2011年1月5日水曜日
水入れの籠
西アフリカには、汁気のものを大量に運ぶには、ひょうたん(かんぴょう)という、便利なものがあります。
お酒も、醸すには粘土を焼いてつくった甕を使いますが、それを市場で売るには、軽い、大きなひょうたんに入れて、頭に乗せて運びます。
ひょうたんを何段も重ねて、自分一人では持ち上げられないほどの高さと重さになったものを、他の人に手伝ってもらって頭に乗せ、何キロもの道を歩いて行く人もいます。
他の地域ではどうでしょうか?
タイ北部(ランナー)や、ビルマでは、運搬容器として、籃胎(らんたい、竹の籠に漆を塗ったもの)を使いました。籃胎は材料が手に入りやすく、丈夫で容量を大きくしても軽いので、持ち運びに適していました。
この籃胎の鉢は、直径が38センチあります。
この鉢に売りたいお菓子や飲み物を入れ、お盆のような蓋を被せ、
ラタンで編んだ、このようなものに乗せて、
天秤棒で担いで、売り歩いたり、道端でお店を開いたりします。
鉢自体が軽いので、たくさん持って歩けます。
1981年にビルマに行ったとき、ラングーンの路上で、籃胎の鉢をいくつも見ました。道端に置いて、一杯5円ほどの、お汁粉のようなお菓子などを売っていました。
タイではその当時、似たお菓子を売るには、ホウロウの容器やガラスビンなどを使っていました。天秤棒で担ぐ籃胎の鉢は、お寺の壁画などでしか見たことのなかったので、普通に見られたことに、感動してしまったものでした。
もう、ビルマでも、こんな素敵な容器は消えてしまっているかもしれません。
どれも、根来(赤漆の下から、ところどころ黒漆が見えている状態)になった、本当に美しい鉢でした。
ちょっと傷んでいますが、カンボジアの水入れです。
籃胎はインドから東南アジアに、ヒンドゥー文化とともに伝播したのでしょうか?それともその後に、仏教文化とともに伝播したのでしょうか?
カンボジアには、ランナータイやビルマのような繊細な籃胎は見られません。水漏れを防ぐには、一般的には漆より、別の樹液を使う方が広くいきわたっていたのではないかと思われます。
これは、直径が25センチのボウルです。天秤棒で担いで行くには小さすぎますから、家庭で使ったものでしょうか。
カンボジアの水入れは、なぜか籠の底の中心が中に盛り上がっているのが特徴です。
もっと小さい、直径17センチの鉢です。
これは、水を入れた大きな鉢や素焼きの甕などに浮かべておいて、コップとして使ったものと思われます。
もしやと思って水に浮かべてみましたら、底が引っ込んだボウルは、底が平らなボウルより、安定して浮き易いことがわかりました。
タイでも、水飲み容器や、水浴びの桶(今はステンレスやアルミ製)は、よく甕などに張った水に、浮かべたままにしています。水に浮かべておかないと、置く場所によっては泥がついたり、ところかまわず置くと、見あたらなくなったりするからでしょうか。
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