2018年1月12日金曜日

竹筒(三)


これも、インドネシアの石灰入れです。
 

直径3センチほどですから、肉眼ではよく見えませんが、拡大してみると、小さな焼き鏝(こて)のようなもので模様をつけてあります。
この丸の直径は約1ミリです。細かい、細かい。


蓋を被せるところは、薄く削ってあります。
インドネシアの石灰入れは、東南アジア大陸部の石灰入れに比べるとずいぶん深さがあります。石灰は練った形ではなく、粉のままで入れられていたのでしょうか?

石灰を口に含むことに、なんとなく抵抗感がありますが、その昔、石灰は牡蠣など貝の殻などでつくられたものだったので、カルシウムを摂る感覚で、抵抗がなかったのかもしれません。


筒の上下には木を嵌めて、漆のような樹液を塗って固めてあります。


この三つは、インドネシア、フィリピンと国は違いますが、「マレーの竹細工」です。
この細工をした人たち「マレー」は、台湾からマダガスカルまで広く分布する、海洋民族の人々です。
どれも、職人さんがつくったというより、村の器用な人がつくったものか、あるいは自作のものと考えられます。
ありふれた竹を使っていますが、世界でただ一つのものにつくり上げています。


竹細工の石灰入れは、東南アジア大陸の鋳物や打ち出しの金属の石灰入れとは趣が異なりますが、素敵です。

石灰、檳榔樹の実、プルーの葉の組み合わせで噛んでいると、どうして口の中が真っ赤になるのか、それにしても不思議です。


おまけは、タイの切手に見る、キンマーの道具です。
これはベンチャロン(五彩)のキンマー道具、王家で使用していたものかもしれません。蓋のある容器の、どれに石灰を入れたのでしょうか?


銀細工のキンマー道具の中の石灰入れは、奥の背の高い蓋物です。
ほかの蓋物には、刻み煙草などが入っていたと思われます。
ベンチャロンも銀細工も、どちらも手の込んだ細工ですが、私はやっぱり、もっと素朴なものに惹かれてしまいます。





2018年1月11日木曜日

竹筒(二)


インドネシアの石灰入れです。
嗜好品である檳榔樹(ビンロウジュ)の実を噛むときは、プルーの葉に、生や乾燥した檳榔樹の実、刻み煙草の葉などとともに、石灰を入れます。


筒は竹でできていて、底には木を嵌めて、鳥を彫った木の蓋がついています。


竹筒に描かれた模様は、木の下に動物が一頭横たわっています。
虎でしょうか?インドネシアで、虎がいた島としてはスマトラ島だけですが、スマトラ島のものかどうか、虎のいない日本でも、虎の描かれた絵などありました。
 

鳥は、花の上に座っています。
檳榔樹は長年噛んでいると口の中が赤くなってしまうので、近年、若い人で噛む人は世界的にいなくなっているようですが、その昔には、客人にはまず噛むことを勧めるのが、おもてなしだった時代がありました。






2018年1月10日水曜日

竹筒


フィリピンの竹の蓋つき容器です。
手に入れたときから竹にひびが入っていたかどうか、ずいぶん前のことで覚えていませんが、それにしても、こんなには割れていなかったと思います。

 
とくに蓋のひびは、盛大です。
 

その亀裂を、ばらばらにならないように食い止めているのが、この巻いてある紐です。
素材は何でしょう?
針金かと思って磁石を当ててみましたが、針金ではないようでした。持ち手に使っている紐と同じ材料だとすると樹皮でしょうか。


容器本体も蓋も、二か所ずつ溝に削ってありますが、どちらも実際に紐を巻いてあるのは一か所ずつです。
しかも紐を巻いていない溝は、溝にかかって、紐を通す穴を開けてあるので、最初から紐を巻く気がなく、装飾のためだけに彫ったのかもしれません。

それにしても、二か所巻いておけば、割れは少なかったでしょうか?


