2021年7月2日金曜日
先が長そう!
この20年、仙台に住む下の妹から、季節になるとサクランボが届きます。
前に、「もう送らないでいいから」と言ったことがありました。サクランボは大好きですが、妹から送られ続けるのも気が引けます。
先日もサクランボが届いたので、お礼メールを書きました。
その時、布も型紙もあるから、ひょっとしたらもんぺをつくることがあるかもしれないけど、期待しないでと、つい書いてしまいました。
妹は、25年くらい前から、母の縫ったもんぺしかはかない生活をしています。もちろん、お葬式のときなどは喪服を着ていますが、それ以外は、冬でもインド綿のもんぺですごしています。
母は、私や弟、上の妹とは穏やかに話しましたが、下の妹だけにはずけずけと言いたいことを言い、挑発的で、妹も立てつき、ときおり口喧嘩のようになることがありました。そんな関係でしたが、母のつくったもんぺしかはかない妹のことを意気に感じていたのか、母はもんぺを縫いまくっていました。
「ちいちゃんのために、100本以上のもんぺを縫ったわ」
と言っているのを聞いたときは、びっくり仰天でした。
その母の気がかりは、母の亡きあと、妹のもんぺはどうするのかということでした。それほどつくったのだから、何とかなるだろうと私は蚊帳の外でしたが、おずおずと、頼まれそうになったこともありました。
「無理無理、私にはできないからね」
私は言下に断りました。
母のもんぺは、お尻には居敷あてという布を当てて補強し、膝は三重に補強し、ポケットも2つついた面倒なものです。簡単なもんぺだと私もつくるのを厭いませんが、母のもんぺはつくる気にはなれません。
メールを書いてもすぐに返事が来たためしなどない妹から、すぐ返事がありました。
もんぺをつくってもらえるならありがたい。今、膝の破れてないのを外出用に、膝の破れているのを自宅用にしているけれど、心もとない。できたらたくさんつくって欲しい。多いほどいい、という内容でした。
期待が、ひしひしと伝わってきます。黙ってつくって、できたときに送ればよかったと思いましたが、後の祭りです。多いほどいいと言っても、そうはいきません。
雨の月曜日、以前長椅子のカバーとして買ったインド綿のベッドスプレッドを3枚出してみました。
「いやいや、6本は無理!」
2枚で4本につくろうと、1枚はしまいました。
布を二つ折りにして型紙を当ててみると、幅がちょっと足りません。ベッドスプレッドですから、布端は折り込んでしっかり縫ってあり、できたら縫ってあるところは切り捨てて使いたいと思っていたのですが、面倒でも解かなくてはなりません。
というわけで、解きにかかりましたが、ご丁寧に二重にミシン掛けしてあります。
2枚解き終わるころには、手が痛くなってしまいました。
それでも解き終わり、折り山を濡らしてアイロンを当て、伸ばしました。
ここまでで、1日目の日が暮れました。
マイナスからのスタートで、ゼロ地点に立つまでに、1日もかかってしまったのです。
次の雨の日、布を二つに折り、再度型紙を当ててもっとも無駄を出さない裁断を考えます。1枚の布からもんぺを2本と、膝あてなどをとらなくてはなりません。
破れやすい膝には、裏から膝あてを縫いつけますが、共布と別布で二重につくります。そうすると、表の布が破れても、下から同じ布が現れるという仕組みです。
膝あては、1枚布ではとれず2枚の布を接がなくてはなりませんでしたが、何とかなりました。
いしき当てやもう一つの膝あてには別布を使いますが、探すと古いボックスシーツがありました。
もう10年も前、母が上の妹と同居するので身辺整理したときに持ってきたもので、元はと言えば妹の家から出たもの、布が巡り巡っています。捨てないでよかった、周りのゴムを切り取り、アイロンを当てました。
別布で、居敷あて8枚、膝あて8枚、ポケット布16枚裁断しました。シーツ1枚分なので余裕かと思っていましたが、ほとんど使ってしまいました。
やっと裁ち終わったと思ったら、やれやれ、2日目が暮れていました。
母は仕事の早い人でした。パッと決めるとパッとやってしまう、気に入ったものはいくつつくっても苦にならない、でもちょっと雑でした。同じ型紙を使っているはずのもんぺも、はきやすいものとはきにくいものがありました。妹のおこぼれのもんぺをもらった私が、
「今度のもんぺ、股上が浅くて、はきにくいんだけど」
と言うと、
「そう?ちょっと布が足りなかったから短くつくった」
と、母は平気な顔をしていました。
「えぇ、上に布を足せばよかったじゃない。ちいちゃんは文句を言わないの?」
「ぜ~んぜん。文句を言われたことは、一度もないわよ」
しかたなく、私はゴムの部分を解いて、別布を足してはき心地のよいものにしていました。
どうして、つくるたびにはき心地が違うのか?母と一緒に、妹のためにもんぺをつくったときに見たのは、一応型紙は当てているけれどそれはただの目安で、型紙にこだわらず、まったく適当に、大胆に切っていた姿でした。
これでは、1本1本違ってできてしまうのは当然でした。
さて、ポケットのつけ方がよくわからないのでネット動画を見てみました。こちらは母とは正反対で、
「型紙を当てて印をつけた線の上をはさみで切ってはいけません。線の内側を切ると、正しい大きさに切れます」
などと、ミリ単位の、やけに細かいことを言っています。
私は、母ほどおおざっぱでもないけれど、動画の人ほど細かくはありません。そして、仕事は母ほど早くないし、動画の人ほど早くもありません。
布を裁断して、縫うばかりになるまでに2日もかかりましたが、まだまだかかりそうです。
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2 件のコメント:
過去のお母様のモンペ作りの記事もたっぷり楽しみました(前も読んだけど)。
慣れている人が縫えばすぐなんでしょうけど、初めてのお母様方式モンペに四苦八苦ですね。
Eテレのソーイングビーという、イギリスの裁縫好きの人たちの勝ち抜き選手権を毎週見ています。ジャケットを5時間で縫うとか信じられません。服や生地の歴史などもちょっとあって楽しいです。
hiyocoさん
とほほです。今日も朝からやっていて、まだ膝あてを縫い終わってないのに、700mの糸巻き1つ消費してしまいました。どんだけ縫えばいいんだ(涙)。
ソーイングビー、今度見てみますね。イギリスのおばちゃん侮れず。チャリティーがあったら一晩でグランマズブランケットを編み上げるとか。そういえば私、昨冬は私のひざ掛け、1目も編みませんでした(笑)。
日本でもありましたよね。一晩で着物を縫いあげるとか。
昨日今日、雨なので縫いものと向き合ってで、目がしょぼしょぼです。
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