2023年9月20日水曜日

絣のシャツ

かつて、2日か3日に1度はアイロンを当てていた日々がありました。
この20余年、アイロンの要らない服を着たり、アイロンをかけた方がいいけれどかけないで着ることが増えて、2週間に1度くらいの頻度でしかアイロンを引っ張り出すことがありません。
ハンカチ、手ぬぐいなど、アイロン待ちのものは籠に入れておきますが、うっかりすると猫がその籠の中でくつろいで、しわしわになり、毛だらけになってしまいます。


そんな、アイロン待ちの籠に入っていて、毛だらけ、しわしわになって、洗い直したのは夫のシャツです。
インドの絣布ですが、カンボジアでシャツに仕立ててもらったものです。


緯糸絣(よこいとがすり)で、模様は複雑、というか、自由奔放です。
ところどころ織り目が飛んで、白い糸が見えていたりします。こんな細い糸を手機で織るのだから、目が少々飛ぶのはしかたありません。
熱帯ではココヤシのボタンはありふれたものですが、懐かしい。


タイやカンボジアに住んでいた時は、仕立て屋さんがたくさんあったので、布と、仕立ててもらいたい大きさとデザインのシャツを持って行けば、いつでもシャツをつくってもらえました。もっとも、サンプルを持って行って、
「これと同じにして」
と言っても、襟の大きさや芯の入れ方など、それぞれの店の癖が出がちではありましたが。

さて、絣のシャツのことを書くために、バティクのシャツのところを読み返して、吹き出してしまいました。つい先日も、夫が着古したTシャツで、講演する場所に出かけようとしたのを、やっとのことで着替えさせたことがありました。普段着も、作業着も、フォーマルな場所へ行くときも、なんでもいいと思っているのです。
シャツも、外出着も普段着もない。ちょっと寒いと適当に羽織って、暑くなればそのあたりに突っ込んでおくので、しばしば行方不明になります。






2023年9月19日火曜日

小さいものたち


骨董市で、おもちゃ骨董のさわださんで小さいものを買ったら、いつもの薬袋ではなく、小さな赤い紙袋に入れてくれました。5センチ角くらいのかわいい紙袋、いやだ、捨てられないものが、また増えてしまいます。


買ったのは、100円箱に入っていた小さな招き猫と、


1円玉ほどの大きさのガラガラでした。ガラガラは、セルロイドの柄を指でつまんで、前後にすべらすと、中に何か入っていて、ガラガラと音がします。
「ガラガラはいくら?」
「300円」
「えっ、高いんだねぇ」
「高くないっしょ。クリちゃんだよ」


「へぇ、これがクリちゃん?」


久しぶりにクリちゃんという存在を、記憶の中から引っ張り出しました。


小さな招き猫と小さなガラガラは、我が家で、それぞれの友のいるあたりに、紛れ込んでいきました。







 

2023年9月18日月曜日

野生の豚


骨董市のまことさんの店で草で編んだ野生の豚を見ていると、益子の古本・古物のお店「内町工場」のSさんに会いました。
「太平洋の島でしょうかね?」
と、Sさん。


「私も材料を見ていたんだけれど、南米かなぁと思ったりして」
考えられる材料は、ヤシの繊維、イグサなどの水草、そして草などですが、私には特定できませんが草に見えました。
「素敵なイノシシですね」
日本語ではイノシシ、英語では野生の豚、タイ語では森の豚。なんかこれは野生の豚がぴったりの気がします。
「そうなのよ。でもうちは満員で飾るところがないしねぇ」


「紐がついているから、ぶら下げればいいじゃないですか」
「そうね」
まぁ、欲しいとなったら何でも、理由づけできます。
店を離れていたまことさんが帰ってきたので、どこのものかと訊いてみました。
「聞いたけど、どこだったかなぁ? あっ、でもこの木彫りといっしょだったよ」
と指さした大きな木彫りの像は、まぎれもなく島のものです。
「太平洋だ、ソロモン諸島?」
「違うなぁ」
「じゃあ、パプアニューギニア?」
「そうだ!そこそこ」
パプアニューギニアのものだった、Sさんの方があたりです。


