2020年9月12日土曜日

四角くつながった

水平を簡単に出す機械がなかった時代、大工さんはどうやって水平を出したのでしょう?


まず、建物を建てる位置を決めて四隅に杭を立てました。杭と杭の間に糸を張り、糸に沿って一間の間隔で杭を打ち足し、専用の長い箱(水盛箱)に水を張って、水面から等間隔を糸で拾って杭に印をつけて行きました。一回りした後、各杭の印の差を調整してからもう一回りすると、しっかりと水平が出るので、そこに貫板を打ちつけて基準としました。
また、お城建設では、まず堀を掘ってその中に木を立て、堀に水を張って水面からの高さを測り、水平を出したのだそうです。
建物のもう一つの基準、直角を出すのはどうしたのでしょう?
それはピタゴラスの定理である、「斜辺の二乗は直角を挟む辺を二乗して足したものと等しい」というのを使って出しました。

現代では、大工さんもコンピュータ搭載の測量器を持っていて、ピッとボタンを押せば、水平だけでなく直角も含めて、正しい位置を瞬時に知ることができます。
ところが我が家の測量器は古い型のもの、水平は難なく測れますが、直角は測量器の角度を計算して、確認しなくてはなりません。しかし面倒、直角を出すにはまずはピタゴラスやら、対角線を巻き尺で測るやらして決めています。
測量機をのぞくのは夫の仕事、私ものぞいたこともありますが、狭い範囲なので見にくい、逆光だとさらに見えにくいので、建設のとき、最も大変なのはこの初期の段階です。


さて、建設中の息子の家ですが、北東の角がちょっと南に行き過ぎているので、9センチ北に寄せると知ったときは、がっくりしました。
組んだものを外してやり直すのではなく、固めたままで、ユンボで押したり、引っ張ったりして修正するというのです。
「わぁぁ、できるんかいな?」
とりあえず、下にたまってしまった土や、水回りのパネルの中に盛ってあった砕石を取り除いて、パネル全体が外に動きやすいようにしました。


まず、北のパネルをユンボで押してみましたが、押したところが膨らむように動くだけで、東のパネルがまったく動きません。ということは、角が動かなかったということ、次に、東の壁の端を押してみると、角が動きました。そして、また北のパネルを押したりして、何とか9センチ、北(外側)に移動させることができました。
ついでに、水回りの西のあたり、北のパネルがちょっと内側に入り込んでいたところは外から引っ張って、うまい具合に真直ぐになりました。

木造の建物はホゾを組むので、下がまっ平な直角の箱になります。それを乗せる基礎が平行四辺形だったり、天端が水平でなかったりしたら、木造部分がうまく乗りません。恐ろしいことになります。


南の壁はまだパイプを組んでないし、出入り口として開けたままで作業していたこともあって、思いっきり曲がっています。
これも、組んでから調整するのだそうです。


そして一昨日、外側のパネルをつないで、出入り口を閉じました。
南の壁をまっすぐにして、まず形を決めるのが最善の方法ですが、全体に配筋したり、基礎のある部分は鉄筋を立ち上げたりと、内側の仕事はまだまだ残っています。
橋でも架けるのかと思っていたら夫は、鉄筋をばんばん投げ込んでおいてから作業すると言っています。

さて、あんなにたくさんあった単管パイプは、ほぼ底をついてしまいました。
物置きとして組んでいたのを壊して、短いのをつなぎ合わせ、Oくんからも借りてきましたが、まだ水回りのパネルを、単管パイプで締めなくてはなりません。
母屋を建設したときは、集落に建設会社の倉庫があって、集落の人なら、置いてあるものをいくらでも借りてよかったので助かったのですが、今では倉庫だった建物を壊してしまい、鉄パイプも数本転がっているにすぎません。
「いざとなったら桟木も使えるから」
そうそう、そうだった。
桟木は鉄パイプの直径と同じ48ミリ、出番があるかもしれません。

後の二人が水盛箱を使っている







2 件のコメント:

af さんのコメント...

えーーー!!!!衝撃の事実!

確かに、水平、垂直が出ているということについて、当たり前のようですが・・・
機械がなかったらどうやりますか?というのは、ちゃんと考えたことがありませんでした。
これって、採用試験で出したら良さそうです。

さんのコメント...

akemifさん
水盛箱のことですか?すごい道具ですね。昔のお城が、足場の悪いところに短期間に築城されたというのも、考えてみると、とってもすごいことです。
この辺りに自力建設している人の中には、透明のホースに水を入れて、同じ高さを出している人もいます。でも、江戸時代とかには透明ホースはなくて、水盛箱だけでした。
それにしても、垂直を出すのは糸に錘を吊るして出すし、知らず知らず万有引力の法則やら、ピタゴラスの定理など使っていたというのは面白いことです(笑)。