2020年12月6日日曜日

カンボジアの田舎のお寺

カンボジアの写真を探さなくてはならない用があって、探しました。
赴任していた前半の2年は、フィルム写真なのでうっちゃっていますが、幸い後半の1年はデジタルカメラになっていたので、あっという間に探せます。


見ているうち、探しものとは関係ない建物の写真が目に入りました。
最初普通の家かと思ったのですが、屋根飾りだけでなく塔が立っているのでお寺だとわかります。確かプレイヴェン県の農村にあるお寺でした。


プノンペンなど街のお寺はコンクリートやレンガなどでできていて、もっとお寺らしいものだし、プノンペンも郊外に行くと高床のお寺もありますが、それらはどことなく近代的で味気ないものです。


同じお寺を右側から撮ったもの、高床の室内に入るには、普通の家と同じで階段が一か所しかありません。そして、悪霊が入ってこないよう、階段をまっすぐに架けずに、90度曲げているのも民家と同じです。


仏像の写真などは一枚も撮っていなくて、日本に帰ったらどんな家を建てようかと思っていたのか、参考になる天井の写真ばかり残っています。


我が家の天井とそっくりです。というか、我が家がヒントを貰っています。


面白いなぁ、梁や柱の組み方。


カラフルなお寺の飾りがちらっと見えているので、やっとお寺だとわかります。


床は竹でできていました。壁で四方を覆っていても、涼しく過ごせるというわけです。


檀家の人たちにとっては、お寺の床下は何事につけても集まれる、居心地の良い場所のようでした。


ちなみに、民家の屋根にはこんな屋根飾りがあります。
石膏型にセメントを流し込んでつくったものを売っているのですが、こう見ると唐草は左右対称につくったものではなく、同じものを2つ買って1つは裏返しで使っているようです。左右対称のものを2つずつ4つ買って、貼り合わせて使うのが正しい(?)使い方だと思われますが、高いところだから、裏であろうと表であろうと、気にしないのでしょう。

クメールの人たちは木彫が得意でこだわっていますが、木彫だけでなく家づくりにも長けています。アンコールワット遺跡群は石造りですが、インドからヒンドゥー教が入ってきた当初はヒンドゥー寺院も木で建てられていました。


付近の大木が枯渇して寺院は石造りへと変化したのですが、木造だった痕跡がそろばん玉のような石柱に残っていると言われています。
木工の伝統は脈々とつながっていて、どんな道具一つつくるにも、家を建てるにも、どこか遊び心いっぱいのものをつくってしまうのが、カンボジアの人たちです。






4 件のコメント:

rei さんのコメント...

安藤邦廣先生の全6回連続オンライン講座「日本の住まいの成り立ち~東アジアの森と民家造」を受講しています。(第3回まで終了)
漢民族の統一により追われた人々が南に逃れ、東南アジア各地に定住したとの事ですが、カンボジアもそうですが、民家それぞれ特徴があり面白いです。暑さ対策のため、食糧庫や住居の高床は共通している様ですね。

SDG'sなんのその、山奥では、食料の為の魚を飼っている池の上にトイレを設置し、人間の排せつ物を餌にするなど、ほぼ完ぺきな循環型社会が成り立っていたとの事。

hiyoco さんのコメント...

あれ、春さんちは天井がないのですか?見えているのは屋根の裏側ですよね?
カンボジアの竹の床は通気性抜群ですが、寒い時期はないのですか?
カンボジアのおうちはいつ建てたかすぐわかるのですね。

さんのコメント...

reiさん
へぇぇ、そんな講座があったのですか、知りませんでした。面白そうですね!
漢民族に追われた人たちは、東南アジア山地のいわゆる少数民族と言われている人々です。しかし平地に住むタイ人やラオス人も言語学の分類から言うとタイ・カダイ語を話す人たちで、もともとは中国から来たとされています。
対して、カンボジア人(ヴェトナム人も)はモン・クメール語派と言われています。民族グループの分類はほぼ言語でされているのですが、言葉は変わっていくものだし、民族は入り混じるしで、私としては絶対近づきたくない領域となっています(笑)。例えばモン・クメール語派でもクメール人と南ヴェトナム人、北ヴェトナム人はまったく違う感じがします。
この写真はカンボジアで大多数を占めるクメール人のもの、田舎には何度も泊まったことがあるのだけれど、お手洗いはどんなだったかなぁ?あまり覚えてないから、清潔なお手洗いがあったのでしょう。
私も海の上に組まれたお手洗いからエメラルド色の海を見下ろしながら用を足したこともあれば、お手洗いのまったくない村に数日泊ったこともあります(笑)。
ラオスやカンボジアで車で移動するときなどは、運転してくれる人に、「ちょっと花を摘みたいんだけれど」と言って、道端で用を足していました(^^♪

さんのコメント...

hiyocoさん
そうなんです。我が家はコンクリートの部屋(台所、お手洗い、お風呂場など)以外、天井はなく屋根裏が見えています。で、カンボジアのお寺の屋根裏に見えているのは瓦の裏ですが、我が家ではそんなことをしたら寒くて仕方がない、野地板(室内から見える部分)の代わりのラタンの敷物やら断熱材やらOMソーラーのために空気を取り入れる隙間やら瓦の下地やらいろいろ積み重なっています。
カンボジアはタイより赤道に近いので、北の方だと寒い地域もありますが、これはプレイヴェン県、南の方なので寒い時期はないと思います。メコン川は雨季と乾季では水位が8mも違って、地図も変わるほどですが、雨季には2週間ほど水が床下から引かない家を、小さな舟で訪ねたことがあります。その家は涼しくて超気持ちよかったです。竹の床の下で水がゆらゆらしていて(笑)。
でも北部は寒いです。一度カンボジア北部の、屋根はあるけれど壁がない建物にハンモックで泊まったことがあって、上着だけでなくありったけきて毛布にくるまっていたのですが、お尻から冷えが上がってきて、なかなか寝付かれませんでした。
北タイとかラオスも乾季(12月、1月ごろ)は寒いです(チェンマイでも3度になるとか)。ラオスで水浴びするとき寒くてブルブル震え、心の中で「お母さん!」と叫びながら、何とか肩から水をかぶっていました(爆)。