2010年12月21日火曜日
東南アジアの(大きな)手仕事
手仕事でつくられたものを見ると、「あっ、欲しい!」となるのが常の私ですが、そうならないもの、思ったとしても簡単には手に入れられないものがあります。
たいていは、大きすぎるものです。
カンボジアの農村の、高床の家の床下で、パルメラヤシの葉で編んだござを敷いて、おばあちゃんが、ゴミなどを入れておく雑籠を細い丸ラタンで編んでいるところです。後ろには、やはりヤシの葉で編んだ、壁も見えています。
このござは、厚みもあり、さらさらと気持ちよいものです。
市場でも、ヤシの葉のござは売っていますが、もっと薄い葉を細く裂いたもので編んであり、華奢なもので、どちらかと言えば室内向けのものです。
幅の太い葉で編む、農作業用のござは、敷いて床代わりにするだけでなく、穀物を干したりするのに、とても便利なものですが、農家では自家用にしかつくらないので、絶対に「欲しい」とは言えないものです。
タイの農村で、このハンモックを見たときは、びっくりしました。
一本の太い竹を、両端を残して、真ん中を裂き、それを籠のように編んでつくってあります。
なんという、大胆な発想!この家のお父さんがつくったものです。
ハンモックは丈夫で、私が乗っても、びくともしません。
これはお蚕さまの繭をとるための笊です。
薄い、大きな笊に、竹で編んだ細い帯を立てて、らせん状に綴じつけてあります。期が熟した蚕を、この笊に入れると、蚕は行儀よく並んで繭をつくります。
木の枝で繭をつくらせる地方もありますが、これは管理し易く、繭もとりやすい籠です。
タイ東北部で飼っている蚕の繭は黄色ですが、煮ながら糸を繰ったりしているあいだに、色が落ちて、生成り色に落ち着きます。
この枝のついた竹の塊をフィリピンのネグロス島の道端で見たとき、「こんなものを見て、一目で何だかわかる私って、ちょっとすごくない?」と思いました。
ひっくり返して、牛などに引かせるのか、あるいは自分たちで引っ張るのか、ともかく、がりがりと土をかくことによって土を耕す、いわば耕運機というわけです。
カンボジアでは、竹の節をヤシ砂糖を採るはしごにしていますが、節を利用するだけで、いろんなものができるものです。
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