いえいえ、一か所とはいえ巻いてあってもこんなに割れているのだから、割れる力は防ぎようがなかったでしょう。
竹は激しく使わなければ、そうそう割れません。細工した後からこんなに割れること自体、なんだか面白い現象です。
 

この竹筒は、いったい何として使われたものでしょうか。
縁が薄く削られているので、水筒としてつくられたのでしょうか?
竹の器で水を飲んでみればわかりますが、縁が厚いのと薄いのでは、飲みやすさが違います。

皮を削り取られた部分には、全く割れがありません。
この竹が、もともと時間が経つにつれて割れやすい竹なら、皮さえはぎ取っておけば割れないと知っていたと思われるのに、そうしてないのにも理由があったかもしれません。

カンボジアのラッタナキリ県の村で、水入れのひょうたんをいただいたとき、
「一度でも水を切らしてはいけない、いつも水を満たしておくように」
と教えていただいたことがあります。水を入れたり入れなかったりと適当にしていると、中にカビが生えて水が汚染され、お腹を壊すそうです。もしかしたら、子どもが死ぬとか、悲しい経験があったのかもしれません。

まったくの推測ですが、この容器も、その昔使われていた時は、毎日水を入れておいたので、割れることがなかったとも考えられます。
 

蓋の縁には、素敵な模様彫りがしてあります。
小刀一本でこんな模様を彫るのは、大変だったことでしょう。
 

留め具はないけれど、蓋はしっかり締まって、安心して持ち上げることができます。






2018年1月9日火曜日

額装

戸棚の中に、布たちがつどっています。
鋏を入れられない布もあれば、鋏を入れてもいい布もあります。昨年、そんな布の一枚を思い切って仕立ててみましたが、相変わらず着ている服といえばいつものもの、仕立てた服は、布の戸棚から、服を入れている引き出しに移動しただけでした。
額装したらいいのにと思う布も、額装してもあまり飾るところがありません。それでも、ミラーワークの古布は畳みにくいので、額にしてみることにしました。


まず、別布でちょっと大きめに裏打ちしました。
 

裏打ち布にしつけ糸で留めておいてから、目立たないように、周囲をかがります。


額縁の縁に隠れる部分(約5ミリ)も含めた大きさに、ベニヤ板を切りました。


布はまっすぐではありませんが、できるだけ縁がまっすぐになるように、縁に刺繍がない辺で調節しながら、ベニヤ板に綴じつけます。


額に入れたとき、縁の刺繍は隠さないように、額縁の大きさを決めます。
 

額縁の材を用意しました。


クランプを使って、ボンドでくっつけます。
できた額にミラーワークを嵌め、裏にもう一枚同じ大きさのベニヤ板を当てて、細い釘で留めました。


さて、どこに飾りましょうか?
この額にはガラスを入れてないので、埃になりやすい作業棟は無理、母屋のどこかに、陽の当たらない場所を見つけなくてはなりません。


絶対に陽が当たらない壁を見つけました。北側の窓の東側の袖壁です。
窓の反対側にも袖壁がありますが、そちらは季節によって、朝日が当たるときがあります。





2018年1月8日月曜日

絵葉書で楽しむ

ヤフーオークションでは、ありとあらゆるものが取引されているようですが、古い絵葉書も例外ではありません。
膨大な数があるようなので、積極的にのぞいて見る気も暇もありませんが、ときおり、何かの拍子に、偶然目に入ってくる絵葉書があります。そして、そんなものの中には、なかなか面白い情報が含まれていたりします。

紙ものは整理の仕方が難しいし、額縁に入れて飾る場所はないし、欲しいような絵葉書は値も張るしで、もっぱらかいま見せていただくだけですが。


気になった絵葉書の一つ、「現代美人風俗」シリーズの中の一枚です。
料理屋さんか旅館の女将さんのようですが、長火鉢、裾の広がった端広鉄瓶(熱効率がいい)、長キセル、床の間の燭台など、見るべきものがたくさんあり、もちろん、一番目につくのは招き猫です。
確か説明に、絵葉書がつくられたおよその時代も記載されていたかと思いますが、ずいぶん前のことで忘れてしまいました。「現代美人風俗」ですから、古い時代を思い起こして描いたのではなく、そのままの時代を描いたもの、髪型からして明治末から大正あたりと思われます。

いったい「どこの招き猫」でしょう?
白猫ではなくて白黒猫なのが気になりますが、珍しい右手挙げなので、豪徳寺の招き猫の可能性があります。


そして、この招き猫にも似ています。


さて、これは日本の絵葉書ではなく、フランスの絵葉書ですが、見たことのない昔の建設現場の様子を垣間見ることができます。
ノミを使っている大工さんは、器用に材を足で抑えています。私がこんなことをしたら、背中は痛いし、脚がつってしまいます。
かんなを使っている大工さんの、材の立て方や、膝を伸ばした脚の踏ん張り方も面白い。手斧(ちょうな)を使っている大工さんは、木を削っているのではなく、木の皮をむいているようです。
もちろん、一目でわかる構図に大工さんたちを集めた、「やらせ」写真だと思われますが、情報量がいっぱいで楽しめます。後ろの紐で絡めてぶら下げたような板は何でしょう?こうやって乾かしているのでしょうか?
当時の大工さんは、道具は道具箱に収めて、その道具箱を担いで仕事場に行ったはずですが、ここでは道具を見せるためにか、後ろの板の壁に、何本もの鋸、木か竹でできた曲尺(かねじゃく)、穴開けドリルなど掛けてあります。

