NHKオンディマンドで、古いドラマの再放送を観ることがあります。というか、結構楽しんでいます。
『 タイムスクープハンター』は、タイムスクープ社の記者沢嶋雄一が、色々な時代にタイムスリップして、忍者の修行を見たり、駕籠かきについて箱根まで行ったり、江戸時代の婚活に密着したり、戦国時代の通信手段であった旗振りを見て山から山へ情報が伝わるのを見たり、江戸時代の有名料亭の初鰹の争奪戦を追いかけたり、木の入れ歯職人を取材したりなどなど、歴史教科書には載らないような出来事を追いかけて、映像で記録するもので、今のところシーズン(6)まで放送されていて、タイムスリップする時代も古代から20世紀までと広範囲にわたっています。
このドラマで「おっ」と思うのは、既婚女性はおはぐろをしているし、男性の歯も真っ白ではなくて黄ばんでいるし、髪はみんな思い思いの形に結っていて、着物の着方もだらっとしていることです。
男性だと、丁髷の形も月代の伸び具合もいろいろで、髷の位置もいろいろ、女性の髪ときたらみんな違っていて、まるで帽子のように大きく結ったのや、乱れ毛やほつれ毛は当たり前、普通の時代劇のように、たった今床屋さんが結ったように整った髪の人は一人も登場しません。
さて、シーズン(6)の第5話、「追跡!美男子コンテスト」に、招き猫が出てきました。
明治44年(1911年)に、新聞社主催の日本で初めての容姿を競う美男子コンテストがありました。入選してなんとか写真館の名を挙げたい写真屋の小林さんは、知り合いの女郎屋の女将さんに、美男子と呼ばれるにふさわしい男性を紹介してもらい、その洋反物屋さんを訪れます。
その洋反物屋さんの銭函の上に、招き猫が置いてありました。
愛知県の各地でつくられている、三河系の招き猫です。
写真屋さんがどこに住んでいたかは語られていませんが、おそらく東京ではなかったかと思われます。
愛知県三河地方は、江戸時代から三河木綿の産地として有名でした。三河木綿は堅牢で足袋や布団に仕立てられましたが、明治になってからは積極的に西洋の紡績・染色技術を取り入れ、洋反物(洋服の生地)の製造もはじめました。
1989年には、愛知県の豊田佐吉が日本初の力織機を発明しています。蒸気やモーターを使う力織機の導入は、生産力を20倍に高めているので、三河でもその恩恵を受けていたと思われます。
そんな、愛知県にルーツを持つ洋反物屋さんなら、開店の時、三河地方の開店祝いの定番である招き猫を贈られて、意気揚々と東京に乗り込んだかもしれません。
三河系招き猫は大きいものでは高さ90センチもありますが、はるばる東京に行く洋反物屋さんには、荷物にならないように小さめの招き猫が贈られたのでしょう。
招き猫が、「三河の洋反物」の宣伝になったかもしれません。
もっとも、そこまで考えて小道具としての三河系招き猫を置いたかどうかは不明です。
この洋反物屋さんは結局、美男子コンテストのモデルになることを嫌がり、小林さんは別の学生さんで、コンテストに応募します。
しかし、待ちかねた選考結果発表の日、1位から10位までが新聞に紹介されましたが、その中に小林さんの送った写真はありませんでした。
新聞社が行った1900年代初頭の美人・美男子コンテストは、写真による選考でのみ選ばれるもので、個人の競争というより写真館の腕試しの様相が強いものだったようでした。





































