相変わらず月に2回、ご遺族のご厚意に甘えて織物教室を続けさせていただいています。
ただ、先生を欠いてしまったので、体系だって励んでいるというより、どちらかと言えばみんな好き勝手なことをしているというのが現状です。
さかいさんはきくちさんの指導で、冬に教室で履くスリッパをつくっています。
型をつくってその上に羊毛を縦横に置き、石鹸液をかけながら圧力を加えてフェルト化してつくります。
型を包むようにして置いた羊毛を折り返して、また羊毛を縦横に置き、スリッパの底の内外、甲の内外と4回繰り返して、スリッパにします。片足分、わずか70グラムの軽さです。
まだ、象でも履けそうな大きさですが、これから圧力を加えて加えて、ちゃんとした大きさになるそうです。
さかいさんは、教室の織り機では家で織れないからと、最近、持ち運びのできるニュージーランド製の卓上織り機を買いました。
この織り機は綜絖(そうこう)がたった1枚で、その綜絖はバンド織り機のように、縦の溝と穴が交互に開いています。
整経機(せいけいき=経糸(たていと)を順番に並べて、織り機に掛ける準備をする道具)を使わないで整経ができるとのこと、いったいどうやって綜絖に通すのかと他人事ながら悩んでしまいましたが、
「まあ、見てて」
と言われて見ていると、糸の端ではなく、「わ」にしたものを「まず奥の巻取り棒に引っかけ、綜絖の溝を通し、写真では写ってないのですが、左手前に設置した棒に引っかけ、また綜絖の溝を通す」を繰り返して、整経しています。
最後に手前の棒に引っかけた経糸の「わ」を切って、2本一度に溝に通っている経糸の1本を小さな穴に通すという方法で、綜絖通しが完了しました。
通常、織物の準備として、経糸の順番を狂わせないために「綾を取る」ことがとても重要ですが、この織り機だと綾も取ることなく整経できます。
綜絖は、あらかじめ3段階の高さにセットするようにできていて、高さを変えて設置することで、溝に通した方の経糸は自由に上下し、穴に通した糸は高さが固定しているので、経糸が1本おきに上下に動いて平織りができるという仕組みでした。
これで、普通は最低でも2枚は必要な綜絖が1枚で済むだけでなく、綜絖が筬(おさ)まで兼ねるということのようです。
綜絖は幅が違うものが3枚ついていて、糸の太さによって選べます。
そして、私はきくちさんにいただいたサフォークの毛を糸にするために整えています。
サフォーク種の羊は顔には毛が生えていない、おもに肉にするための羊です。
サフォークの毛は、洗っても毛先が黄色っぽくなっているのが特徴です。
毛をとるための品種ではないからかどうか、毛は短くて、ムダ毛がたくさん出てしまいます。
原毛を梳くのは好きなのですが、その先の染色をつい面倒に思ってしまって、なかなか染める気になりません。
染めないと織る糸がないというのが問題です。
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