しばらく前に古い友人のFさんがいらしたとき、最初は気づかなかったのですが、着ていらっしゃるシャツがキューピー柄でした。
「わっ、キューピーのシャツだ!」
と私が思わず声を出したとき、Fさんは照れくさかったのか、それともお話に夢中だったのか、
「ああ」
と言ったきりでしたが、お連れ合いがにっこりうなずかれました。
そのとき、一緒にいらしたIさんは論客、Fさんも論客、夫も引けを取ってはいないという3人で、議論は大いに盛り上がっていて、まったくキューピーどころではなさそうでした。
Fさんのシャツは、淡いクリーム色の地に12、3センチほどのキューピーさんが 横一列に何段も並んでいる柄で、サングラスを掛けてサーフボードを手にしたキューピーや水着のキューピーがいたので、ハワイ土産のアロハシャツだったのかもしれません。
私もキューピー好き、ネットでキューピー柄のシャツを探してみたら、オークションやフリマで、ピンクハウスのシャツがヒットしました。私でも着ることができそうなシャツです。
今年は衣類は買わないと誓ったのに、あっさり破って手に入れてしまいました。
ピンクハウスのデザイナーの金子功さんはその昔、雑誌『装苑』でお馴染みでした。少女服というか、おとぎの国から飛び出してきたようにかわいいデザインなのですが、さりげなく着こなすのは難しく、着ている人が歩いていると、遠目にも、
「あっ、ピンクハウスがやってきた」
とわかる雰囲気に、すれ違う方が顔を赤らめたくなるほどでした。
もちろん、これまでまったく無縁で、まさかこの私がピンクハウスの製品を身につける日が来るとは、夢にも思っていませんでした。
Fさんのシャツを見なかったら、キューピー柄のシャツを探すなんて思ってもみなかったことでした。
ところで、Fさんのシャツのキューピーは衣服をまとっていて、我が家のバンダナのキューピーも服を着ているのに、ピンクハウスのキューピーは裸です。
もちろん、キューピーはもともと裸のもの、何の違和感もありません。
裸つながりで唐突に思い出したのは、カンボジアの街角のそこここに描かれたり立ったりしているアプサラでした。アプサラは当然裸で、等身大につくられたり壁に描かれたりして街角に立っていますが、街に溶け込んでいました。
ほぼ二頭身のキューピー、かわいいです。
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