2022年11月26日土曜日

草で編んだ籠


大きな草籠です。直径が35センチほどあります。
草籠ですから、とてもしなやかです。


材料は、イ草の仲間の水辺の草に見えます。
日本では、稲わらでお櫃入れ(いいづめ、いいつぐら)などがつくられましたが、稲わらの籠は主に保温目的で、竹がふんだんにあったせいか、稲わらや草の籠はとても少ないものです。
この籠は朝鮮半島のものでしょうか?
半島では草細工の籠が盛んにつくられました。


私の持っている籠の中で、この籠のたわむ感じに一番近い籠は南アフリカのコサの籠です。
遠く離れた場所で、人々がその地で手に入りやすい素材で工夫してつくった籠が似ているのは、何とも素敵です。
草の籠は長持ちしません。これは大きな籠ですからたくさんのものを入れたはず、よく破れたり汚れたりしないで、残っていたものです。

『韓国の藁と草の文化』より

『韓国の藁と草の文化』の序文に、著者が調査する中で孤独、悲哀、苦痛を感じたと書いているのは、草や藁でつくったものが急速に消えていくのを目の当たりにしてきたからかもしれません。

私は、韓国には何度か行ったことがあります。
最初の韓国訪問は夫が仕事で行くのについて行ったので釜山近郊だけで純農村には行っていませんが、あとは韓国自然農の研修やら、全国の自然農の実践者を訪ねる旅でしたから、北から南まで農村を訪ね歩き、農家に泊めていただいたこともありました。
それなのに、韓国で籠に注目したことは一度もありませんでした。私は韓国で何を見ていたのでしょう?


韓国民俗村にも行きましたが、ここでも籠の記憶がありません。
民俗村では、100年前の食事ができたり、昔と同じ方法でつくられた民具が売られたりしていて、ここでつくられた鎌を買いましたが、籠もつくられていたのでしょうか?


『韓国の藁と草の文化』が発行されたのが1995年(調査研究は、1982年から)、私が韓国の農村を初めて訪問したのは1990年代の初頭、すでに草でつくられた籠は、一般生活の中から失われていたのかもしれません。






 

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