しばらく前に,kuskusさんのブログに、『鹿の王』の続編を図書館で見つけたと書いてありました。
出版されているのを、全然知りませんでした。
さっそく、『鹿の王、水底の橋』(上橋菜穂子著、角川書店、2019年3月)を手に入れたものの、『鹿の王』がどんな物語だったか思い出そうとしましたが、あれっ、まったく思い出せません。
というわけで、『鹿の王』の上巻の『鹿の王、生き残った者』の目次を見てみました。
登場人物の名前を見たり、小見出しを見たりすると普通、
「あぁ、そうそう。こんなお話だった」
と思い出すものですが、それでもまったく思い出せません。しかたない、『鹿の王』を少し読んでみて、物語を思い出してから『水底の橋』を読むことにしました。
ところが、しばらく読み進んでも、嘘のように記憶がよみがえってきません。物語の展開がつかめず、まるで初めて読んでいる感じです。
以前、『鹿の王』についてブログを書いたことは覚えていたので、内容についてなにか書いていないかと見返すと、内容には触れずに、ただ読み進むのが難しかったとしか書いてありませんでした。
たった4年前のことですから、もしかしたら内容を思い出さないように、自分で記憶に蓋を閉めてしまったのかと思うほどでした。
『鹿の王』上巻を読んでいると、前回と同じようにときどき読むのが困難になりました。
4年前は、合間に気分転換するために軽い本を読んだと書いてあるけれど、いったい何を読んだのでしょう?
今、ナイトテーブルに一緒に乗っている本は、のっけから罪もない少年の死体が転がっているという物語、これも読みにくくて、ときに閉じなくてはいられなかったところへ、『水底の橋』が加わっているのです。
というわけで、『鹿の王』の上巻を半分ほど読んだところで、これまでの話はどうであれ、『水底の橋』を先に読むことにしました。
『水底の橋』は、『鹿の王』の上下巻よりは読みやすいものでした。
『水底の橋』を読み終わってから、『鹿の王』も読み終えました。いつもはしないことですが、『鹿の王』の下巻は途中を飛ばして、ちらちらと結末をのぞいてみたりしました。
『水底の橋』は、一つの希望を持たせてくれる物語でした。
『鹿の王』には主人公がヴァンとホッサルの二人いますが、『水底の橋』は、ホッサルと公私ともにパートナーのミラルの、その後の物語でした。
『鹿の王』は、上下巻のままで終わっていたら本当にせつない、意識的に封印もしたくなるような物語でしたが、『水底の橋』があることによって、まだまだヴァンと娘ユナの物語もあるだろうし、登場しているしているそのほかの人々のいろいろな物語もこれからあるかもしれない、そんな希望を抱かせてくれました。
それにしても今回も、影山徹さんの絵のすばらしいこと、本もとてもきれいな本でした。
『鹿の王』上下巻で1100余ページ、『水底の橋』が400余ページ。数日間、壮大な物語を楽しみました。
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