作業の足場は全部夫がつくってくれました。
ありがたいというか、この足場がないと垂木もつけられなかったし、野地板も張れませんでした。
けれど、手にいっぱいの板や道具を持って、梯子を何度も登ったり降りたりするのは、正直疲れるし、時間的なロスもあります。梯子はこれまでの工事に使用してきたもの、どれもユンボが当たったり、いろいろなことがあってひん曲がっています。
足場は、垂木をつけてからつくり足していて、構造的には大丈夫とは言え、歩けばゆらゆら揺れるし、手すりにつかまらなくては歩けないし、その手すりは大きく離れています。それに、足場があるのは南側だけ、あとは脚立で作業します。
「ねぇ、足場屋さんを頼まない?」
「お金の無駄だよ」
「そうかなぁ、これから屋根が複雑だし工事に時間がかかるから、保険だと思ってどう?」
「おれのつくった足場に、文句あるのか?」
「文句はないけれど...」
夫が、無駄金は一切使わないぞと消極的なので、私が動くしかありません。以前お願いした
足場屋さんに当たってみるつもりでしたが、週末にとりあえずネットで探してみると、足場屋さんを無料で紹介してくれるサイトがありました。質問用紙があってそれに書きこんで送ると、応えてくれるというのです。
無料だからと、県名、個人宅で平屋、ちょっと斜面などの特徴を書き込んでメールすると、週明けの朝早速、メールではなく、電話がかかってきました。
電話では、場所、建坪などを、もう少し詳しく説明しました。午後には同じ方からまた電話があり、3軒の足場屋さんを選んだから、直接連絡してもいいかと問われ、その日のうちに足場屋さんたちから電話がかかってきました。
1人目は足場を設置する場所の写真を送って欲しいと言うので、メールで送付、2人目は、こちらが気を利かせてメールで写真を送付、3人目は、
「明日、見にうかがいます」
と言います。
「えっ、そうですか。そちらはどちらにお住まいですか?」
「つくばみらい市です」
「えぇぇ、遠いじゃないですか。いいんですか?」
「ええ、うかがいます」
そうこうしているうちに、写真を送った1人目と2人目から返事が来ました。1人目は、これからおいおい値段を相談しましょうと書いてあり、2人目は税込み11万円でどうでしょうと書いてありました。お2人には次の日に決めて返事するからと伝え、次の日、3人目に会ってから決めることにしました。とんとん拍子です。
足場屋さんの仕事は、足場を運んできて、半日くらいかけて設置して、3か月経ったら解体して持って行くという、2日だけの作業ですが、足場パイプは重いのでかなりの重労働です。
さて、次の日3人目がやってきました。軒からどのくらい離すかとか、通路をどのくらいの高さにするかなどなど、細かいことを訊かれ、計測し、税別15万円でどうだろかと提案されました。
「お一人は税込み11万円と言っていらっしゃいますよ」
2人目が値段を出していてくれたので、大いに助かりました。
「2人きて半日、設置と解体で4人足と計算して、1人あたり2万5000円、まぁそんなところですよね」
3人目はしばらく考えたのち、結局税込み12万円という値段を出しました。
夫と息子に相談すると、直接会った力は大きく、2人目より1万円多いのに、
「3人目さんでいいんじゃない」
「せっかく来てくれたんだし」
という結論になりました。
2人目もきっといい人だったと思うけれど、足を運ぶかどうかという一手間が、強い決め手となり、電話とメールのお二人にお断りを入れました。
というわけで、金曜日には夫のつくった足場は解体して、土曜日には足場屋さんが足場を設置してくれることになりました。