2011年7月6日水曜日
分銅
数えてみたら、我が家にははかりが四つあります。
以前、漢方薬を自分で煎じていたときの、最小0.1グラムまで計れるもの、台所に置いてある、最大3キロ、最小1グラムまで計れるもの、お米を計るための、最大12キロのもの、そして体重計です。
お米のはかりだけがバネばかりで、あとは電池式です。
私も毎日のようにはかりを使っていますが、世界では、どんなにたくさんの人たちが、どんなにたくさんのはかりを使っていることでしょう。
カンボジアに行ってまもなく、五人ばかり連れ立って、遠くの山まで遊びったことがありました。途中、道端で果物を買ったときのこと、お店の人が計ったあと、一緒に行った女性がバネばかりを取り出し、計りなおしておまけさせたのにはびっくりしました。
旅の人相手のお店では、正しく計られないこともあると、ちゃんと見透かしていたというわけでした。
バングラデシュの市場や、路上の定期市でなにか売っている人はみんな、使い込まれた、素敵な天秤ばかりを持っていました。
天秤ばかりには、分銅がつきものです。これは、1キロ、500グラム、200グラム、100グラム、そして50グラムの分銅です。
分銅は、表示してある目方に、正確であることがもとめられます。
そのため、鋳物で分銅をつくった場合、ほんのちょっぴり重めにして、裏を削って調整します。
これはどこの分銅でしょうか?文鎮として、日本で買ったものです。
大きい方は、鋳型が崩れていたのでしょうか、字が判読できませんが、435グラムありますから、1ポンド用でしょう。小さい方は、ローマ字で20H、M.O.W、1916と読めます。1916は年、20Hは目方かと思われますが、計ると116グラムあり、4分の1ポンドでもないし、中途半端な重さです。
二つの形は似ていますが、大きい方の分銅には、ヒンディーか、ベンガリーか、インド文字が書かれているような気がします。
裏を見ると、ちゃんと目方を足したり引いたりした跡があります。
これはタイの分銅、いわゆる「アヘンの分銅、オピウム・ウエイト」と呼ばれるものです。
かつて、地域の人々にとってたいせつな疲労回復薬であった、ケシの樹液アヘンは、その効果から、外部の人によって悪用されるようになり、おそろしい麻薬に成り果てました。
そのアヘンの売買に、小さな天秤ばかりが使われていたのです。
と言いつつも、裏を見ると、重さを厳密に修正した跡など、まったく見られません。
ガーナ黄金海岸の、「金の分銅、ゴールド・ウエイト」と同じように、分銅づくりの技術を活かして、だんだんいろいろな形のものが、楽しんでつくられるようになったものと思われます。
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