骨董市のまことさんの店に布製のランドセルがありました。普通のランドセルより一回り小さいもので、デッドストックのようでした。
「なんて可愛いんだろう!」
としばし眺めた後、別のものを見たり、お連れ合いのふくさんとしゃべっていたりしたら、ランドセルの近くで一人のおじさんが、
「じゃぁ、ランドセルもらって行くよ」
と声を張り上げたので、思わずそちらを見てしまいました。
「これからこのランドセル背負って、勉強して、おれ、ハーバードに行くからね」
と周りを笑わせながら去って行くおじさんを見ながら、「売れちゃったのか」と思いながら、ふくさんに、
「あのランドセル可愛かったね」
と言いました。
「そうね、3つあったのよ。2つが野球の模様で、もう1つは別の模様だったの」
えっ、複数あったのかと目を凝らすと、台の上の私の見たランドセルはまだ残っていたので、「私は買わない」と整理のついていた気持ちが、またざわついてしまいました。
「ランドセルの写真を撮らせてもらってもいい?」
「ああ、いいよ」
と、まことさん。
写真を撮っていたらふくさんが来て、留め金を外して、中も見せてくれました。魅力的です。
「やっぱり買おうかな」
というわけで、ランドセルが我が家にやってきました。
全体は布でできていて、要所要所に革を使っていますが、革は貴重だったのか、厚い革を使っている場所は限られていて、あとは信じられないような薄い革が使われているところもあります。
留め金を開けると時間表と名札を差し込むところがあります。
硬い布と硬い革なので、てっきりミシンで縫っているのだと思っていましたが、こうして拡大して見ると縫い目が不揃いです。ミシンで縫ったと見せかけていながら手縫いだったようです。
肩紐の留め金が、長く固定されていたからか(写真の)右側は固まってしまっていて、動かすことができません。
というわけで、残念ながら肩に掛けてみることはできません。
刺繍も手でやっているようですが、当時は手仕事より機械仕事の方がもてはやされたと見えて、ところどころで機械で刺繍した感を強調しています。
このランドセルは、もののない時代につくられたものだろうとは思いましたが、ネットで「代用ランドセル」と画像検索してみると、1件だけヒットしました。
手前の真ん中のランドセルが、私が手に入れたものと留め金などが同じ仕様になっています。
写真の出所はオークフリー、写真の下に「戦後に不要になった兵器(軍事用品の間違い?)を解体してつくられた品」と説明書きがあるのですが、そのサイトに移動してみるとすでに引き上げたのか写真も文もなくて、これ以上の詳しい情報を得ることができませんでした。
私はランドセルと無縁な小学生時代を過ごしました。田舎の、1学年が1クラスしかない小学校に通い、白い肩掛け式のカバンはちらほら見かけましたが、ランドセルは誰も持っていませんでした。そして、自分がどんなカバンで通学していたのか、全く覚えていません。
歳の離れた妹たちはランドセルを背負っていた気もするけれど、ランドセルといって真っ先に光景が目に浮かぶのは、高校通学の時いつも乗り合わせた、付属小学校に通う制服姿の小学生たちの背負っていた黒いランドセルです。今はどうか、あの頃は小学生でも一人で電車に乗って遠くまで行くことができました。
そんな、ランドセルに無縁の私、このランドセルとどうつき合うのでしょうね。









0 件のコメント:
コメントを投稿