卒業者や、4年以上の実務経験がある人を対象とした「森と木のクリエーター科」があり、クリエーター科の学生の平均年齢は、30代後半(だったかな?)です。
夫がこのたび、クリエーター科の学生さんたちにお話をする機会をいただき、私も一緒について行きました。
森林文化アカデミーは、広い森の中に、地元の木にこだわって建てた木造の建物が点在しているキャンパスで、在校生は理論を学ぶだけでなく、自分の手で建物を建てたり木製品をつくったりと、実技の力をつけることに重きを置いた教育がなされています。
写真は集会があった、「森の情報センター」の外観です。


ダイナミックな建物の「森の情報センター」は20年以上前に建てられたとのこと、予算の関係や、当時はあまり断熱材を入れる慣習もなかったことなどから、屋根には断熱材が入っていないとか、途中で雨が降ってきて、ガルバリウム(トタン)の屋根をたたく雨の音でマイクの声が聞こえないほど、でも、それも楽しめる空間でした。


講演の後のグループ討議の様子、建物のダイナミックさがわかります。


講演と討議が終わった後、まついさんに学内を案内していただきました。
写真は、今年の2年生たちが建てた道具小屋です。


道具小屋は、既存の「もの見台」の櫓(やぐら)を利用して増築という形でつくられています。


この壁からが増築部分で、皮をはいだ木の板をアトランダムにはめ込んだ壁の装飾が素敵です。
このような「遊び」ができて、それが建物に表情を与えるのが自力建設の醍醐味です。


真実真似したいと思ったのは、丸鋸の置き場所です。実にいい感じですが、我が家にはこんなにゆったりした丸鋸置き場をつくるスペースは残っていません。以前、道具置き場をつくってみて感じたのは、手を高く上げないでも届く位置から上は、スペースがあってもなかなか使いこなせないことです。高いところにはあまり出番のないものを置くにしても、限界がありました。


インパクトドライバーもうまくまとまっています。電池は電池で別の場所にまとめて置いてありました。


メインビルディングである校舎は広く、集塵機つきの大型電動工具が、整然と並ぶ垂涎の空間でした。
展示室もあり、歴代の学生さんたちがつくった作品が飾ってありました。中でも目を引いたのは、いろいろな弁当箱でした。木工の学生は、毎年弁当箱をつくる課題があって、思い思いにつくっていいとのこと、曲げわっぱ、轆轤(ろくろ)、刳り抜き、組み立てなどいろいろな技法を使ってつくった弁当箱が並んでいるのが壮観でした。
その弁当箱は、同じものを8つ(だったかな?)つくり、それを売るイベントも開かれていているとか、一般に公開され、毎年すぐ売り切れるほど、大好評だそうです。


グリーンウッドワークの椅子も各種おいてありました。

写真がないのですが、「MORINOSU」という学外者に開かれている「森林総合教育センター」も見せていただきました。教師陣が力を結集して設計された建物で、最小のエネルギー使用で夏は涼しく、冬は暖かい空間を目指していらっしゃいました。
ここは誰でも来ることができ、焚火をしたり、薪割りをしたりと、森と人とのつながりを感じる場所で、グリーンウッドワークのワークショップもここでやるそうです。
各種ワークショップは有料なのかどうか聞きそびれましたが、「MORINOSU」の施設を使うのは無料で、この日もたくさんの親子連れが思い思いに楽しんでいました。







4 件のコメント:

  1. 遊び心溢れた建物ですね!木片を並べた装飾が楽しい~。
    丸鋸やインパクトドライバー置きも素敵!どちらも置きにくい形なので、このように納められるとすっきりしていいですね。

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  2. hiyocoさん
    家って、楽しんで作れれば最高!彼らは楽しい2年間を過ごしているに違いありません。

    大きい建物の方はとってもダイナミックでした。
    ただ、最近は、東京できっちりしたビルを見たりしたとき、「私にこれをつくらせたら50年はかかりそう」とか、「無理無理、隣のビルが近すぎて建てられないよ」など、だれにも頼まれていないのに、つい自分でつくるならとどうしようと想像してぞっとしてしまいます(笑)。この建物も、「太い梁をどうやって立てようか」などと思ってしまいました(笑)。

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  3. 春さんのレポート、すごく興味深いです。
    岐阜森林アカデミーは画期的だと思います。
    林業の継続や、大工技術の継承、大工不足解消などなど考えても、こうした教育施設があればいいのに。
    あちこちで、大学が余っているので、そうした施設を活用して、教育内容を転換していけばいいのにとか、思ったりします。

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  4. afさん
    確かにこんな学校があればどんなに楽しいかと思われます。
    教師や卒業生たちの活躍も素晴らしいもので、国内だけでなく、国際的にも高く評価されているようです。
    先日はアメリカでスプーンづくりのワークショップをして大盛況だったとか、また、グリーンウッドワークに重宝する「馬」も作り方が公表されたり、キットや製品が売られたり、木工に携わる人口も増えているようです。誰もが椅子や食器などを手作り出来たら楽しいですね。
    クリエーター科の学生たちはみんな親に頼らず自分でつくった学費で来ているとか、問題意識もとても高いそうです。

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