2025年7月9日水曜日

木彫りの器


携帯用のマッコリ(韓国の濁り酒)を飲むための、木の器です。
韓国では、結婚するとき新郎が手彫りの家鴨を新婦に贈るほど木彫りが盛んで、も今では金属の器が普通ですが、それ以前は陶磁器の器、そしてその前は木彫りの器を使っていました。
さすが日本に鉄を伝えた国、よい刃物もあったのでしょう。


軽いこの盃を懐に入れて出かければ、どこでもマッコリを飲むことができました。


外側には、鳥のつがいが仲良く枝にとまっている姿が浮き彫りされています。浮き彫りをしながら、盃全体の形をいびつにならず丸く削るには、よほどの腕を要します。
もっとも、繊細な木工の家具や道具をつくり出した韓国の人たち、こんな彫りものは遊び心で彫れるもの、朝飯前だったのかもしれません。


紋のようなマークも掘ってあります。


絹の紐がついていますが、もしかしてこの細い組み紐も、糸から手で組んだのでしょうか?
韓国では今でも結び紐細工が盛んなので、組み紐は昔から、専門の人たちが組んだものを簡単に手に入れることができたのかもしれません。


韓国(朝鮮)の木工をもっと知りたいときに、『韓国の木工藝』(李宋碩著、熊野清貴監訳、八宝堂、2004年)という本があります。
図書館で借りたいと探してみましたが、なかなか見つかりません。さりとて、古本で手に入れることには、決心がつきません。

螺鈿の盤。『朝鮮民芸論集』(浅川巧著、高崎宗司編、岩波文庫、2003年)より

というのは、もしかしたらこの本には私が見たいと思うような素朴なものはほとんど載ってなくて、芸術品のようなものばかり掲載されているのではないかと危惧するからです。
私は、柳宗悦などの民藝運動で取り上げられている工芸品の中にも好きなものはありますが、両班(ヤンバン、高麗時代から
李氏朝鮮時代にかけての朝鮮における支配階級。文官と武官を指す)しか使わなかったような、上の写真のような繊細な螺鈿や彫を施した盤や箪笥などには、まったく関心がないのです

俵を編むときの錘

私の好きなのは、こんな、身体を動かして生きてきた人たちに使われたものです。

『韓国の木工藝』と名打っていれば、やはり国宝級の木工は外せないはず、私の好奇心を満たしてくれる、「韓国の素朴な木工」や「韓国の竹細工」を取り上げた本が発行されないか、もっと知りたいなぁと、望むばかりです。








 

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