落ち葉を掻き集めて、燃やすために焚火場に持って行ったら、何か見覚えのあるような、まったくないような籠が、焚火場に転がっていました。
「何だったかなぁ」
古い記憶をたどると、そうそう、祖父母の家にあった、炭入れの籠でした。
しかし、どうして焚火場に、こつ然と現れたのでしょう?
どこから出てくるかといっても、我が家がブラックホールに満ち満ちているというわけでもありません。ビニールハウスの仮設木工室あたりで、最後の片づけをしていた夫に訊いてみました。
「この籠どうしたの?」
「いやぁ、わかんねぇなぁ。ああ、そうだ、箱の中にあったんだよ」
そうか、フライパンも出てきたあの、ビニールハウスとビニールハウスの隙間に置いていて、長い間開けることのできなかった箱の中にあったのです。
それにしても、この炭入れとは、我が家で逢った記憶がありません。子どものとき以来、数十年ぶりに出逢った感じがします。
たぶん、母が身辺整理をしたとき、何かと一緒にたくさん持ってきて、私の目に留まることなく、そのまま箱に入っていたのでしょう。
炭入れは、昔はどこの家にもありました。
炭俵は納屋に置いてあり、当座使う炭だけを入れて、火鉢の横などに置いておく籠です。今ではすっかり無用のものとなりました。
それにしても、縁が丁寧につくられています。
中に入れた木の箱の縁に籠の縁がかぶさっていますから、仕上げは木の箱を入れてから編んだものでしょうか?
底は、側面へと上っていく、経になる竹ひごを均等に配して、それに太いひごを通して強度を出しています。
ひとしきり懐かしみましたが、壊れているし、取っておくほどのものでもありません。
というわけで、元通りに焚火場に移しました。
2 件のコメント:
黒い蓋つきの火消し壺これもなくなりましたね、
家内の家に泊まるとパチパチっと杉の小枝が燃える匂いで
一日が始まるます。
いまは生活の匂いや音がなくなりました。
昭ちゃん
このあたりには、まだ火消壺のある家があります。もちろん、都市からの移住者の家ですが(笑)。
そうですね。オール電化で火が見えない暮らしもありますからね。薪ストーブは頻繁に焚くようになると感じませんが、初冬に最初に焚いたときは家じゅう煙の臭いがちょっとします。服にも煙の匂いが染みつきます。それが結構好きです。
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