2025年4月5日土曜日

着にくい服のリフォーム


胸のあたりがちょっと窮屈なリネンの服を着やすくしようとしています。


脇を解いてみると、後見ごろの右脇はまっすぐなのに、前身ごろの右脇は三角形に伸ばして後身ごろと縫い合わせ、裾で広くなるように縫われていました。左側は、脇が布の耳になっていたので横に伸ばさず、三角形に切った別布をつなぎ合わせていました。
これを見たら、なんとなく面倒になって数週間放り投げていましたが、片づかないのでアイロンをかけて、三角部分を切り離しました。


ゴツゴツしたリネンに合わせるにはこれしかないと思った酒袋は、解こうとして縫い目がなく、筒状に織られていることがわかりました。編み物ではなく、織り物で「わ」に織ることができるのでしょうか?
グーグルで調べると、みんなの「ベスト解答」ではなく、AIが解答、「酒袋は平織で、二重織りではありません」ということでした。


二重織りを縦から見ると、〇で表している経糸(たていと)の下段に、4目おきに上段の緯糸(よこいと)をからませて、二枚の布が離れないように織っています。
通常はこのように織りますが、緯糸をからませないで織れば、片端が「わ」に織れて、広げることもできます。例えば、120センチ幅の布が欲しいのに、織り機の幅が狭い場合、60センチ幅で二重織りすれば120センチの布も織ることができるのです。でも、両方が輪になっている筒状に織れるかどうか? 私は知りません。


酒袋を切り開いて2枚の布にしてみると、両端の経糸がつれていて、平らにはならず持ち上がっています。こんなに経糸がつれるということはどういうことなのか? 
幸い必要な幅より広かったので、経糸がつれた両端を切り落として平らな布にしました。


手持ちの服を参考に身幅を決めたので、脇の下の「まち」はつけなくても着られそうですが、ちょっと袖が細いので、まちをつけることにしました。この写真では、酒袋は二つ折りにしてあり、脇は縫い目なしの「わ」になっているので、まちをつけるなら縦に切ってしまった方が縫いやすいか、あるいはまちをつける部分だけ切って、手縫いで先にまちをつけてしまうか、しばし考えましたが、部分的に切ってみて、うまくいかなかったら2つに切っても遅くはないと、手縫いでまちをつけてみることにしました。


うまくつけられました。もちろん裏側もかぶせ縫いをして、ほつれないようにしています。しかし、こんなに重くてごわごわした服を着るのか? 根本的な疑問が湧きあがってきます。いつもは、身体を絞めつけない、軽い服しか着ていません。
理想はこれを着倒して、布をとろとろにすることですが、そこまで着続ける自信、まったくありません。

ところで、実際酒袋はどう使ってお酒をつくったのでしょう?
今では酒袋を織っているところはないのですが、酒屋さんの依頼でさらしで酒袋をつくった方がいらっしゃいました。その方が、酒屋さんでさらしの酒袋(1回限りの使い捨て)が実際に使われている写真をUPされていました。

マーブルのホームページより

酒袋に、もろみを入れ、樽の上から吊るします。



重力だけでお酒が絞られていきます。
酒蔵は茨城県潮来市の愛友酒造、お酒は愛友純米大吟醸です。






 

3 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

縫い目のない袋というのがとても気になり、探してみるとたぶんこれが答えなのだろうという解説がありました。私にはちんぷんかんぷんですが、春さんなら理解できると思います。どうでしょう?
https://www.applepie.gr.jp/haru/someorikiso/kumioriw/

さんのコメント...

hiyocoさん
二重織りで織り耳がつなげられる袋織りというのがあったんですね!。すごい、よく見つけました!!!
織物の組織図のことを多少は知っている私でも、説明を読んでもちんぷんかんぷん、実際にやってみないと腑に落ちないのに、よくぞこれだとわかった!もう感心する以外ありません(^^♪
一言で織り物と言っても奥が深いですね。
HARUさんにはいろいろ学ばせてもらっていますが、たった一人でこんなにいろいろやっているとは!しかもネット上でこんなに丁寧に、伝えにくいことを伝えているなんて、ありがたいことです。
切り離したとき両端がつれていたのは、経糸が緩むと織りにくいので、端では経糸をきつく張っていたのかもしれません。手織りだったのかなぁ。
ところで、hiyocoさんはAIに勝ちましたね(爆)。ありがとう。

hiyoco さんのコメント...

AIは二重織りではないと言い切っていたんですよね(笑)。でも平織とか二重織りという言葉が手掛かりなんだとわかったので、その点では役立ったかも。
春さんが紹介しているマーブルさんのHPも読んで、酒袋は米が引っかかっらないよう、縫い合わせていないことが重要なんだと理解し、縫い合わせていないということは、筒状?ということで「筒状の布、織り方」でHARUさんのサイトに辿り着きました(ご存じだったんですね)。上下が開いた小さな筒状の布の写真が決め手でした。それにしても二重織りとか袋織りとか考えた人、すごい!
この服かなり重そうですが、春さん着るかな~(笑)。でも私は酒袋のことを知って楽しかったです。