2024年4月28日日曜日
イタヤカエデの腰籠
骨董市でまことさんの店に、収穫籠、あるいは肥料籠と見える腰籠がありました。
薄く整えた木でつくられたもの、おそらく材料はイタヤカエデです。網代(あじろ)に編まれていて、縁はラタンで綴ってありました。
イタヤカエデは、あまり経緯(たてよこ)には編まれないようです。
ネットで見つけた腰籠も、斜め網代に編まれていました。
経緯網代で編むと、胴を編み始めるときに、新たに緯材(よこざい)を入れなくてはなりません。イタヤカエデを使う場合、材の幅が広いので(腰籠の場合7~11ミリ幅)、緯材の入れ方が難しい。2段目に移るときに段ができてそれが後々までひびき、斜めになって、ゆがんでしまいがちなので、斜め網代で編む方がずっと楽そうです。
それに、斜め網代に編むとなると、編みたい籠の大きさにあった長さの材料をそろえて置いて、あとは編むだけですが、緯材を使うとなるとできるだけ長い材を用意しなくてはならず、長さには限りもあるので、途中で目立たないように継ぎ足さなくてはなりません。
腰籠だと、籠が斜めになってもかえって使いやすいかもしれません。この籠はゆがんでいますが、最初はもっと真っ直ぐだったのかどうか、腰につけてみると身体から浮き上がらず、しっかりと添ってくれる気持ちよさ、ぴったりと腰に馴染みます。
底から胴へと編み上がる部分に、ビニール紐が編みこまれています。
おそらく、底を編んで立ち上がろうとするとき、底の周囲をビニール紐で固く結んでおけば、型崩れもせず、底の一部が緩んだりすることもなく、楽に立ち上がれたのではないかと推測しました。
内側のビニールはあまり劣化していません。このビニール紐は切り取っても、籠本体には何の支障もないものです。楽しいから残しておきますが。
縁の、長い方の辺は太くつくってあります。持ち上げるとき、手になじんで安定感があるからでしょうか、とてもつかみやすいです。
縁の下ですべての経材(たてざい)は三ツ割りにしてあります。3つに割ったものを左右に振り分けると、重いものを入れて縁を持っても抜けることがないし、縁巻きが密にできるなど、頑丈につくることができます。
腰籠には、「どこに紐をつけるか問題」があります。
紐ですべての重さを支え、激しい動きに耐えなくてはならないので、小さい籠ならともかく、ある程度大きなものになると、紐のつけ方、籠のつくり方に工夫が要ります。
以前、水俣の籠を手にしたときは、
「さて、紐をどうつけたらいいのか」
と、ちょっと考えてしまいました。そしてどこにもあまり負担がかからないように胴に細い紐を回して、それに太い紐をつけました。正解かどうかわかりませんが、柿をもいでたくさん入れても、重さで人間がふらふらになっても、籠はびくともしません。
同じほどの大きさのすず竹の腰籠は、4カ所についていた紐通しに紐を通していたのですが一カ所壊れ、麻紐で修理しました。籠の大きさに比べて紐通しがきゃしゃ過ぎたようです。修理した後も、使うのが怖くて、最近はこの腰籠は出動せず、棚を温めています。
イタヤカエデの腰籠の、腰にあたる部分には日付が書いてありました。
1992年5月とは読めましたが、そのあとは、擦れて薄れて読めませんでした。
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