お休みの日、なにもせず、のんびりとアンティークのネットショップなどのぞいていました。
すると、フランス製の、パイ生地などを伸ばして切るための道具、木製のペストリーカッターが目に留まりました。
「どこかで見た形だなぁ」
と、ぼんやりしていたら、思い出しました。
カンボジアの健康器具によく似ています。
カンボジア人は、熱が出て身体がだるい時など、この古いコインの平たい方を使って、身体じゅうを強くこすります。
強く、赤い筋が残るほどこすると、たぶん毛細血管が刺激されて血液の循環が活発になるのでしょう、元気が出たり、熱が下がったりします。
カンボジアの「かたち」は、アンコール時代から続いているものもあれば、フランスの影響をさりげなく取り入れているものもあります、
もともとは、コインを手に持って使用していたのに、ペストリーカッターを見て木の柄をつけてみたのでしょうか?
だとすると斬新な発想です。
ペストリーカッターの刃は、もちろん回るはずですが、このコインは固定されています。
もっとも、カンボジア独自の形で、ただ偶然似ているだけかもしれません。
アンコール遺跡群には、まるで轆轤で引いたような石柱がたくさんありますが、それはもともと建物が木造でつくられていて、それが石造にかわっていったので、木造だったころの形を残しているからなのです。
柄が白っぽいのはプノンペンの市場の雑貨屋で、紫檀の柄のものはやはりプノンペンの骨董市場で買ったものです。
現在、カンボジアの通貨は紙幣だけで、コインは使われていません。
これまで、この健康器具が古いコインの再利用だとは知っていましたが、改めて拡大鏡で見てみると、仏領インドシナと印してあります。1920年とも読めます。
「ひゃぁー」
百年近い昔のコインを使って、今でも健康器具がつくられて、三十円やそこらで売られているなんて、なんて贅沢なことなんだと、改めて感心してしまいました。
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