2022年1月30日日曜日

伝統家屋と生活と


トラの写真を撮ったら、トラの左側に、家族ぐるみで仲良くしている建築家の松井郁夫さんからいただいた本が写っていました。


松井郁夫さんは、一貫して木組みの家を建てていらっしゃいます。
しかも、原木の生えている山の木こりさんを大切にし、大工さんを大切にし、住む人を大切にする建築家で、価格を抑えて、若い人たちでも手に入るようにされています。


『古民家のみらい』はまだ見てなかったなぁと開いて、パラパラッと見ると、


古河の鷹見泉石記念館の写真が載っていました。
「えっ、そうなんだ!」
あの、何から何まで美しい鷹見泉石記念館の改修が松井さんだったとは、まったく知りませんでした。


伝統的な古民家は美しく、心惹かれます。
ところが、自分がそこに住みたいかと問われれば、躊躇してしまいます。というのも、伝統的な日本家屋は、何も置かない状態が最高に美しいからです。
というか、どう考えても、どこにもものが置けません。ものが捨てられない私には、暮らせそうにありません。


同じく松井さんの改修した古民家、畳を木の床にしただけですでに緊張感が失われていますが、たぶん写真は改修直後で、今ではここに戸棚、テーブル、椅子などが置かれているのかもしれません。
こんな家は、水屋(食器棚)などは組み込まれているし、蔵、味噌蔵、押し入れはあるしで、床にものを置かないで暮らすようにできていたので、ものが起きにくいのです。


こちらは同じく、松井さんが古民家をホテルに改修したものですが、古い木組みを生かしているものの、ベッドが空間を別ものに変えて、台無しにしています。


写真は、松井さんとは関係ない、里山建築研究所の改修した筑波山麓のC夫妻の家ですが、これとて、今のところセカンドハウスとしているからいいものの、住むとなると冷蔵庫をはじめ、古民家とは馴染まないものを山のように置かなくてはならないので、とても難しそうです。

やっぱり古民家に住むなら、Oさんのように古材を使って新しく建てる(家の写真はまったくないのですが)のが一番だと思います。


というわけで、私なら古民家再生に取り組むことに心折れそうですが、松井さんはめげずに精力的に手掛けていらっしゃいます。
この、『初めての人にもできる!古民家再生絵本』は、ページの片側に文章、片側に松井さん手描きのイラストで、朽ち果てようとしている古民家の改修の手順が描かれています。


ただ、私の見たところ、ものも置けるような、時代的には新しい中途半端な民家の方が、改修の可能性が広がりそうです。


それにしても、古民家は明かり一つ取っても難しい。
蔵をお店にするとかギャラリーにするとかではなく、素適な住居として住んでいらっしゃる方がいらっしゃるなら、ぜひ拝見してみたいものです。





 

2 件のコメント:

rei さんのコメント...

これまで、古民家の現地再生、移築再生した住宅や店舗など多くを見せて頂いて来ました。現代の住まい方には都合の悪い部分もありますが、施主の皆さん、愛着を持って工夫しながら住みこなしていらっしゃる例が殆どです。
豊かな空間、時を刻んだ木材、古の職人たちの技術、自然を感じながらの生活を楽しんでいらっしゃる様子が見られます。
貴重な材や技術を引き継ぐ事の使命感?が拘りの原点かとも思います。
松井先生も然り?

さんのコメント...

reiさん
そうですか。喫茶店やギャラリーやイベント会場として使うだけでなく、住宅にしても住み方次第なのでしょうね。
私は再生した古民家をそうたくさん見ていませんが、とくに典型的な田の字型の家は住むのが難しいかなぁと感じていました。理由は単に壁が少なくて、ものが置けないし、そこで自分がどういった姿で住むのか、想像しにくいということですが。
でも、町家は可能性が高いですね。古い町並みだったりしたら、外観をそのまま残して、中は自由に改造するという手があります。町家は間口が狭く奥行きがあるので壁もたっぷりあります。素適に改造できる可能性は高いでしょうね。
かくゆう私も、幼いころは典型的な田舎家に住んでいました(笑)。でも、戦後のもののない時代はともかく、電化製品などものが増えるにつれて、醜くなっていったと思います。
松井さんは、いつも燃えています(^^♪