「いろいろやらなくてはならないことがあるのに、何も手につかない。ただ、ぼんやりしてしまう」
といった意味のメールが旧友Kから届いたのは、一ヶ月くらい前です。
「まさか、ウツ?」
男は人生の転機に弱いものです。
Kの家は、母の家のすぐ近くにあります。日曜日に母の家の帰りに寄ってみました。
Kは変わりありませんでした。
よかった。
Kの家を訪ねたのは、じつに三十数年ぶりです。私たちが何度も引越しを繰り返していたあいだ、Kは一つ家に暮らしていました。
じっくり暮らして発酵した面白さ。部屋の隅々までワンダーランドのようで、ついつい写真を撮ってしまいました。
夫に、常々、
「細部だけ見ていちゃだめ、全体も見なきゃ」
と言われています。
それなのに、今回も見たのは細部だけ。壁の一面を占めている、圧巻のモダンジャズのレコードコレクションも、全体の写真は撮り忘れました。
こんな写真だけでは、伝わってきません。
それでも細部が面白い。
しかも、三十数年前からちっとも変わっていないところもあるのです。
壁が真っ青に塗られたお手洗いの窓に置いた、青いガラスビンも、昔のままでした。
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