2017年1月30日月曜日

めんぱ

  
端正な曲木のお弁当箱、めんぱです。


外側(左)は、曲げた木と平らな木をただ突き合わせているだけですが、内側(右)から見ると、繋ぎ目に漆がこってりと塗ってあって、防水対策が万全であることがわかります。
味噌汁を飲むのに使っていたからです。お酒も飲んだかもしれません。


このめんぱを見ると、漆は木の持ちをよくするためや装飾のためだけでなく、かつては器の防水に欠かせなかったものだということが、よくわかります。
それでいて、通気性もよくできるのだから不思議です。


遠藤ケイの『手作り生活道具』(遠藤ケイ著、Outdoor BOOKS(19)、1996年)にめんぱのつくり方が載っています。
まず、型をつくります。


型の側面に挟み具をはめ込む溝を彫ります。


挟み具は、一方の端の支点になる部分は紐で結び合わせ、型に合わせて板をはさんだら、コの字型の木をかませて留めます。


つくり方です。
右上から、①柾目に裂いて、鉋で削った板を煮て柔らかくして、丸太や竹にあてて丸めて、曲げ癖をつけます。
②曲げ癖のついた板をさらに煮て柔らかくし、型に巻き、挟み具で締めて、乾燥させます。
③乾燥したら型から外して、合わさる部分の板を薄く削ります。④平刀の彫刻刀で縫い穴を開けて、⑤樺の皮で縫います。
いまどきですから、縫い穴を開けるのは接着剤で留めてからと書いてありますが、昔だったら接着剤は使わなかったか、あるいは漆を接着剤として使ったものと思われます。
⑥蓋の天板と容器の底板を切り抜いてはめ込み、竹釘で留めます。

いやはや、遠藤ケイさんは、木工や竹細工だけでなく、鍛冶仕事もやっています。
竹の蒸篭、餅つきの臼、回して挽く石臼、出刃包丁、タコ焼き器、硯、尺八、魚を獲って食べるために川に仕掛ける筌(うけ)、やっとこ、墨壺などなど、自分でつくれると私が思ったこともないものを、どれも美しく仕上げています。
鬼おろし(わさびおろしもチーズおろしもあった)も、いろいろな形のがあって、鬼おろし一つつくれない自分が、この本を見ると、恥ずかくなってしまいます。


さて、それにしてもこのめんぱは巨大です。
焚いた飯が、ゆうに三合以上入ります。


私が前にお弁当箱として使っていためんぱは、大きなおにぎり二つに卵焼き、野菜、果物などを入れてもまだすかすかするので、小さなお弁当箱と替えてしまったのですが、それと比べてみると大きさがわかります。


そして、東南アジアの山岳地方のもち米入れと比べてみると、その大きさが際立っています。


このめんぱを使っていた人は一日二食だったのかもしれません。
あるいは、二食分詰めて行ったのか、それとも、ご夫婦で分け合って食べたことも考えられます。







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