その存在を知っていて、長い間待ったすえに、偶然にあるいは必然に、実際のものにめぐり合うのは、小躍りしたくなるほどの嬉しさです。
私にとって、
アニアニ、
カンボジアの鎌、
インドの包丁、
草掻きなどがそうでしたが、このビルマの種籾入れもそうでした。
竹籠を編み、漆を塗った上から、さらにラタンを編みかぶせた、種籾を入れる籠です。
確か、益子参考館の、濱田庄司のコレクションの中にも、もう少しスリムな形の、同じ模様の種籾入れがありました。
本で見て知っていましたが、バンコクで暮らしていた当時、タイの骨董屋さんでは、全然お目にかかりませんでした。
しかし、1982年に、とうとう見つけました。まだ闇ルートだったかもしれませんが、ときおりビルマのものが、バンコクでもちらほらみられるようになっていました。
西洋人が店主の骨董屋で、品物は吟味されたものばかりだけれどお値段は高めの店でしたが、思い切って買ってしまいました。
小ぶりの種籾入れを二つ持っていますが、どちらもゆがんでいます。こんなに細かい細工のできる人ですから、なにも歪んでなくてもとも思うのですが。
蓋も身も、縁は薄くそいだ竹ひごを重ねて、漆で塗り固めてつくってありますが、身の蓋受けの、円盤状の部分は、どんな材料で、どうやってつくってあるのでしょう?
模様のない種籾入れ。木の足はついていませんが、似た形です。模様入りの種籾入れに比べると、太いひごで編まれています。
こちらは北タイで、新しくつくられたものではないかと思います。
この籠は、もうずいぶん長い間、荷紐入れとして活躍しています。以前は、荷造りテープも一緒に入れていましたが、紐の種類が増え、今ではテープ類は別に入れています。
ものを放り込んで、そこいらに飾っておいても楽しい、役に立つ籠です。
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