2022年1月31日月曜日

糸づくり

糸が300メートルほど紡げたので、マフラーを織ることになりました。
きちんとした紡ぎ方ができておらず、ひどい仕上がりの糸なので、もっともっと糸づくりに専念することが必要と思われますが、一通りの工程を踏んでみるのも勉強、織るための準備をすることになりました。

以前私が習った織物は、市販の糸を使ってもよし、自分で紡いだ糸を使ってもよし、木綿、麻、羊毛、絹何でもよし、「織る」ことに重点を置いていました。
それに比べると、Kさんの教室はいわゆる「ホームスパン」と呼ばれる、羊の原毛を使って糸づくりから布を織りあげるまで一貫して行うもので、木綿や絹はまったく使いません。
木綿や絹で着尺だけ織る教室もあるだろうし、芭蕉やからむしなどを織る教室もある、いずれも「織り物」としか言えないものですが、同じところや似ているところもあれば、まったく違うところもあります。


さて、紡いだ糸を紡ぎ車のボビンから外してかせにして、かせ繰り機から外すと、糸は撚りが一定でなかったり、かかりすぎたりしているので、くるくる、よれよれしています。


そんな糸を、かせのままで約60度のお湯に浸し、約40度に冷めるまで置いて、軽く脱水して、湿ったままでかせ繰り機に巻き取って、そのまま乾かします。


乾いてから外すと、あら素敵、糸が整えられてまっすぐになりました。


これをいったん糸巻きに巻き取ってから、整経機にかけます。整経とは、経糸(たていと)を織り機にかけられるよう、長さや本数を準備することです。
Kさんの教室の整経のやり方は、広く行われている方法なので知ってはいましたが、以前習ったやり方とまったく違うので、私は初めて体験しました。


織り機の上に括りつけてあるのが整経機です。
この写真では白い紐が1本だけ掛けてありますが、これは長さを計るためのガイドで、この紐で220センチの「わ」がつくれるよう、棒の差し位置を調節します。長さが決まると、必要な本数の経糸(今回は70本)を、綾を取りながらこの整経機に巻きました。


綾を取るとは、経糸が順番に並んでいるのがわかるよう、一か所で上下させてそれを崩さないよう、紐などを通しておくものです。
この写真では上に見える太い紐が綾を取っている紐です。綾の左右2か所に紐を通しておけば一度決めた経糸の順番が狂うことがありません。

ちなみに、私の整経機は、糸巻き台、綾取り機、たいこの3種類の機材を組み合わせて使うもの、場所を取りますが、この整経機より頭を使わないでできるものです。
これは、計算が難しい、まだ、全然わかっていません。






2022年1月30日日曜日

伝統家屋と生活と


トラの写真を撮ったら、トラの左側に、家族ぐるみで仲良くしている建築家の松井郁夫さんからいただいた本が写っていました。


松井郁夫さんは、一貫して木組みの家を建てていらっしゃいます。
しかも、原木の生えている山の木こりさんを大切にし、大工さんを大切にし、住む人を大切にする建築家で、価格を抑えて、若い人たちでも手に入るようにされています。


『古民家のみらい』はまだ見てなかったなぁと開いて、パラパラッと見ると、


古河の鷹見泉石記念館の写真が載っていました。
「えっ、そうなんだ!」
あの、何から何まで美しい鷹見泉石記念館の改修が松井さんだったとは、まったく知りませんでした。


伝統的な古民家は美しく、心惹かれます。
ところが、自分がそこに住みたいかと問われれば、躊躇してしまいます。というのも、伝統的な日本家屋は、何も置かない状態が最高に美しいからです。
というか、どう考えても、どこにもものが置けません。ものが捨てられない私には、暮らせそうにありません。


同じく松井さんの改修した古民家、畳を木の床にしただけですでに緊張感が失われていますが、たぶん写真は改修直後で、今ではここに戸棚、テーブル、椅子などが置かれているのかもしれません。
こんな家は、水屋(食器棚)などは組み込まれているし、蔵、味噌蔵、押し入れはあるしで、床にものを置かないで暮らすようにできていたので、ものが起きにくいのです。


