2025年4月13日日曜日

日本のおもちゃ売り

ドイツでは、木彫りのおもちゃを売り歩くおもちゃ商人がいたようですが、日本にはどんなおもちゃ行商人がいたのでしょう?
私の大叔母が、小さいころ節句が近づくと、おもちゃ行商人が土人形を入れた「ふご」を天秤棒で担いで、売りに来ていたと話してくれたことがありました。重くて大変だったろうと思ったことでした。


ネットで見つけたのは、歌川広重の描いたネズミ売りです。
あれっ、おもちゃを買っているのは誰かしら? 歌舞伎役者? 
古い絵で見ると、多くの行商人は一種類のおもちゃしか商ってなかったようです。
「弾き猿(はじきさる)」は今でも(もう消えている?)ありますが、ネズミが跳ねるおもちゃは見たことがありません。広重の時代、ネズミが跳ねることに、何か意味があったのでしょうか?


「弾き猿」は、厄や難を「弾き去る」に引っかけてつくられました。
神社の授与品が多く、東京葛飾の柴又帝釈天、宮崎の住吉神社、鹿児島神宮など、日本各地の神社でつくられ、授与されました。


この弾き猿をどこで手に入れたものか、忘れてしまっています。
なんとなく熊本県日奈久のおもちゃだったように記憶していますが、違っているかもしれません。柴又の帝釈天の弾き猿も鹿児島神宮の弾き猿も持っていましたが、紙がちぎれたり竹が折れたりして、失せてしまいました。


ここからは、『日本の人形と玩具』(西沢笛畝著、岩崎美術社、1975年)に掲載されていた絵です。
享保年間の「手車」売りです。手車とはヨーヨーのようなもの、というかヨーヨーの前身で、行商人は太鼓をたたいて、子どもを集めてから口上を述べました。


これも手車です。


これは「豆蔵」売り、豆蔵とはやじろべえの前身です。これも享保年間のおもちゃ売りです。



これは都鳥を売っている行商人です。
この手のおもちゃは紙でできていて、ぶんぶん振り回すと音が聞こえます。

『日本の人形と玩具』より

上は江戸時代ではなく、明治38年(1905年)の、おもちゃ売りの絵です。
風船屋はパラシュートのようなものを売っています。ほかにちょうちょ売り、ツバメ売り、鳩ポッポ(ってどれ?)売り、だいたい軽いものを持って行商しています。ツバメは上の都鳥のように、振り回して遊びます。


ちょうちょは棒の先につけて、ひらひらさせたようです。

一つ上の絵の、奥に見える天秤棒を担いでいる人の籠の中には、舟のおもちゃらしきものが見えるのですが、土人形も持っているのでしょうか? 私的にはこの人に一番興味があります。同じ絵の、おもちゃ商人たちの後に見えるのは、店を構えている人形屋さんで、お雛さまの掛け軸が見えています。


さて、これがツバメのおもちゃです。
口の先の金属の板と尻尾が竹ひごでつながっていて、身体と羽は紙、尻尾は経木でできています。


振り回すと、風を受けて尻尾が回って、金属板と頭につけた針金の突起がぶつかり、「ジージー」と大きな音をたてます。


なかなか楽しいおもちゃです。


ツバメとともにほかの鳥たちも取り出してみたら、本当の鳥の羽をつけた鳥の、1枚の羽が虫に食われてボロボロになっていました。


折れそうになっていましたが、


手に取っているうちに折れてしまいました。しかたない、残りも引き抜いてみると、ただ指してあっただけでした。今度誰かに鶏の羽をもらって修理します。ただ、羽を差し込んであるだけですから修理は簡単です。

話がすっかり逸れてしまいました。







6 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

日曜の「べらぼう」で、ちょうちょ売りからちょうちょを子供が買っているシーンが映っていました!
人形屋さんの前の人たちの中に、竈のようなもので何かやっている人がいますが、一体何でしょうね。最後の一行が「しえ蒔うり」に見えるのですが、稗蒔売りのことかな~と思ったりして。

さんのコメント...

hiyocoさん
「べらぼう」を観たのに気づきませんでした。もう一度観てみます。おもちゃだと気になるはずなのになぁ。籠とかは湯飲みとかはしっかり見ています。「あんぱん」ではカンボジア製の籠にあんぱんを入れていました(笑)。
人形屋の前の竈で何かやっている人は、火も見えているので豆を炒っているのかと思っていました。鳩のおもちゃがないから、「鳩が豆鉄砲をくらう」?
生きた亀もおもちゃとは言えないですよね。それにしても、亀はどこから仕入れてきたのかしら?
hiyocoさんが読んだ通り、私が読めなかった字は稗蒔売りでしょう。だとすると、私が船のおもちゃを担いでいると見たのは間違いで、ふごに小さな盆栽がいっぱい入っているのだと思います。江戸の人も小さな緑に癒されていたのでしょうね。おもちゃじゃないけれど。

hiyoco さんのコメント...

べらぼうの冒頭、エレキテルの場面です。春さんのこの記事を読んだばかりだったので、目が釘付けでした(笑)。
なるほど、天秤棒の人が稗蒔売りはしっくりきます。重そうだけど(笑)。小さな緑を買ったりするなんて、今の都会の生活と変わらないですね!

さんのコメント...

hiyocoさん
観ました!一瞬だけど大きい蝶でしたね。そして、いろいろな色の蝶がありました(^^♪
昔の子どもは嬉しかっただろうなぁ。私も日本では出逢ったのはだるま市の招き猫くらいですが、タイやカンボジアでおもちゃ売りに会ったときはもうわくわくしました。もっとも、2000年ぐらいになると紙やヤシの葉などではなくて、プラスティックが主流になってしまって残念でしたけれど(https://koharu2009.blogspot.com/2011/06/blog-post_18.html)。

rei さんのコメント...

『日本の人形と玩具』の絵を見て頭に浮かんだのが「べらぼう」の出版物に描かれた絵でしたが、こちらのコメントに「べらぼう」が。お二人共にご覧なのですね。NHKの大河ドラマを観るのはいつ以来か思い出せない程興味が無かったのですが、今回は、横浜流星の演技を見てみようかなから始まってハマりました。吉原の風俗、当時の出版の様子など面白いです。ちょうちょ、気が付きませんでした。

さんのコメント...

reiさん
私も大河ドラマでこれまでに見たのは、後にも先にも「青天を衝け」だけだったのですが、「べらぼう」は面白く観ています。本編だけでなく裏話(「100 のカメラ」だったかな?)も観たりして(笑)。さすがに鉄漿はやっていませんが、眉を剃ったりしているの、いいですね。
昔の物売りも、ちょうちょ屋さんだけでなくいっぱいでてきました。時代劇は今となっては大変だろうけど、風物が消え去ってしまわないためにも、続けて欲しいです。