2024年10月25日金曜日

色見本


みやこ染の染色標本を見ると、色の表記は浅黄、納戸、鶯茶など江戸時代から使われていたものも見える中、赤、桃色など明治(大正?)になってから使われるようになった呼び方が採用されています。江戸まで、赤は緋、桃色は朱鷺(とき)でした。
中に一つ、英語からきたオリーブというのがあります。この染色標本がつくられたのは、京城の支店があったことから、1910(明治43年)から1945年(昭和20年)の間ですが、オリーブ色は太平洋戦争がはじまると「国防色」と置き換えられたので、昭和初期までにつくられたものでしょう。

実はこの染色標本には「おまけ」がついていました。


「世界の標準色 フロレンス」という色見本です。


戦後のものと思われますが、微妙な色を出すのに苦労したのか、筆で塗った色の下に、カタカナで英語名が書いてあります。みやこ染の販売店などに、「こんな色が出るよ」と置いてあったりしたのでしょうか。

カタカナ表記には、コボールト・ブリュー(コバルト・ブルー)、アルトラマリン(ウルトラマリン)、ブリヤント・イエロー(ブリリアント・イエロー)などちょっと変な読み方もありますが(フランスでつくられたものだからか?)、すべて英語名で書かれています。
フロレンスの標準色は、もしかして、これですべてだった? ファッションなどと関係していたのでしょうか。現在、フロレンスの標準色というのは検索しても見当たりません。


現在、世界で共通に、もっとも広く使われているのは、アメリカで1963年に生み出された、パントンの色見本帳「パントン・マッチング・システム」です。
長方形の台紙に色・色名・色番号が書かれたもので、デザイナーが印刷屋や染色職人に色を明確に伝えるための手段として使われます。

世界共通ですから番号さえ指定すれば同じ色が出せて、とても便利なものです。例えばコカ・コーラの赤は「PANTONE484」です。


スターバックスの青、アマゾンの黒とオレンジ、LINEの緑など、ほとんどの企業の企業色やロゴマークの色が、パントンの色見本帳で決まっています。


みやこ染の染色標本には、ポスターもついていました。





 

2 件のコメント:

  1. フローレンスの色見本はありましたが、関係あるでしょうか?紙メーカーのようですが、フランスかはわかりません。違うかな~。
    https://www.vaessen-creative.com/en/brands/florence

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  2. hiyocoさん
    ありましたねぇ、フローレンス。でも、工作用の色紙に特化しているみたいで、印刷や染色用の色見本とはちょっと違うようですね。
    私もパンフレットつくったりカレンダーつくったりしていた時、色見本は持っていて、使っていましたが、パントンではなく印刷会社からもらった色見本だったような気がします。普通の色見本のほかに、日本的な色ばかりの色見本もあったような。
    色に番号を振るのはいいアイデア、全部の色に名前なんて付けられませんよね(笑)。

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