裁縫をしないのに、裁縫道具は充実している私、大叔母の形見の裁縫箱には、ココヤシのボタンが入っています。
蓋を開けると針山、指ぬき、糸巻き、へらなどが入れてあり、それだけに見えますが、これをそっくり持ち上げて取り出すと、
その奥には隠し引き出しがあって、ボタンが入っています。
何のための隠し引き出しかわかりませんが、楽しいといえば楽しいつくりです。
貝ボタン、木のボタン、そしてココヤシの殻のボタンなど入れています。
ココヤシのボタンは、買ったものもありますが、着古した服を処分するとき、ボタンだけ外して取っておいたのもあります。
一つ一つ表情が違いますが、表裏のどちらかを使うかによっても違います。
カンボジアスタイルのフォーマルな服のボタンは、包み(くるみ)ボタンが基本です。
仕立て屋さんに布を持って行くと、黙っていても包みボタンにしてくれますが、ココヤシのボタンを持って行って、つけてもらうのも好きでした。
これは、今見るとボタンがちょっと大きすぎます。
このくらいの大きさのボタンの方がしっくりきます。
これは、友人からもらったストールで仕立てましたが、下にホール(絹絣(かすり)の腰巻形ロングスカート)を合わせるのが難しく、黒無地のホールでも重い感じになるので、残念ながら着て出かけたことはありませんでした。
これは、面白がって買ったボタンを無理やり使っている感じ、形が複雑すぎて、脱ぎ着に手間取ってしまうボタンです。
ウサギのお尻の方からでしかはめたり外したりできないのですが、上から2番目のウサギだけはお尻が大きすぎて、頭の方からはめざるをえず、引っかかるのでえらく時間がかかります。
カンボジアにいたころは結婚式も多かったし、大小の式典も多く、正装しなくてはならない場面が頻繁にありましたが、今では正装しなくてはならない場面は皆無です。また、梯子が倒れたときに腰椎を損傷したので体形が変わり、腹部のあたりがもたついているので、体形があらわになる服が着られるかどうか、絣織りのホールとともにすべて、箪笥の肥やしになっています。
服地は、牡丹色のもの以外は、タイのスリンの絹地屋さんで何十年も売れ残っている間にビンテージになってしまった手紡ぎ手織りの絹で、スリンに行くたびに寄って手に入れたもの、薄い布も節がある厚めの布も、どれも趣があります。スリンは、古くからクメール系の人が多く住みついた場所、タイではもっとも養蚕と絹織り物が盛んな県です。
ちなみに、ジム・トンプソンなどで売られているタイシルクは機械織り、機械では手紡ぎのタイの絹糸は経糸(たていと)として使えないので、もっと強度のある中国から輸入した機械紡ぎの絹を使っています。今では、緯糸(よこいと)も機械紡ぎの糸かもしれません。
機械織りの布は、手紡ぎ手織りの布とは別もので、のっぺりしていて、しなやかではありません。
ココヤシのボタンなんですね!見たことあるなーと思ってボタンの箱を見たら、同じものが5個ありました。私も服に付いていたものを外したんだと思います(笑)。
返信削除ハンガーの服は全部絹なのですか!艶がないように見えたので、絹だとは思いませんでした。私がイメージする絹の服ってツヤツヤテロンテロンですが、絹の手紡ぎ糸を検索したら全く別の質感でした。
裁縫箱、素敵!
返信削除hiyocoさん
返信削除タイの既製品などにはよくココヤシのボタンがついていますね。
「身近にあるものでボタンがつくれて、いいなぁ」なんてとんでもない!あの硬い毛だらけのココヤシの殻をつるつるにするのは至難の業です。貝ボタンの方がつくりやすいかもしれません。
上着は全部絹です。ウサギのボタンがついているのが一番糸が細くて薄いです。全部スリンの絹屋さんで買ったと書いたけど、訪ねた農家で買ったものもあるかもしれません。養蚕農家はみんないっぱいストックを持っていて、関心を示しているといろいろ見せてくれました。
スリンあたりでは、年配の女性は普段も絹の絣のサロンをはいていたりしますが、田植えをするとき、絹のサロンをはいて、泥んこになっているおばちゃんを見たときは、「贅沢の極みじゃん!」と感動しました(笑)。
手紡ぎ手織りの布は水洗いしても、変に細かいしわが寄ったりせず、寒いときは暖かく、暑いときはさらっと冷たく、しわにはならず、軽くて着心地のいいものです。
裁縫箱、いくつもあってどれも立派なのですが、裁縫が.....。