こちらは同じく、松井さんが古民家をホテルに改修したものですが、古い木組みを生かしているものの、ベッドが空間を別ものに変えて、台無しにしています。


写真は、松井さんとは関係ない、里山建築研究所の改修した筑波山麓のC夫妻の家ですが、これとて、今のところセカンドハウスとしているからいいものの、住むとなると冷蔵庫をはじめ、古民家とは馴染まないものを山のように置かなくてはならないので、とても難しそうです。

やっぱり古民家に住むなら、Oさんのように古材を使って新しく建てる(家の写真はまったくないのですが)のが一番だと思います。


というわけで、私なら古民家再生に取り組むことに心折れそうですが、松井さんはめげずに精力的に手掛けていらっしゃいます。
この、『初めての人にもできる!古民家再生絵本』は、ページの片側に文章、片側に松井さん手描きのイラストで、朽ち果てようとしている古民家の改修の手順が描かれています。


ただ、私の見たところ、ものも置けるような、時代的には新しい中途半端な民家の方が、改修の可能性が広がりそうです。


それにしても、古民家は明かり一つ取っても難しい。
蔵をお店にするとかギャラリーにするとかではなく、素適な住居として住んでいらっしゃる方がいらっしゃるなら、ぜひ拝見してみたいものです。





 

2022年1月28日金曜日

毛糸とニャンコ

ちらっと見かけたガチャガチャの、「ぴょんぴょんゼンマイカラス」をさがしてみようと奇譚クラブのホームページをのぞいたら、猫を見つけてしまいました。


プルバックになっている、「毛糸とニャンコ」です。


平らなところに置いて、ちょっと後ろに引いて手を離すと、毛糸玉がころころ転がりながら、猫が走っていきます。


チャトラ、グレー、クロ、そしてミケ、キジシロ、シロが6匹セットになっていました。


同じ姿のブリキや木の猫を持っていますが、いずれも毛糸玉ではなく鞠を持っています。
ガチャガチャの猫たちは毛糸玉に戯れていますが、毛糸玉は1色なので回っているかどうかよく見ないとわからない。実際は回っているのですが、色分けした鞠の方が楽しめるのではないかと思いました。
けっきょく「ぴょんぴょんゼンマイカラス」は、見送ってしまいました。




2022年1月27日木曜日

根太が半分以上できた


南に面した側は、根太をつくり終えました。
張ってあるのは仮床、作業しやすいように置いてあるだけです。写真の右の方は、まだ前からつくってあった足場が天井張りのために役に立っているので外さず、こちらの天井を張り終えたら外して、根太を敷きます。


もっとも、南に面した天井の方は、北側のように足場を組んでないので、仮床の上に脚立を置くか、ちょっとした足場をつくって、天井を張るということになります。


反対側(西)から見たところです。


納戸にも根太を渡しました。
北に張り出した部分は、お風呂、洗面所、お手洗い、そして納戸ですが、根太の間にアクアレイヤーを敷くのは洗面所だけ、納戸にはアクアレイヤーを敷かないので、ここは仮床にしないで本当の床を張ることもできます。





 

2022年1月26日水曜日

繊維ルーペ

長い間引き出しにあった繊維ルーペを、この20年ばかり見ていませんでした。
もともと、私が買ったものではなく、夫が持っていたものでした。
なくてもそう不自由しないのですが、あると重宝するので、ネットで買いました。


以前持っていたのはアルミ製の軽くて確か10ミリ角(15ミリ角?)しか計れないもの、同じようなものが来ると思っていたら、ずっしりと重い、25ミリ(1インチ)角が計れるルーペが送られてきました。


3つの部分がつながって畳んであるのを、真ん中の支えを起点にして、レンズと目盛りがついている部分を、それぞれ270度回転させます。


それを布の上に置くと、1センチの中に経糸(たていと)が何本あり、緯糸(よこいと)が何本あるか、目盛りつきで拡大されるので、目盛りを頼りに糸数を数えることができます。
この東ティモールの経絣は、1センチ角に経糸28本、緯糸10本であることがわかります。


