2024年2月27日火曜日

メキシコの鳩

世界のいろいろな地域で、土や木の鳥のおもちゃがつくられています。


これは、『Folk-toys Les jouets populaires』(Emanuel Hercik著、ARTIA、1951)に掲載されている、ローマで紀元前200年ごろつくられた、土の鳩です。


『Folk-toys Les jouets populaires』には、表紙裏表紙にも鳥のおもちゃが載っているほど鳥がいっぱい。鳥のおもちゃがあふれていて、どんなに鳥が身近な存在かを気づかせてくれます。


ところで、この本に多いのはヨーロッパの人形です。日本、中国、インドネシア、インドなどのおもちゃも載っているものの、北アメリカの人形とアフリカの人形がほんの少し、中南米のおもちゃにいたっては、ざっと見たところではまったく載っていないようです。
1951年と言えば第二次大戦終結後から6年目、チェコスロバキアは東西冷戦構造の中の東側で、西側諸国への移動もままなりませんでした。
掲載されているアジアのおもちゃなどは、たまたま戦前に愛好家が持ち帰ったものがあった、そして中南米のおもちゃはなかったということでしょう。


さて、メキシコでつくられた土の鳩です。
素焼きしたものに鮮やかな黄色を塗り、金で模様が描いてありましたが、すっかり褪せてしまいました。


これも、素焼きに彩色した鳩、暖かい色で彩色してあります。


素焼きに彩色した鳩を見ると、度重なる引っ越しで失われてしまった、私にとって初代のメキシコの鳩を思い出してしまいます。
写真も残ってないのですが、1960年代末にアメリカ東海岸の町の、北欧食器を売るおしゃれな店で思いがけず出逢った実物に近い大きさの鳩で、朱色がかった赤地にドットでたくさん散らしてある小花は、白い五弁で真ん中が黄色、それぞれ小さな黄緑の葉がついていました。今より日本はずっと貧しく、外国のものなどほとんど輸入もされていなかった時代、生まれて初めて見た、異国の土人形でした。


素焼きに彩色したものに比べると、ハリスコ州のトナラ焼きの鳩はいつまでも色褪せません。トナラ焼きは、きめの細かい粘土で形をつくり、絵つけをしたあと、石で丹念に磨き上げてから焼き締めてつくります。
色は青っぽいもの、茶色っぽいもの、白っぽいものなどがあります。


ところで、『Folk-toys Les jouets populaires』をよく見ると、鶏のおもちゃが圧倒的に多いことに気づきました。


日本の鳥のおもちゃには、鳩のほかに、雉、鷽、鶏、ミミズク、スズメなどいろいろありますが、ヨーロッパの鳥は、鶏のほかには、七面鳥、ガチョウ、カモなど、家畜がほとんどです。


もっとも、私が鳥に詳しくないだけで、上の写真のような鳥たちは家畜ではない。すべて特定できる、野生の鳥かもしれません。


左は鶴などの仲間、右はカラスなどの仲間でしょうか。
古代ローマに鳩のおもちゃがあったのに、鳩は意外に少なめでした。


メキシコの鳥のおもちゃで多いのは何といっても鳩、あとはフクロウ、そして鴨、七面鳥、アヒルなどです。




 

2 件のコメント:

茶々丸 さんのコメント...

春さんの鳩は、美しいですね☆
筆痕を追うだけで、その優美さに溜息が出ます。

私も2001年の9.11事件の直後に、ガラガラの飛行機に乗ってメキシコ各地におもちゃを探しに行きましたが、
多少面白いものはあっても、このような風雅な古玩具は入手できませんでした。

一つ、教会の売店で見つけたドールハウスは、まだ断捨離に至りません。
玩友の掲示板に貼りましたので、もし宜しかったらご一覧くださいませ。
http://www3.ezbbs.net/01/bikutoru/

それと、鶏玩具は
奄美大島の原野農芸博物館に、人知れず素晴らしいコレクションが秘蔵されています☆
鶏と人間の関係には世界中でとても長い歴史がありますね。

さんのコメント...

茶々丸さん
掲示板を見せていただきました。ドールハウスは何でも屋さんでしょうか、電気までついていて、いったい何を売っていたのか、片端から見ているだけで浮き浮きします。鶏やひよこは売り物ではなく、本物なのでしょうね。メキシコの方が心を込めて楽しんで作ったドールハウス、断捨離などとおっしゃらないで、いつまでも手元に置いて楽しんでください。
私も、とっても小さいものですが一つ、台所道具屋さん(https://koharu2009.blogspot.com/2010/02/blog-post_27.html)を持っています。
さかのぼって見せていただきましたが、野田末吉さんの饅頭喰いかわいいですね。一人より双子がかわいいのに、あんなにそろっていたらかわいさが圧巻です(笑)。
奄美大島に行くことがあるかなぁ。いろいろ見たいものがあっても東京までも行かなくなっているのですが、奄美大島に行く機会があったら是非立ち寄ります。