2024年4月29日月曜日

小さな腰籠

小さくて、使いやすい腰籠があります。


20数年前、カンボジアから元同僚のソピアックが、琵琶湖畔で開かれた湿地の保護に関する国際会議に出席するために来日した時、頼まれてアテンドしたことがありました。
会議でソピアックは、カンボジアの森林保護運動の現状などを報告し、会議の後は、京都、奈良を訪れたり、各地に環境保護活動をしている人を訪ねたりしました。
その訪問地の一つに、長野県の伊那に住む、ダム建設の反対運動のリーダーだった森林組合のYさんがいました。
Yさんの家を訪れたとき、私は納屋の壁に掛けてあった小ぶりの腰籠に目をやり、ついつい手に取り、
「素敵な腰籠ですね」
と言いました。
「そう? ぼくがつくったんだ」
「えっ、手づくりですか? なんと!」
興味深く拝見していると、Yさんが、
「欲しかったらあげるよ」
と、気前よくくださった、という腰籠です。
長野ですから、すず竹でしょうか? あるいは根曲竹でしょうか。


小さ過ぎず大き過ぎず、つくし採り、葛の芽採り、渋柿採りなどに、ずっと重宝してきました。
何故か、長岡ー北斗と、大きく書かれています。


売りものだったら、こんな形の縁の始末はしないかもしれません。でも、端が外に出ているのは味だし、引っかかったりすることもないし、縁も頑丈です。


その証拠に、紐は縁にひっ掛けて結んでいますが、縁が抜け落ちそうな心配など、まったくありません。


底は、網代(あじろ)編みから渦巻き状に編み方を変えていく、関東甲信越地域に特徴的な編み方になっています。


よく見ると竹は表を外側に使ったり、また内側に使ったりと、交互に使って太い縞模様になっています。
何か理由があったのか、気分を変えるために縞模様にしたのか、自家用ならではの籠でした。




 

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