そして、先日のバウレの縦絣は、1センチ角に経糸26本、緯糸9本です。






 

2022年1月25日火曜日

Jさんのお皿


漆職人をやめてしまったJさんが、引っ越しして行き、餞別にとお皿をくれました。


ケヤキの板を手で彫って、透き漆を塗ったものです。


彫刻刀で溝を彫ったのでしょうか、ケヤキは硬いのですが、きれいに線が並んでいます。
焼きもののお皿にトーストを乗せると、熱でお皿と接触している面のカリカリ感が失われるので、トーストは木のお皿に乗せる方が美味しいのですが、溝が彫ってあるので、さらにカリカリ感が保たれます。

Jさんは素敵な木工作家さんであり漆職人さんでした。
我が家のコンクリート工事の時、棟上げの時、いつも手伝ってくれて、てきぱきと力の要る仕事をこなしてくれました。
いろいろ考えることがあったのでしょう、10年ほど前に制作をやめました。そして、市のレントゲンバスの運転の仕事を希望していましたが、すぐにはその仕事につけなくて、最初は大きな病院の手術室の準備の仕事をしていました。手術は1日に何件もあり、準備も後片づけも大変だったとのこと、今は薬問屋から薬屋さんに薬を降ろす仕事をしています。ずっと、医療関係の仕事についているのも、何かのの思いがあってのことなのでしょう。
Jさんは、いつもかっこよくマニュアル車に乗っていて、大型車の運転も大好きな女性です。




 

2022年1月24日月曜日

夫の写真で、掃除に走る!


夫が居間のあたりで写真を撮っていて、それをFacebookにあげていました。
おぅ、面白い。ちょっと拝借することにしました。


しかし、よく見るといろいろ気になります。細かいことはまったく気にしていない夫なので、しまい場所が見つからなくて出しっぱなしになっているタジン鍋がばっちり写っています。こんなところにお鍋があるの、変でしょう!
前からしまい場所を見つけなくてはと思っていたのですが、ちょっと大きめなので、なかなか、いいしまい場所を思いつきません。
しかし、何とかしなくっちゃ。


夫が撮った写真を、ただただ紹介するつもりでしたが、だんだんむずむずしてきました。
水屋の右の上の方、お盆や笊の収納場所ですが、ちょっと高い場所なのできちんとしまいにくいこともあり、ぐちゃぐちゃになっています。また、水屋の上に乗せてある籠も、出したり入れたりしているので、置き方のバランスが崩れています。そして、左下にはたけちゃんが帰ってもうずいぶん経ったのに、まだ片づけてないハイチェアーが見えています。
というわけで、ここから掃除をはじめました。お盆を並べ替えて、水屋の上の方のビンは降ろしてきれいにして、蜘蛛の巣は取って、あちこち拭きました。


その結果です。
誰も何とも思わないだろうけれど、私としては大満足です。お盆入れの下の方、菓子鉢の脇にあったマキロンは、その下の薬籠にしまいました。水屋の上の包装テープや紐の入っている籠の置き方のバランスもバッチリです。


さらにその上のビンは、久しぶりに並べ替えました。
いろいろな種、ビー玉、おはじきなどが入っていて、昔はそんなものを入れるために広口のビンを欲しがっていたことを思い出しました。


この夫の写真は、なかなかおもしろい。鉄のフレームと窓枠をうまく合わせて額縁にしていて、外には建設中の家が見えます。


でも、こうやって全体を撮った方がよくないですか?
窓の上の棚の箱たちは、裁縫用ゴム、ドライヤー、裁縫道具、接着剤、ヒートン、洗濯ばさみ、歯ブラシ、茶道具などを入れている、収納箱です。
ちなみに、右下に見えるちょっと穴の開いた箱は、何年か前に夫が珍しく気に入って買った、豆腐をつくる箱です。買うとき、
「これをどうやって使うの?」
と訊いたら、
「何にでもなるよ」
と言ったのに、あれから何にもなっていません。
夫はたぶん自分で欲しがって買ったことも忘れているだろうから、どんなふうに使ったらいいかを、見るたびに考えているのは私だけなのですが、どう考えても何にも使えず、いつまでも転がっています。側面にも一面に穴が開いていて、光を通すときれいなのですが。








