2012年5月29日火曜日

衝動買い


人との出会いもそうですが、ものとの出逢いも一期一会です。

でも、 初めて出逢ったものに飛びついて、あとで「しまった」と思うこともあります。
夫には、「衝動買い」と悪く言われますが、そのときは、「これを逃したらあとがあるだろうか?」と、焦っているのです。


この鋸がそうでした。
どこの骨董屋だったか、たぶん地方の骨董屋だった気がしますが、持ち手もないのに即買ってしまい、重いのに、運んできた覚えがあります。
なにせ、刃の幅が35センチ、長さは77センチもある大きなものです。
「そんなものどうするの?」

はい、どうしようもありません。
場所は取るし、そこいらに置いておくと危険だし。持ち手もつけよう、つけようと思いながら、早数十年。


そのとき、冷静に考えてみれば、いずれこの形の鋸は全く使われなくなり、不要になったものが骨董屋さんでも見られるようになると、考えられたかもしれません。

事実、骨董市で、古い大工道具などを扱っている骨董屋さんがときおり持っているのを見かけます。
しかもちゃんと持ち手がついている、もっと小さな鋸です。
 

しかし、こんなに各所で骨董市が開かれ、骨董屋さんが増え、いわゆる骨董品でなく、ちょっとまえの道具などが市場に出回るなんて、当時の誰に想像ができたでしょう?


このとてつもなく大きな刃には、打った槌のあとがついています。誰かが打って、誰かが一生懸命使っていた鋸だと思うと、邪魔ですがいとおしくなります。


鋸を使って一生懸命木を切っている樵さんのおもちゃは、創作ものですが、なかなかよくできています。
背中に「とが」と書いてありますから、とが(栂、つが)の木でつくったものでしょうか。
これも、フリーマーケットなどなかったころに、バザーで見つけたものです。


2 件のコメント:

すばる さんのコメント...

初めまして。
日本の古いものや海外の珍しい民芸品のお話など、いつもひっそりと楽しく拝見しております。今日は木挽き人形が紹介されていて、懐かしさのあまりつい出て来てしまいました。
これは富山県の利賀村にあるきつつき工房で手作りされたものです。「とが」は利賀村のことでしょうね。
もう二十数年前になりますが、まだ小さかった息子たちを連れてきつつき工房を訪ね、ご主人にいろいろお話を伺った日のことを思い出します。調べてみましたら、今でも作られているようです。
利賀村(今は南砺市になっているようですが)は山の中の小さな村ですが、雪深い冬にそば祭りがあったり夏には国際的な演劇祭があったり、特色のある所です。
機会がありましたら、是非訪れてみられてはいかがでしょう。

さんのコメント...

すばるさん
はじめまして。あはは、全く見当違いでした。教えていただいてありがとうございました。
勝手に「とがの木」なんて、失礼しました。とが村だったのですね。
朴の木によく似ているなぁと思ったりもしていたのですが(笑)。
この木挽き人形は、バザーで見つけましたが、お店で大小の木挽き人形を売っているのを見たこともありました。いずれも一生懸命鋸を挽く樵さんの姿が、重労働のはずなのにユーモラスで、素敵です。
また、遊びに来てくださいね。