2023年9月5日火曜日
キンセン糊
キンセン糊のガラスビンです。
キンセン? 琴線? 金線?
トクヨ糊製造所のつくったもの、なぜ商品名と会社名が違うのか、キンセンもトクヨも、ネット検索しても何の情報も得られませんでした。
効能書きは、だいたいどの糊も同じです。
「糊付後直チニ書スルモ(ニジム)憂ヒナシ」とあるのは、新しい特徴です。この場合、筆記具はペンではなく毛筆のことと思われます。
キンセン糊は未使用のデッドストックで、ビンの中で糊は小さく固まっていて、振るとカタカタ音がしますが、せっかくここまで一緒に過ごして来たビンと固まってしまった糊、ハトロン紙をはがして中を見ることはしません。
そういえば、ハトロン紙って最近は聞きません。
キンセン糊は糊ビンとしてはわりと大きなビンで、直径が67ミリ、後ろに見えるフエキ糊と、HIGH CLASS PASTE(高級糊、とエンボスがあるだけ、糊名はわからない)のビンとだいたい同じ大きさです。
以前、骨董市のわじまさんの店で、もっと大きな糊ビンを見たことがあります。お客さんがわじまさんに買ってもらおうと持ってきたビンで、これまで見たことのない大きさだったので、つい、
「わぁ、大きな糊ビンですね!」
と声をかけてしまいました。
しばらくして、また店の前を通りがかると、
「これを買うかい? 2000円だけど」
と、わじまさん。お客さんも期待を込めた目で私を見ています。
「・・・・・、蓋がないのでいらないかな」
と応えると、わじまさんがお客さんに、
「ほら、蓋がないと売れないだろう」
と、言っていました。
そのビンがどうなったかは、知りません。
フエキ糊の蓋もキンセン糊の蓋同様、ブリキをただ絞ってつくった蓋で、端がギザギザになっていますが、高級糊の蓋は端がまっすぐで、ギザギザしていません。
フエキ糊も高級糊も、ビンにはネジが刻まれていますが、蓋にはネジが刻まれていません。キンセン糊のビンはどうかとハトロン紙をそっと持ち上げてみると、やはりネジが刻まれていました。
ネジが刻まれていない蓋は、ビンの工場よりもっと小さな町工場でつくられていたのかもしれません。
手持ちの糊ビンの中で、蓋にもスクリューが刻まれているのはバイロン糊だけです。ただし、バイロン糊は、ビン開けの道具を使っても開けることができません。
蓋にネジを刻むのがとても難しかったゆで、つくれたとしてもスムーズに開閉できるものではなかったようです。
さて、キンセン糊の蓋、なんだか見覚えがありました。
これこれ。ラベルがないので何糊か不明でしたが、左もキンセン糊と判明しました。
いいね、いいね。
合名会社トクヨ糊製造所の登録はありました。2015年10月5日に法人番号が指定されているのですが、住所が荒川区日暮里町二丁目194番地と旧住所でした(日暮里町は1966年に東と西に分かれた)。たまたま1963年の日暮里大火が日暮里町2丁目から発生して、それが現在の東日暮里3丁目であること、古い日暮里町の地図によれば2丁目194番地は現在の荒川区立日暮里中学校跡地と思われること、以上から現存はしていないようです。法人番号の指定の仕組みがよくわかりません。
返信削除https://ameblo.jp/iamshinya777/entry-12786392056.html
キンセンから連想するのはキンセンカかな~。蓋の模様がキンセンカに見なくもないのですが、ちょっと菊らしくないかも?春さんは柏の葉と推測されていますね。
hiyocoさん
返信削除毎度、お世話になっていますm(_ _)m。
全国法人データベースに合名会社として載っているのですが、どうして2015年に今はない住所のまま法人指定されたのか、そのあたり、確かにまったくわかりませんね。
若かったら足で歩いてみたいところですが(笑)、羽二重団子も長く食べてないし。でも歩くほどには若くないで、歩きません。
1963年の日暮里の大火、まったく記憶にありませんでした。学校も近かったし、大ニュースになったはずなのに.....。まぁ、世間がどうであろうと当時の私は遊び惚けていた可能性もありますが(爆)。