2022年1月23日日曜日

寒いけれど

連日、朝の気温は0度を下回っています。
東に低い山を背負っている我が家では、8時前に山桜の枝越しに太陽が昇ってきますが、陽ざしの暖かそうな色に誘われても、なかなか冷たい空気の中に飛び出していく勇気が出なくて、室内でぐずぐずしてしまいます。


少し暖かくなったかなぁと思うころ、こわごわ外に出ていきます。

さて、息子一家の家の建設、コンクリートの床を掃除したり片づけたりしながら根太を渡しています。


根太を渡したところには、作業しやすいように、また、強い風が吹いても床下にあまり木の葉が溜まらないようにと、仮の床板を渡しています。


これは例の、夫が二束三文で買っていた板で、虫は食っているし、ほかにあまり使い道もなかったものですが、思いがけず大いに役に立っています。

ちょっと前の写真

いやはや、室内にスライド丸鋸を置いてあったのでおがくずだらけ、落ち葉も溜まって床は汚れ返っていましたが、少しずつ片づいてきました。


夫は屋根裏に、太陽熱を集めて床下に送るための装置を設置しています。
天井が低いので無理な姿勢で作業しなくてはならず、肩が痛いらしい。ここで、長く作業を続けるのは苦しいようです。


先日はこんな箱を上げていました。


何をする箱か知りません(訊いたのに!)が、銅管が美しく並んでいました。


先日、いつものKさんが手伝いに来てくれて、玄関の天井を張ってくれたのですが、夫がその続きで天井を張っています。


天井板の上には、今のところ最強の断熱材といわれるネオマフォームの厚いものを置いています。屋根の野地板の上にも断熱材を入れているので、冬は暖かいだろうなぁ、夏は涼しいだろうなぁ、楽しみです。
コロナで遅れていた窓サッシが、1月29日には届くことになりました。やれやれ、また新しい展開があると思います。





2022年1月22日土曜日

平籠


 骨董市で、持ってきたものを並べているまことさんが、筵の上に籠を置いたのを遠目に見て、
「籠はもういらないよなぁ」
と思いながらも、近くで一目だけ見ようと近づきました。
「わぁっ」
久々に見る、完成度の高い籠でした。


目の詰まった平編みで、経骨(たてほね)にする太い竹、平らな部分をつくるやや太い竹、立ち上がって胴をつくる細い竹の3種類の竹ひごで、きっちり固く編み上げてあります。
経骨の太い竹ひごが立ち上がってから割ってあるのは、縁巻きをきれいにするためかと思われます。その縁巻きの見事さ、全体は真竹ですが、縁巻きは真竹ではなくすず竹(篠竹)のように見えます。


暖かい地方の真竹に、寒い地方のすず竹を組み合わせていることを考えると、その両方を産する福島、茨城あたりでつくられたものと考えるのが妥当ですが、福島は知りませんが、茨城の籠はもっと武骨なものという印象があります。真竹の細いひごの細工も、見たことがありません。


きれいに面を取ってある美しい経骨。
真竹も産地によって、質が同じではありません。これだけ見ると、あの美しいと言われている九州の真竹かと思ってしまいます。

廣島一夫さんの籠

ただ、九州の籠であれば、縁巻きも真竹だし、立ち上がりの高さがあれば、縁の下に1本竹を入れるという特徴があるので、九州の籠でなさそうです。


籠はほんの些細なことで、緊張感のあるものとそうでないもの、美しいもの美しくないものができてしまいます。
美しい感覚を持っている籠師さんの籠はどれも美しい。他の仕事も見てみたくなるような籠でした。