紐は、草ではなくて、パルミラなどヤシの繊維に見えます。


筒形に編んで、脚を4本つけ、


耳は立体に編んでつけているのでしっかりしていて、形が崩れません。
口のあたりは、とくに素晴らしい出来映えです。


子どものおもちゃだったのでしょうか?
それとも豊猟を祈る祭儀の道具だったのでしょうか? 森の民にとって、野生の豚は最高のごちそうでした。






 

2023年9月17日日曜日

休み、休み


カバのパーニュでワンピースをつくろうと、型紙を買いました。


単純なワンピースなのだから、自分で型紙をつくればいいのに、型紙を買った時点で、すでに心が引いている証拠です。


手でもちぎれるようにできている型紙を、はさみで丁寧に切り離したら、どっと疲れて一休み。これだけで疲れるなら、あとが思いやられます。


やっとのことで布を切ったらまた一休み、縫うまでには至りませんでした。
段取りはしなくていい、ただ手を動かすだけですが、普段し慣れてないことをすると、息抜きの時間の方がずっと長くなります。

「こんな派手なワンピース、本当に着る?」
と自問しながら身体に当てて鏡を見ると、なんとかいけそうに見えました。逆光だったせいかもしれません。


裁縫に比べれば、糸紡ぎの方が疲れません。
ワンピースができるかなぁ。突っ込んでしまわないといいのですが。






2023年9月15日金曜日

ヒゲタ醬油の煤招き猫


「あっ、ヒゲタ醤油の猫だ!」
勝手に入ってくるヤフーオークションの情報の中に見つけた招き猫、同じものがすでにいるけれど、この猫も我が家に来たがっているように見えました。 
小判に書かれている文字が消えているせいか、湿気にやられて傷んでいるせいか、1000円での出品、競争相手もなく、無事我が家に来ました。


手持ちの猫と同じ型でつくられたものの、模様の絵つけが微妙に違っています。


特に、挙げた手の模様の位置が、前からいた猫と新しく来た猫では違っています。


新しい猫の方が傷んでいるのに、黒の周りの灰色はよく残っています。
そういえば、もっとも出回っていた常滑系の招き猫の、黒い模様の周りはたいていオレンジ色(茶色)です。
「灰色の縁取りの猫はどこの猫だったかなぁ?」
思い出せません。

落札して手に入れた後に、ヤフーオークションでほかにもヒゲタ醤油の招き猫が出品されているかどうか検索してみました。高額の猫に並んで、なんと私が落札した猫も出てきました。
「へぇぇ!」
小判の文字が読めないので、人間にはヒゲタ醤油の招き猫とは認識されていなかったのに、AIではしっかりと認識されていました。AI恐るべし。







2023年9月14日木曜日

カレーを肴に話が弾む

気がつけば長いつき合いになる、30年来の友人家族3人が1泊していきました。
1週間ほど前から、ご飯は何にしようかと考え、ほぼカオマンガイでいこうと固めていたのですが、では、副菜は何にする? 全然良い案が浮かびません。カオマンガイとはタイ料理で、本格的には鶏を丸まま茹でて、その茹で汁でご飯を炊き、茹で汁でスープもつくって、茹でた鶏は薄切りにしてご飯に乗せ、辛いたれをかけて食べる料理です。
昼食を食べすぎると夜が食べられないので、昼はそうめんにすると決めていました。
カオマンガイは、もとはといえば昼食メニューで、副菜はなしですが、夜だと1品だと寂しい。あれこれ思い浮かべても、さっぱりしたタイ料理といえば酸っぱいものしか思い浮かばず、インド人に酸っぱい料理は合わない気がします。では肉じゃが? ゆで卵サラダ? どうもしっくりきません。夜中、目が覚めるたびにあれこれ考えていましたが、突然、カオマンガイをやめてカレーにすることにしました。
インド人にカレーとは大胆、しかも、ほうれん草カレー(サグ)をつくりたく(食べたく)なりましたが、サグは友人たちの食べ慣れている西ベンガルのカレーではありません。

