2021年1月24日日曜日

ズボンとスカート

カシュガルの幼稚園児たち。スカートの下にズボンをはいている

てっきり前に紹介したと思っていたのに、紹介してなかった本がありました。
「たくさんのふしぎ」シリーズの1冊、『ズボンとスカート』(松本敏子文・写真、西山晶絵、福音館書店、1989年)です。
当節、女性のズボン姿は当たり前になりましたが、では男子小中学生がスカートをはいて学校へ行ったり、男性がスカートをはいて会社に行ったら、どうでしょう?きっと、頭がおかしくなったと思われてしまうことでしょう。まだまだズボンとスカートには、固定観念が満ち満ちているのです。

スコットランドの男性

この本は、世界にはスカートをはいている男性もいれば、ズボンをはいている女性もいる。スカートとずぼんの両方を一度にはいている人たちもいれば、ズボンの上にズボンを重ねている人たちもいる、それぞれに歴史的な背景があることを教えてくれる本です。
また、普段は着ないけれど、お祭りや結婚式などに着る服に、古い時代のスタイルが色濃く残っており、それらの写真がふんだんに紹介されています。

インドネシアの男性とインドの男性

一枚の布をまとうサロンやドーティーは、布の長さによってスカート(脚が二つに割れない服)にもなれば、ズボンにもなります。


これは、布をたっぷり使った巻きスカートの代表的なもの、左は中国から東南アジアに住むモン人のスカート、右はハンガリーのスカートで、遠く離れているのに、まったく同じ形をしています。
ハンガリーの巻きスカートは、うしろから巻いて前の中央で合わせ、合わせ目を隠すためにエプロンをつけています。


トルコのズボンのシャルワールは、膨らんだズボンです。


袋に縫った布は、両端だけ足を出す小さな穴が開いています。


ズボンになっているのでロバに乗るのも容易、山道を登るのも容易、足首が小さくしか開けていないので、砂漠を歩くときもズボンの中に砂が入ってきません。


夏はパタパタさせて風を入れて涼を取り、冬は枯れ葉などを詰めて寒さをしのぐこともできます。


モンゴル相撲は、シャルワール(モンゴル語でボッヒン・オモト、相撲ズボンの意)をはいて行われますが、これはモンゴルが中国を征服して「元」を建国したとき、イランやトルコから捕虜を連れてきて織物やじゅうたんを織る村をつくったり、様々な中東の文化を取り入れたときの名残りのようです。
世界は昔からつながっていました。

南蛮屏風

16世紀に描かれた南蛮屏風を見ると、日本に来たスペイン人やポルトガル人がみんな、シャルワールをはいています。
何故、スペイン人たちがと思いますが、スペインやポルトガルは北アフリカのムーア人に800年近く征服されていて、その間にシャルワールをはくようになったようです。
ポルトガル語で、この膨らんだズボンは「カルサン」と呼びますが、日本でもかるさんと呼ばれるズボンがあります。
それは、大相撲の呼び出しの人たちがはいているズボン(かるさんではなくたっつけのような気がするけれど?)のことです。
大相撲は今日が千秋楽、正代か大栄翔、どちらが優勝するのでしょう?




 

4 件のコメント:

hiyoco さんのコメント...

えー、シャルワールは冬に枯れ葉を入れて暖かくするのですか!冬眠中の虫も一緒に入ってきそうですね(笑)。最近ワイドパンツが流行っていますが、暖かい時期はいいけど、気温が下がってくるととたんに足首から冷気が入ってきて私はダメです。
南蛮屏風の絵は教科書で見たような気がしますが、文明堂のカステラも思い出しました。今頃気が付きましたが、召使たちは黒人でしょうか?

karat さんのコメント...

ズボンとスカート、なるほど…と読ませていただきました。
勤めているとき、身軽に動けるズボンもはいていましたが、そのうちズボンはなんだか張り切っている感じがして、スカート一辺倒になりました。(さほど張り切ってはいないけど、まあきちんと働くよ…程度)(^^;)。
それに出先でのトイレはひざ丈のスカートが一番素早くて便利。
さらに昔流行った幅の太いズボンは裾を床にすらないようにしないといけなくて、裾を縛る用のゴムとか売ってましたね。あるいは靴下に裾を突っ込んでトイレに行ってそのまま忘れて外を歩くとか(^^;)。漫画であったような。
また、冬はズボンだと太ももが冷えて、スカートの方が暖かいと発見したり。
ズボンはおしりのシルエットが見えて痴漢にあいやすいとか…。
今の山ガールがズボンの上にスカートを重ねて履くのはいいアイデアだなと思います。

いずれにしろ、好きな服装ができる時代でありがたいです。
ワンピースのような服の下にピッタリのズボンもはけるし。

 スコットランドのスカートを見て思い出しました。昔のスコットランドがイングランドからの自由を求めての戦いの映画、最後の場面でスコットランドの兵士がスカートをまくり上げて、たしか相手をおちょくっているシーンがありました。
スカートの下はなにも履いてないのか?と印象深くてそこばかり覚えていました(笑)。

さんのコメント...

hiyocoさん
私も昔は寒くない季節にバルーンパンツをはいていたけれど、ワイドパンツはダメです(^^♪今はスパッツ(昔風に言えばモモヒキ?)にそこそこぴったりしたパンツで、寒さをしのいでいます(笑)。
南蛮屏風はよく目にするもの、確か文明堂のカステラにもついていますね。
ムーア人はベルベルの人、かつてスペインを支配していたのでたくさん住んでいたのでしょうか?北アフリカ人ですからいわゆるブラックではないんじゃないかな。この絵だと白人と同じくらいの背に描かれていますが、スペイン人よりずっと背が高くて顔立ちも彫が深くて美しかったと思われます。日本人はさぞかしびっくりしたことでしょうね。セネガルからソマリアへと横断して背が高い人たちが住んでしますが、190㎝を超える人たちが並んだところは圧巻です。
ローマ時代から傭兵というのか、シリアやアフリカの人たちはいっぱいヨーロッパ大陸にいたようですが、織田信長の家臣にもアフリカ人がいたそうですね。それで、漫画の『アシガール』にも「悪丸」という名前の黒人が出てきます(最近出てこないけど)。

さんのコメント...

karatさん
確かに、ズボンでトイレ、大変でしたね。思い出しました(笑)。以前は和式トイレが主流で、特に不特定多数の人が使うトイレなら和式の方が清潔という考え方もありました。
私も仕事をしていたときは半々、どちらかと言えばスカートの方が多かったかもしれません。女性は男性とは体形が違うので、薄い色のズボンをはいてお尻のあたりが見えるのは見苦しい、下着の線がくっきり見ええる人がいたりすると、他人のことながらいかがなものかと恥ずかしく見ていました。
しかし、女性がスカートしかはいてなかった時代、バスの車掌さんなどは大変そうでした。看護師さんたちもどちらでも選べるようになってよかったです。
スコットランドの男性は下に何もはいてないのですか?日本の着物と同じですね。知りませんでした(笑)。私はシエクスピアの劇に出てくるような、短いシャツとタイツの男性が気持ち悪くて仕方ありません(爆)。
女性が着るもので虐げられてきたと、散々書きましたが、ズボンしかはけない男性も気の毒、夏になると「よくぞ女に生まれけり」と思っていました。もっとも今のご時世、どこも冷暖房が効いているので男性も夏も暑くはないと思いますが。
男性といえばネクタイが変!ネクタイはいつまでもなくなりませんね。ネクタイだけでフォーマル感を出せるので便利なのかもしれませんが、首を絞めるなんて気持ち悪い!。男でなくてよかったです(^^♪