2023年4月27日木曜日

辞書

昨日、ブログを書くために、「hatchel」という英単語をネット検索で調べようとしましたが、日本語で「ハッチェル」と出てくるだけ、役に立ちませんでした。


「hatchel」は、上の写真の前の方に見えている針の山みたいなものが板から突き出している道具の名前です。
見ただけで用途はわかったのですが、正しく知りたいものでした。


ネットでダメならと、久しぶりに研究社の松田徳一郎さん監修の2569ページのリーダース英和辞典を引っ張り出してきました。


「hatchel」を引くと「hackle」と同じと書いてあり、「hackle」を引くと、まず亜麻、生糸などをほぐすすきぐしと出ていました。あとは雄鶏などの首周りの頸羽、戦う前の犬の首や背あたりの逆立った毛、釣では毛針の意味があると書いてありました。
そして、使い方の事例に、「a hackling machine」があり、「櫛梳(せっそ)機」と書いてありました。
私が言うことではありませんが、改めて辞書はすごいと思いました。日本語の「櫛梳機」を知っていて使っている人がいったいどのくらいいるのか。また、「hackle」がこれまで何人の人に引かれて役に立ったか、考えてしまいました。


ちょうど、三浦しおん原作、雲田はるこ漫画の『舟を編む』(講談社、2017年)を読んだところでした。『舟を編む』は、広辞苑のような大きな辞書づくりの物語です。
辞書編纂チームの中核にいる人たちがつくろうとしている国語辞書の『大渡海』は、後発なので、既存の辞書の言葉を網羅しなくてはならない。意味を正しく簡潔に書かなくてはならない。廃れた言葉は新しい言葉に入れ替えなくてはならない。紙はできるだけ薄く、しかし透けないもので手に吸いつくような感覚の紙でなくてはならないなどなど、山のようにしなくてはならないことがあります。
最終段階で校正があがってきても、大勢で何度も目を通さなくてはならない、しかも一つも間違いがあってはならない、そして完成と同時に改定がはじまる気の遠くなるような仕事です。


私は三浦しおんさんという作家は(男か女かも)知らなかったし、『舟を編む』が2012年の本屋大賞をもらったことも知りませんでした。だいたい、文学賞とか、本屋大賞の受賞作にはまったく関心がないので、漫画になっていなかったら、出逢うこともなかった作品です。


我が家では、広辞苑をはじめとする辞書類は、梯子を上らないと取り出せないところにしまってあります。赤瀬川原平さんの、『新解さんの謎』を読んでから買ってみた新明解国語辞典なども、どこかにあるのか、ないのか。
私より夫の方が辞書を手元に置いていますが、最近はコンピュータのディープルという翻訳機能を使っているだけで、英語の辞書は使っていないし、岩波ことわざ辞典も置いてあるだけで見ているとも思われません。

『舟を編む』を読んで、辞書に対する気持ちがちょっと変わりました。当たり前に便利なものと思っているだけでなく、ときおり辞書を読んでみたいと思います。
「下駄箱」や「筆箱」は今でも辞書にあるのかしら?






5 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

hatchelをネットで検索すると、動詞「不躾な質問をする」、名詞「麻の梳き櫛」が出てきましたよ(笑)。画像は古い梳き櫛がずらり並んでいます。hackleだと新しい梳き櫛の写真が出てくるので、現在はhacleを使うのかもしれませんね。
久しぶりに広辞苑を引っ張り出したら、外箱の底に蛾の幼虫のフンのような黒い粒々があってびっくりしました。

hiyoco さんのコメント...

広辞苑の周りの辞書も出して埃を払っていたら、本と本の間からちびゴキの干からびた死骸が出てきたので、もしかしたらそのフンだったかも(苦笑)。蛾の幼虫より可能性ありますね~。

さんのコメント...

hiyocoさん
わぁ、ほんとだ!
私はバカでしたね。普通に検索しないで辞書アプリで検索しました。普通に検索すればよかったんだ!
確かにhatchelの検索結果の方が古い感じで味(?)がありますね。それに辞書にあった「麻や生糸」ですが、絹は絶対ないと思っていました。やっぱり麻だけですね。
広辞苑、私も引っ張り出さなくちゃ。漫画に出て来た「右」とか見てみたいです(笑)。

hiyoco さんのコメント...

hatchelやhackleはflaxとセットみたいですね。あの頑丈そうな針山で絹を梳くことはないですよね(笑)。英語のwikiにhackleの言葉の変遷が載っています(Etymologyの項目)。動画も興味深い。https://en.wikipedia.org/wiki/Heckling_(flax)
私はネットの辞書はweblioが好きです。語源も載っていることが多いので。

さんのコメント...

hiyocoさん
ありがとう。hatchelのwikiも面白かったしflaxのwikiも興味深いものでした。
で、動画を見ていたらhatchelが固定されてなくて動いてる!動かない日本の千歯扱きの方が合理的かと思いました。お米をつくっていたときは、私も千歯扱きを使っていました(笑)。
イギリス島ではhatchelを使っていて、では、大陸ではどんな道具を使っていたのか気になります。まぁ、同じような道具だとは思いますが。
それにしても亜麻は、繊維だけ取り出そうとするとどんどん減りますね。
私はGoogleの辞書を使っていましたが、以後Weblioにします(^^♪