写真は取らなかったので、レシピサイトの写真をお借りしました

私は、ほうれん草カレーとは、カンボジアで出逢いました。サグパニール(ほうれん草とパニール(チーズ)のカレー)は、それはそれはおいしかったのですが、日本ではパニールに出逢えません。
日本のインド料理屋で、サグを出す店も増えましたが、ほとんどはほうれん草と鶏のカレーで、パニールのカレーは見かけたことがありません。ネットで見るレシピにはコテージチーズで代用するとありますが、豆腐のように四角く切ったパニールが、もろもろしたコテージチーズで代用できるのかどうか疑わしく、試したことはないので、鶏のカレーをつくります。
ネットのレシピの作り方は千差万別、この際ですからいつものではなく、ギーや生クリームを使ったカレーにすることにしました。
主菜がカレーとなると副菜は簡単です。ひよこ豆にミント、パクチーを加えたライタ(ヨーグルトであえたサラダ)と、トマト、キュウリ、パプリカのライタをつくることにしました。ひよこ豆のライタには青唐辛子とライムの絞り汁を加えれば、ライタといえど、違う味になります。

せっかく用意したカスーリメティを、炒っておいたのに、カレーにかけるのを忘れたのは残念でしたが、なんとかうまくいきました。
友人一家とはコロナで長く会えなかったので、嬉しい再会でした。


さて、どんなに食べてもなくならないようたっぷりつくったので、今日のお昼は残りのカレーでした。
その昔ガーナで、日本から柔道のデモンストレーションに来た人たちを招いたときのこと、2人だけだったのに健啖家の彼らは久しぶりに口に合う料理にありついたのか、用意した食事はあっという間になくなり、家じゅうさがしても果物やお菓子さえないという、苦い思い出があるので、そこだけは気をつけているのです。当時、ガーナに住んでいた日本人は数人で、しかも大使館の3人は首都に住んでおり、首都から離れたクマシに日本人が来るとなると必ず大使館から連絡があり、知らない人でも会ったり、家に呼んでもてなしたりしたのです。

野菜のライタはなくなっているのにひよこ豆のライタが残っているのは、ライム汁を入れて酸っぱくしたからのような気がします。
サグには忘れずにカスーリメティも振りかけて、西ベンガルでは食べないナン(チャパティーかご飯)でいただきました。





2023年9月13日水曜日

また、ススキで染めました


また、ススキで染めました。
染めて紡いだ糸で何を織ろうか、ストールは手持ちのもので十分、上着やポンチョもいらない、ということで座布団カバーを織ることにしました。座布団カバーを織るとすると、染めた糸がちょっと足りなかったので、黄色を追加で染めることにしたのです。
田舎とはいえ、交通量の比較的多い道でススキを採るのは大変だなと、きょろきょろしながら家を出ると、すぐ近くの田んぼのわきにメヒシバに交じってススキが数株生えていました。最近はよく似たイネ科の草も生えていますが、葉の中央に白い線が走っているので、ススキはすぐ見分けられます。
しめしめ、車も少ないし、1キロ採れれば十分なのです。


あるだけ刈ってきて、短く刻みながら目方を計ってみると、4キロ近くありました。
染める原毛が180グラムなので、ススキは1キロもあればいいのですが、刻みだしたついでなので、3キロほど刻みました。


昨年ススキで染めたのは11月でした。
穂が出たあと、刈られて、そこから伸びたひこばえをやっとのことでかき集めたのですが、今年はまだ穂も出てないので、色に差が出てくるかもしれません。

酢酸アルミニウム8%と酒石英2%で媒染した原毛を煮出したススキの液で染めましたが、染めている過程は、夢中だったので、例によって写真はありません。


澄んだ、いい色に染まりましたが、前回よりちょっと薄目でした。


原毛を染めたら糸に紡がなくてはならない、紡いだら織らなくてはならない。織りたいものがあまり見つからないというのに、なんだか染めるのが楽しくなってきました。


昔買った本を引っ張り出してみると、ウツギ、セイタカアワダチソウ、ドクダミ、楮、からむしなどなど、そこいらで簡単に手に入る染料で、素敵な色が出せています。
「あらっ、どれも染めてみたい」
目を奪われないで、まずはうまく紡ぐことができるよう、努力しましょう。