ところで、床にはなぜ、木の皮のようなものが敷き詰めてあるのでしょう?大切な材や道具に土をつけたりしないように、わざわざ敷き詰めてあるのでしょうか?
興味津々です。

中国の飴屋さん

追記:


昭ちゃんが写真を送ってくれました。
本の一ページらしいけれど、これも、もとはと言えば絵葉書でしょうか?
そうそう、大工さんはこの姿で仕事場に行きました。いなせです。
パッチは履いていないので、こちらは暑い時期の姿だと思われます。
昭ちゃん、ありがとうございました。



2018年1月7日日曜日

うさぎさん

マトリョーシカは好きだけれど値段は高騰し続けていて、すっかり高根の花になってしまいました。
昨今は、ネットショップを覗き見て楽しむだけの私ですが、昨年、それでも二組ばかり迎え入れました。


その一つ、アーニャ・リャボヴァさんのうさぎです。


と言っても、これはマトリョーシカではなくて貯金箱です。


にんまり笑っているこのうさぎ、それもそのはず、背中を見るとニンジンを大量に手に入れて、袋に詰めて背負っているのです。


胴に描かれている二匹のうさぎたちも、それぞれ美味しいものを手に入れたようです。

「若手のホープ」、「多作なのに二つとして同じものがない」などと、日本人のロシア雑貨屋の店主たちが口をそろえて褒めるアーニャ・リャボヴァさんとは、どんな人でしょう?


ネットで、リャボヴァさんの写真が見つかりました。はにかみ屋で物静かな人という、うわさどおりの人に見えます。
リャボヴァさんは、モスクワの雑貨市場で、自作のマトリョーシカを中心に雑貨のお店を開いています。もともとは、ただ売っているだけでしたが、お兄さんに、
「自分でも絵つけしてみたら?」
と勧められて絵つけを始めたそうです。


以後、一つのスタイルにこだわらず、新しいものに挑戦し続け、その作品がどれも魅力的で、人気を集めています。
そんな、型にはまらないリャボヴァさんだからこそ、貯金箱もつくってみたのでしょう。


貯金箱は、首が外れます。


それにしても、ロシアのものづくりの確かさには驚くばかりです。
まずは絵つけのすばらしさに目が行くのですが、轆轤(ろくろ)細工の精密さ。狂うこともなく、過不足なく開けたり閉めたりできるマトリョーシカを挽ける職人さんが、まだまだたくさんいることがわかります。
それに比べると、ほかの国(中国、インド、ヴェトナムなど)でつくられたマトリョーシカは、時間が経つとゆるくなって閉じたまま持ち上げられなかったり、きちっと閉まらなくなったり、開けることができなくなったりと、狂い易いものです。
もっとも、手仕事王国のロシアでも、10個以上のたくさんの入れ子をつくれる職人さんが減っているそうです。





2018年1月6日土曜日

ろうそく


ふぢこさんから、手づくりのろうそくをいただきました。
フィンランドあたりのものだそうです。
まず芯をつくり、それを溶かした蝋に浸し、付着した蝋を乾かしてはまた浸し、を繰り返して太くしながらつくったものです。


とんがり帽子をかぶった小人に見立てているのか、顔が描いてありました。
西欧の手づくりろうそくを見たのは、もしかしたら初めてかもしれません。

『ターシャ・テューダー手作りの世界、暖炉の火のそばで』(1996)より

この写真は、ターシャ・テューダーが一年分のろうそくをつくっているところです。


材料も製法も違う、和ろうそくです。
和ろうそくには、何種類かのつくり方があるようですが、これは木型を使ってつくってあります。


赤いろうそくも中は白です。白いろうそくをつくってから、赤い蝋の液に浸すのでしょうか。


和ろうそくの原料はハゼの実、西欧ろうそくの原料は元々は蜜ろうや樹脂ですが、今はパラフィンを使うようです。