行きの電車に乗って、座席に座って、持って行ったバッグの紐が切れそうになっていることに気がつきました。
最初、内側だけかと思ったのですが、見ると外側がもっとちぎれそうになっています。
このバックを、私はいつも右肩に、袈裟懸けに掛けます。
バッグを肩に掛けたまま座ってバッグを膝に乗せると、右手の方にくる紐と金具の関係は、ちょっとねじれた状態になってしまいます。それを、長年繰り返していたために、ちぎれそうになったのでしょうか?
あるいは、使用後は、いつもたっぷりクリームを塗るという養生も怠っていたかもしれません。
肩紐は長さを調節できるように二本になっていますが、短い方の紐を取り換える以外ありません。
さて旅先で、バッグには持ち手がついてないので紐が傷んでいても肩から下げるしかありません。もう一つ、着替えを入れた竹のバッグもぶら下げています。
「家に帰るまで切れるなよ」
と心に念じながら、歩くときは、そうっと左手でバッグを持ち上げて、重さがかからないように歩いたので、すっかり肩が凝ってしまいました。
誰かが私の行動を見たら、バッグに大金を入れて、スリは寄せつけないぞと、しっかり抱えているように見えたかもしれません。
じつは、同じ作家さんがつくった、A4サイズが入るバッグも持っています。
これは、亡きカメラマンの管洋志さんが作家さんに、「男が持つこんなバッグが欲しい」と、アイデアを出してつくってもらったのが最初だと聞いたことがあります。
うらやましくて、私もつくってもらったのですが、女性が気軽く持ち歩くには、ちょっと大きくて重すぎました。
それで、女性用の小さなショルダーバックもあったので、のちにつくってもらったのです。
大きい方は、小さいバッグほどには出番がなかったこともあって、あまり傷んでいません。
ところが小さい方は、もう何年も前から、ファスナーのつまみが取れています。金属がこすれて、擦り切れて取れたのです。
25年も使ったのだから、新しいバッグにすればいい、というわけにはいきません。これから先、気に入ったバッグが見つかるとは、到底思えないからです。
何としても直したいと、同級生だったHさんを思い出しました。彼がいつかこのバッグを見たとき、
「ゲンターラ(バッグの名前、作家さんの名前でもあるのかな?)知ってんの?」
と、訊かれたことがありました。
「ううん」
「おれの友だちだよ」
と言っていたのを思い出したのです。
そこでHさんに電話すると、残念ながら留守でした。夜もう一度電話しようと思いながら、気はせいています。
ダメもとで、バッグを販売していた、カバン店に電話してみました。何故、普通なら最初に思い出すはずのカバン店にあまり期待していないかと言えば、20年ほど前に、大きい方のバッグの中の革がはがれたのを修理してもらえないかと持って行ったら、「自分で貼ったら」と、けんもほろろに断られたことがあったからです。
「二度と、あんなところ」
と思っていたので、まったく期待せずに、カバン店に電話してみました。
バッグの名前を告げ、修理可能かどうか訊いたら、なんと、快く修理に応じてくれるとのことでした。
これで一安心です。
ところで、あまりにも表面が傷んでいるのでクリームを塗っていたら、気をつけていたのに、とうとう紐が切れてしまいました。
旅の途中で切れなかったのは奇跡だったとしか思えません。
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